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微笑む、その度に。

作者: 麗菜


 微笑む、その度に。

 彼女は失っていった。 

 大切なものを、ひとつずつ……

 

 

 彼女は、その容姿といつも変わらない態度から

 「人形姫」、と呼ばれている。

 


 優しすぎるほど、優しかった彼女は。

 

 誰かのためなら、自分自身が傷つくこと

 を厭わなかった。


 そのせいで。

 

 今日も、

 彼女は自分自身の心に嘘をついて、

 ()()()微笑みを浮かべている。

 

 その微笑みはいつ、どんな時でも変わらない。


 誰に、何を言われても。どう扱われても。

 裏切られて、傷つけられても。

 彼女は皆が求める「彼女」を完璧に演じ続けていた。

 

 

 とどまることのない、人の悪意 ……

 彼女の優しさにつけこんだ、いじめ。


 悪意だらけの人を不幸にする声が

 今日も彼女を罵り、傷つける。

 

 

 彼女は、何も言わず。

 ただ綺麗に微笑んで、その言葉を受け入れている。


 微笑む、その度に。ひとつずつ……

 

 笑顔を失って。

 

 涙を失って。

 

 痛みを失って。

 

 本当の自分を失って。

 

 …… 心を失くしてしまったから。


 

 私には、彼女を助けることができない。


 私は、見守ることしか許されていないから。

 桜の木とは、そういうもの。

 

 


 だから、ただ待っている ……

 

 彼女の心に光を灯してくれる人を。

 

 優しい彼女を幸せにしてくれる人を。


 零れ落ちた大切なものを、

 彼女と一緒に拾ってくれる人を。


 彼女が、かつてのように笑える日まで……



 彼女の本当の笑顔は、誰よりも()()()



  

 




 

 



 


 


 

 

 

 


 

 







 

 

 

 

 

 

 



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