出発準備
車のバックドアを開け、ラゲッジスペースにトランク3個とボストンバッグを一つ積み込んだ。
アキの物も合わせるとトランク4個プラスバッグとなる。
アキは着ていたダウンをラゲッジに入れると、トートバッグから取り出したフリースジャケットに袖を通した。
空いているスペースにトートバッグを押し込む。
「2人は上着はどうする?」
「俺は着てるからいいや」
「私も膝掛けにするから手元に持っておく」
「そう?とりあえず教授のコートもラゲッジに置いとくか」
そんなことを話す内、マサムネがラゲッジに積み込んであった大きな袋と工具箱、それと軍手の束を見つけた。
「秋人、これなんだ?」
「タイヤチェーンだよ。ワンタッチタイプのやつ。使うかわかんないけど、向こうは結構降ってるらしい」
「チェーンかぁ。昔お父さんの車でつけて走った時は、うるさかったのよね」
「これは金属チェーンじゃなくてウレタンネットタイプだから、そこまでうるさく無いと思うよ」
「秋人君の車、スタッドレスタイヤにしたんでしょ?」
「チェーン規制がかかるとスタッドレスだと通行できないんだ。俺とマサムネだけなら構わないけど、向井さんと教授が乗るからね。念の為ね」
「俺の時も気にしろよ!でもちゃんと準備してくれてんじゃん。何か飲むか?ドライバーさまに飲み物奢るぜ」
「お、サンキュー。じゃあホットコーヒーのボトル缶頼むわ。ブラックで」
「私は〜ミルクティーね〜」
「葵もかよ?まあ、いいけど一緒に買いに行こうぜ。…教授は緑茶でいいか」
マサムネと葵は駐車場の外れの自販機へドリンクを買いに行った。
葵の方が少し背が低いだけなのだが、マサムネと並ぶと妙に小柄に見える。
アキは1人車に乗り込むと、目的地をカーナビに入力する。
片道で大体250キロ。高速道路が2時間半。下道に降りてから1時間。食事休憩を入れて4時間半くらいか。
16時前には到着できるだろう。
先方との約束は17時らしいので、トラブルがないことを祈りたい。
「はいよ。ジョージアで良かったか?」
助手席の後ろに乗り込んだマサムネがコーヒーをアキに手渡した。
どうやら後部座席に葵と座るらしい。
「ブラックなら何でも良いよ。眠気覚ましになる」
「えっ!居眠り運転とかやめてよ!」
運転席の後ろに座った葵が驚いていると教授がやってきた。
大きめの紙袋をいくつか手にしている。
「鳴海くん、これも後ろに積んでくれるかね。先方への手土産を忘れるところだった」
「俺がやるよ」
マサムネが車を降りてラゲッジに教授の手荷物を積み込んだ。
「教授、トイレとか大丈夫ですか?出発しますよ」
こうして予定から少し遅れはしたものの、車は大学を後にした。




