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秋水大帝国の歩み  作者: ZERO零
1/6

地球技術国家、初手から容赦せず


「はぁ、世界の管理とかいい加減やめてぇわなぁ…」


光り輝く人型の名の何かはこの世を管理する世界神である。


頭らしきところには『世界神』とデカデカと書かれ、本当に世界神なのか疑いたくなる程だ。


「お、息抜き的にちょっと遊んじゃおうかな♡」


世界神はわさわさと掃き溜めとして利用していた世界を見つける。


「ん?こいつに…ッ!」


世界神はどこからともなく現れたごちゃごちゃとした世界が詰まっている引き出しをゴチャァと開けて、散らばった世界を漁る。


「あったあったぁ!地球!」


世界神が取り出した地球という世界。それは、技術力は宇宙を旅することが困難な程、低技術しか持っていないにも関わらず、同じ人間であるにも対立が終わらない特殊な惑星である。


「こやつらの技術力をコピーしてっと」


世界神は地球の世界の上に技術力だけをコピーした何もない世界を創り出す。


「さぁ、こいつで国を造ると…。掃き溜め国家群への技術チートが楽しめるかな♡」


世界神はそういうと国を創り出した。



惑星 ファレスHN



掃き溜め世界の端に眩い光が現れた。


すると、陸地が現れた。


さらに眩い光が陸地を包むと人とその他の生物、高層建築物が出現する。


だか、突然現れたにも関わらず、平然と現れた生物は伸び伸びと今を過ごしていた。


「フッ、新たな物語の始まりだな」


微かに聞こえた声に数人の人がスマホから目を離して、空を見上げる。


しかし、幻聴かと直ぐにスマホに目を戻した。


世界神によるお遊戯は始まった。



秋水大帝国 帝都 ミカヅキ 総統官邸



超高層ビルが織り成す摩天楼に10棟の鋭く細いビルが中心に聳え立っていた。


その中心に位置するビルの先端にはこの国である秋水大帝国の巨大な国旗がはためいている。


そのビルの最上階には殺風景な灰色の部屋に暖色系の明かりが天井のLEDライトにより、灯されていた。


U字型のソファと業務用デスクしかないこの部屋に漆黒のスーツを着込んだ男が業務用デスクに備え付けられているクッション製の体を包み込むような優しい作りの椅子に深く座りながら、手を組んでいた。



コンコン



「入れ」



ガチャ



「総統閣下、衛星通信により新しい国家が出現しました」


総統と呼ばれた男、それは正真正銘の秋水大帝国の総統 寒涼 震電 だ。


「ほぅ、人工衛星には捉えられなかったのか?」


威厳に満ちた声で報告員に疑問を呈す。


「ええ、なんと言いますか。『世界が広がった』としか言いようがないのです。これより、航行してきた船舶や飛行してきた航空機にもこの存在は分かっていませんでした」


「なんとも奇妙な。まぁ、良い。無人偵察機による調査を行え。徹底的に調査するのだ」


「ハッ!」


総統の命令により、秋水大帝国の誇る無人偵察部隊が出撃した。




藍那海



秋水大帝国の西に位置する大都市 藍那 に存在する為、藍那海と名付けられたこの海域には無人偵察機 RQー170 センチネル を100機編成した大編隊が飛行していた。


RQー170 センチネルは白色の塗装に身を包んだ無尾翼全翼機で機体は秋水大帝国が保有するUAVの中では中型の分類に入る本機は秋水大帝国空軍藍那方面軍第1偵察部隊に所属している。



