夕食を食べよう
明けましておめでとうございます。
これからは1話ずつ更新予定です。
ホテルから数ブロック離れた場所でタクシーから降りた。
この辺りではブロック毎に色々な店舗が固まっているようだ。
通りを挟んだ反対側のブロックには、キャバクラやホストクラブなどの看板が掲げられたビルがいくつも建っている。
こちらのブロックは居酒屋や定食屋などの飲食店が固まっているようで、教授が予約した店舗は路地を一本入ったビルの3階にあった。
エレベーターを出てすぐの、檸檬亭と書かれた看板が掲げられた店の引き戸を開ける。
「すいません。小松原で予約したのですが……」
「はい。お待ちしておりました。どうぞこちらへ〜。ご予約の4名様ご来店です〜」
アキが着物姿の女性店員に声を掛けると、店の奥に案内された。
昭和レトロを感じさせる店内は、明るくて暖かい。
八つほどあるカウンター席は全て埋まっており、その前で板前さんが焼き鳥を焼いている。
テーブル席もほとんど埋まっていて、結構繁盛しているようだ。
テーブル席と座敷席の間を抜けて通されたのは、襖で仕切られた掘り炬燵の個室だった。
ハンガーを渡されたので、上着を脱いで壁のラックにかける。
全員が座ったところで店員がメニューとおしぼりを渡してくれた。
「本日はご来店ありがとうございます〜。先生からはすき焼きのコース4人前でお伺いしておりますが、よろしいですか?アレルギーなど食べられないものがある様でしたら、事前に伺いますので〜」
アキが皆に確認するが、問題なさそうだ。
「大丈夫そうです」
「それではこちらがお飲み物のメニューになりますので、お決まりになりましたらそちらのボタンでお呼びください」
店員が部屋から出たところで、アキはドリンクメニューを開いた。
「とりあえず、飲み物頼もうか。何にする?」
「俺、ハイボール」
アキの隣に座ったマサムネはメニューも見ずに決めたようだ。
「私は梅酒のソーダ割〜」
「オッケー。じゃあ俺は、レモンサワーにしておこうかな。六花さんはどうします?」
「本当にご馳走になっちゃって良いの?」
「全然気にしないで!って言っても先生の奢りだから、俺が出すわけじゃないけど!」
「そうだよ〜。楽しく飲もうよ〜。お互いの肌も見た仲でしょ〜」
「向井さん、もう飲んでる?…こちらこそ急に誘っちゃって申し訳ないくらいだから、遠慮しないで」
アキの向かいに座った六花に葵が抱きついている。
3人の言葉に六花が顔を綻ばせた。
「じゃあ、ラッキー!ってことにして奢ってもらう!私のことはリカでいいよ!せっかくだから敬語とかなしでも良い?」
「もちろんだよ〜じゃあリカは何飲むの〜?」
「私、生ビールもらう!」
店員さんに注文を告げると程なくして飲み物とお通しが運ばれてきた。
お通しとして小鉢に入った枝豆と、半熟卵の乗ったポテトサラダが配膳された。
「もう少ししたら焼き物が上がりますから、ちょっと待ってくださいね〜」
愛想の良い店員が言葉をかけて出ていった。
「じゃあ、葵、乾杯の挨拶やってよ」
「え、私?」
「そうだね。リカをナンパしてきたの向井さんだし」
「葵ちゃん、よろしく〜」
「ん〜。じゃあ」
葵が梅酒のソーダ割を掲げ持った。
「温泉でいっそー綺麗になった私と、リカちゃんの出会いに、乾杯!」
「「「かんぱ〜い!!!」」」
みんなのグラスが小気味よい音を鳴らした。




