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思い付き短編

生き残った虫

作者: 黒イ卵





 ある虫は、大きく力強かった。

 黒光りする体を持ち、どの虫よりも凶暴だった。


 ある虫は、細く長かった。

 どんな大群が迫っても、ゆるりと巻き付き締め付けた。


 ある虫は、繁殖力が旺盛だった。

 一匹一匹は弱くとも、子孫たちは次々と殖えていった。


 どの虫も、壺の中に入れられて、生き残るのに必死だった。


 壺の中に最後に残った一匹を捕まえ、すり潰して粉にし、煎じて井戸に溶かした。


 井戸の水を飲んだ生き物は、凶暴で、繁殖力が強く、長いものに巻かれるようになった。


 ーーそして三千年後。


 その日、地球の大地に、宇宙から来た生き物が降り立った。


 「今度の壺は、大きいから時間がかかったな。」

 「どれ、生き残った()は、どいつかな?」

 「手間暇かかったから、高値がつくな。」


 彼らは最後の一匹になった虫を、捕まえにやってきたのだった。


(了)




おいしいとこ取りは困りますね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 私たちが自分達の作品を「箱庭」として愛でているように、私たちの存在を「蟲毒」として眺めている存在がいる……。上位の存在にとっては人類なんて、まさしく虫のひとつに過ぎないのでしょう。 決して…
[良い点] ぬおお…… 最後の一匹、孤独な蠱毒…… でも孤独を感じるひまなんか無さそうですです。 ゾクッ、にやりとしました。 [一言] 最後に残った一匹の孤独な反逆が始まるのはいつですか?
[良い点] この世界は全部、誰かが用意した舞台で、そこに住んでいる者たちも、本当は利用されるためだけに生かされているのかもしれない、と考えると、ぞくっとしたものを感じました。 今世界で起こっている色…
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