ゴォォォーーーーッ


RQー170 センチネルはその機体後方から伸びる紅の火線を一筋、吐き出しながら飛行していった。




地方都市 藍那 藍那方面軍司令部



鉄壁の守りとし化した要塞で、地方都市にしては超高層ビルを中心とした摩天楼が存在する巨大都市の藍那海付近に位置するのは藍那方面軍司令部だ。


藍那方面軍司令部には現在、第1偵察部隊所属のRQー170 センチネルを操縦する操縦士が藍那方面軍司令部にて操縦を行なっている。


「陸地発見。アルファ部隊、東にて撮影開始」


操縦士と自立AIによる指示により、アルファ部隊の名称を与えられた編隊は東方面の陸地の撮影を開始した。


50機のRQー170 センチネルの編隊は主に5部隊に分かれている。


アルファ部隊


ベータ部隊


フォックス部隊


メビウス部隊


ケールライン部隊


以上の5つだ。


1部隊20機で編成され、時にはさらに分割される仕組みになっている。


そして、アルファ部隊は北東、ベータ部隊は北西、フォックス部隊は東、メビウス部隊は西、ケールライン部隊は上空で待機となっていた。



カシャッカシャッカシャッ



撮影している事を証明する為、シャッター音が操縦士が付けているヘッドセットに流れる。


「続けて、ベータ部隊、フォックス部隊、メビウス部隊も陸地を発見。各部隊撮影を開始せよ」


現れた陸地はなんとも奇妙な形状をしていた。


藍那海の波は穏やかである。藍那海にはビーチがあるのだが、サーファー達はそこを好まない。それもそうである。藍那海は波が穏やか過ぎるのだ。


サーファーが乗れる波が来る時は数年に1回という程であった。しかも、それは沖に出てからも同じで、全く波が立たない。


しかし、RQー170 センチネルが発見した陸地は荒い波に削られたような地形をしており、崖が沢山並んでいる。


それは、世界神が無理矢理藍那海を創り上げたのである。元々は荒く、強い海が存在していたが、秋水大帝国を創造した際に秋水大帝国の海域を創り変えたのだった。



カシャッカシャッカシャッカシャッ



4部隊は次々と陸地の撮影を行った。


「ケールライン部隊は低空飛行による威力偵察を行え」


10機のRQー170 センチネルが急激に下降し、地面スレスレの所を飛行する。



ゴォォォーーーーッ




「な、なんだ!?」


「うわぁぁッ!」


悲鳴や驚愕の声がジェットエンジン音にかき消されながら、微かに聞こえる。


「ケールライン部隊はそのまま直進し、他部隊は自由飛行しながら、調査しろ」



ショックシーカー帝国 カルフォスト諸島



この帝国は絶対帝政であり、帝王がこの国を支配及び治めている。支配と言うと聞こえは悪いが実際、第23代帝王である マケイン・ショックシーカー は人民を最重要視し、『人道的』というこの掃き溜めの世界では現れにくい思想を持っている。


その為、人民からの支持は絶大である。そして、さらにマケインは人民への待遇を改善していくので一部の貴族からは反対が上がるが、待遇を良くしていけばしていく程、他貴族は税収を上げることが可能な為、反対は少ない。


そのショックシーカー帝国の最重要軍事拠点であるカルフォスト諸島は、隣国で友好国であるマックシュール帝国、カルゾット帝国と仮想敵国であるゴルゾン帝国へ最も近い、カルフォスト諸島に共同で軍基地を設置していたのだ。


だが、その緊張感は初期の頃に比べて薄れており、カルフォスト諸島に設置されたカルフォスト防衛基地にその緊張感から目を覚ませる出来事が起こるなどまだ、誰も思いもしなかった。



第1監視塔



石で精巧に積み上げられたこの監視塔は一部、鉄を使っており、まだまだ製鉄技術は未熟であるが、この世界でこの技術レベルは低い訳ではなかった。


「ふわぁ…、眠みぃ…。今日も何も無しか…。」


1人の緊張感の全く無い、監視員は今日も自身の腕より長い、単眼鏡で海の地平線を監視する。



ゴォォォーーーーッ



「へ?なんだこの音は…?」


地平線から聞こえてきた爆音。それは、きっちりと監視員の耳にも捉えられていた。


そこから現れたのは複数の白色のブーメラン型の何かだった。


「う、うわぁ…!て、敵襲ぅぅ!」


監視員は驚愕しながら、魔導通信機器で司令部に声を上げる。


『な、何!?監視を続けろ!』


司令部もまさか、今日とは思っておらず、時々声が裏返っていた。



ゴォォォーーーーッ



耳をつんざく爆音を放つ主は後方から、紅の火線を吐き出し、まるで新型の龍のようだった。



ヴヴヴォォォォォン



第1監視塔の横を奇妙な音と共に何かが通り過ぎる。


「飛行隊だ!」


監視員は歓喜の声でそう言った。


飛行隊と呼ばれた彼等は人であり、龍や航空機に乗っている訳ではない。


この世界には魔法という物理の反対という謎の代物があり、魔法という物を自由に使いこなせれば何にでも出来るのだ。


彼等は生身の肉体であるが、自由に飛び回り、ヘリのようにホバリングしたり、戦闘機のように高機動性を見せることが出来る。


そして、飛行隊と呼ばれた彼等は基地に配備された第2飛行防衛隊だ。


彼等は20名で編成された手練れであり、彼等は一瞬にして、RQー170 センチネルに魔力反応がないということに気付き、機械か何かなのかと推測していた。


「なんなんだ…あの無機質なブーメランは…」


「俺にもわからん。しかし、地平線からやってきたということはゴルゾン帝国の新鋭兵器なのは間違いない!」


第2飛行防衛隊は地平線からはゴルゾン帝国しか存在しておらず、RQー170 センチネルをゴルゾン帝国の新鋭兵器として認識してしまったのだ。


それもそうである。秋水大帝国が創られる前にはゴルゾン帝国が地平線の向こうにあったのだから。そして、神により、秋水大帝国が創られると、カルフォスト諸島とゴルゾン帝国に挟まれるようになってしまったのだった。



ゴォォォーーーーッ



RQー170 センチネルは彼等にとっては異質であった。


まず、無機質である事が異質であるのだが、その高速性と機動性である。


高速性に関しては全くと言っていい程速く、追いつくことすら出来ない。


しかも、攻撃を加えようものなら、普通ではあり得ない機動を見せるのだった。



ゴォォォーーーーッ



すると、RQー170 センチネルは第2飛行防衛隊を無視したかのように本土へ飛行していった。


「くそ!あいつら…」


「あんなバケモン、俺らに相手できる訳がないさ」


第2飛行防衛隊には諦めが生じていた。





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