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生存者の証言。


「わたしはツリーハウスに居たのよ」


 幼かった彼女はゾンビパニックが起こったその日も、自室となっていたツリーハウスで就寝していたらしい。

 秘密基地のようで気に入っていた彼女のそこは、小型の暖炉と薪と、簡易シャワー室があり、携帯端末、お菓子や非常食など緊急時の備蓄もあったそうだ。


「起きたら物語でみた光景が広がっていてとても驚いたわ」


 起床した彼女は身支度中、違和感を得た為街を見渡したそうだ。

 すると朝食の支度をする時間帯の筈の街ではそこかしこに倒れたひと、もがく人が居たと。


「ママに知らせなきゃって思って、端末を手に取ったんだけど、そこにはもうメッセが届いてて」


 サイレントモードで就寝していたらしい、彼女の端末にはコールログとショートメッセージがあり、内容はいつか話した事態が起こった。対応はその通りにと。


「上からガレージを覗き込んだら車はなかったわ。置いて行かれたんだと不安だったけど、すぐに気を取りなおしたの」

「どうして?」

「以前打ち合わせていたから。とっさにそうできたのなら、あともきっとその通りになるんだわって」

「当時を知る方たちは皆そうおっしゃいますね」

「ふふふ。対策、対応を知っていた人間が生き残っているからそうなるわよ」

「その通りですね」


 話の腰を折った事を詫び、先を促した。


「ママたちに言われていた通り、下には降りなかったわ。はしごも外して備蓄を確認した。非常食は十分にあったし、水は困れば雪を煮沸すればいい。暖炉は薪が不安だったから極寒になる夜だけつけて、日中は太陽光発電で賄った小型電気ファンヒータでしのいだわ。勿論バッテリーの充電も確保できた」

「すごい。対策バッチリじゃないですか」

「ええ。寂しかった事を除けば、携帯端末で情勢は見れたし、ママたちとも暫くして連絡がとれた」

「うーん、生存者の方からお話を聞いてまとめを作ろうとしているんですが、なんだか皆対策ばっちりだったお話ばかりなんですよねえ」

「あら。それは貴方、さっきも言ったでしょう。対策、対応を知っていた人間が生き残っているのよ」

「そこなんですよ」

「なあに?」

「どうして貴方がた生存者たちは、そんなにゾンビ感染症に対して冷静に対応できたんですか?」

「貴方、過去作品が格納してあるライブラリをみた事はある?」

「いいえ。教育に悪いとみせてもらえません」

「そう。それが答えよ」

「……」

「貴方がた新人類は、また似たような事が起こったとして生き残れるかしら?」


END

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