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怪異譚 3

 里の者が持って行った宝の玉は、大勢にしゃぶられて小さくなって、その年が明ける頃には無くなってしまった。


 とはいえ、このお陰で飢え死にするものはなかったという。


 猟師と子供は宝の玉を決して表に持ち出さず、ひもじい時だけ玉を舐めた。

 二人はすっかり痩せてしまったが、そのおかげで里の者に疑われることなく年を越せた。


 翌年と次の年はなんとか作物を収穫できたが、その次の年は前以上の飢饉が起こった。

 前のように玉を奪われることが無いように猟師と子供は注意したが、里の者達は猟師の家に押しかけた。


 猟師を棒で打ち据えて家になだれ込んで大暴れした。


 鍋釜だけでなく全てのものをひっくり返し、床板を剥ぎ、さんざんに家を打ち壊した。


 そして、とうとう床下に埋めてあった壺から宝の玉を見つけると、猟師の家に火をつけた。






 猟師は鉄砲も持ち出せず子供だけを連れて、里の衆から逃げていた。

 傷ついてどうすることも出来なくなった猟師は、子供を連れて女のところに向かった。




 わしじゃ。わしじゃ。

 すまんのう。

 せっかく貰った宝の玉だが、里の衆に奪われてしまった。

 家も鉄砲も何も残っておらん。

 もうわしもだめじゃ。

 この子だけはお前に返したかった。

 最後にひと目お前に会いたいのう。



 山の奥から女が出てきた。

 別れた時と変わらず美しい姿だったが、目に布を巻いている。




 宝の玉はわたくしの目玉です。

 もうこの子にあげられるものもありませんが、せめてともにありましょう。

 お前さまも一緒に。


 里の者には、報いがあるでしょう。





 そういうと、女は猟師と子供の手をとって、どこへともなく消えていった。




 その冬のこと、雪の降る夜、大きな地響きとともに起こった山津波に里は飲まれてしまった。


 町に奉公に出ていて難を逃れた縁者がに行ってみると、里のあった辺りは山になっていた。

 山を登ると中程に家の残骸が転がっていたが、誰もいない。


 たくさんの蛇がいたが、いつしか濁り水が出て何も見えなくなってしまった。

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