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蜂蜜味の冷蔵庫  作者: 篠森茜
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 最近よく目が乾く。部屋が乾燥しすぎているのかもしれない。電気代が馬鹿にならないと思って冷蔵庫や洗濯機を使わないようにしていたのだが、パソコンが壊れないように空調だけは使い続けていたせいだろう。今年の夏はやたらと暑さが厳しく、野外イベントでは熱中症患者が必ず出ている。無理を押して働かされている彼女の体調も心配だ。彼女の話は最近あまり深みがなく、誰それが何をしただの、あの仕事でひどい役回りをさせられただの、疲労が見える。公式もスタッフが書いたであろうテレビ番組出演の告知や新曲の案内に留まっていて、昔の切れ味がない。彼女本来の輝きが暑さで失われつつある。しんどい時はSNSから離れて休んだほうがいい、と何度かアドバイスをしたが、返事もない。心配だ。


 そんな時、彼女の冷蔵庫が壊れた。親元を離れてこの町に来たときから使い続けてきた小型の冷凍冷蔵庫。中古品で、白を基調とした彼女の部屋の中で唯一の真っ赤な色が何となくしっくり収まっていた。少々詰め込み過ぎていた冷凍食品をかき分けてしまったアイスが半分溶けかけるようになり、次第に氷が固まらなくなり、冷蔵室の牛乳が異臭を放つようになった。彼女は当初、なぜかアイスが半分になっているとか、氷の作り置きが足りないとか、牛乳を買い忘れたなどと我々に現実逃避を発していたが、次第に事の重大さに気が付き始めた。


「今度の休みに冷蔵庫買いに行かなきゃ!」

 ついに彼女が決心した。


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