83 ごちゃごちゃ 細けぇこと言うな
「えっ? そうなの?」
「そうっ! だから、あぁっ、もうっ! 黙ってあたしについて来いっ!」
「で? どこ行くの?」
「あんたの大好きな『強い敵』のいるところだよ」
「えっ?」
旦那さんは、おもむろにレーザーセイバーを抜刀する。
それは強い光を帯びていた。
「うっひょっ~!」
旦那さんは、飛び上がって喜んだ。
「よぉーしっ! 強い奴のいるところに行っくぞーっ!」
旦那さんは、レーザーセイバーをぐるぐる旋回させながら、建物の中に向かって駆け出した。
後には、唖然としたラティーファが残された。
(えっ、えーと。結果オーライだったし、いつも通りと言えば、いつも通りだし、ま、いいか)
◇◇◇
アナベルはやはり苦戦していた。
防戦一方で、アナベル側から斬撃を加えることは出来てなかった。
しかも、レーザーブラスターで援護する者がいないので、アナベルがレーザーセイバーで倒すしかない。
更に、十五分だけ時間稼ぎをしてくれと言って、出て行ったラティーファは三十分近くたっても、帰って来ない。
アナベルの焦燥感がピークに達する頃、後方から凄まじい足音が聞こえて来た。
◇◇◇
「どいて、どいてっ~! 敵の指揮官は俺が倒すから」
旦那さんの凄まじい勢いに気圧され、アナベルは思わず道を空ける。
「なっ……」
敵の指揮官はあっけにとられる。
「貴様っ! 『チャージオン』したんじゃなかったのかっ?」
心の底から絞り出したような敵の指揮官の叫び。
それを旦那さんは一蹴する。
「うるせぇなっ! ごちゃごちゃ細けぇこと言うなっ!」
強烈な斬撃が敵の指揮官を襲う。
敵の指揮官は、辛うじて受け止めるも、何歩か後ずさる。
「おら、おら、どうしたっ? つえんだろ、打ち返してこいっ!」
旦那さんは、その場でレーザーセイバーを振り上げ、二撃目を加える。
「ぐっ」
敵の指揮官は、二撃目も何とか受け止めるが、やはり、後ずさる。
(悔しいが、今はもう旦那さんとの一騎打ちで勝つしかない)
敵の指揮官は、レーザーセイバーを握り直した。
(だが、逆にそれに勝てば、こっちの勝ちだ)




