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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第三章 水の惑星Ⅰ

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61/230

61 いいね いいね いいねぃ

 後方からゆっくり歩いてくる指揮官(コマンダー)に、敵の部隊は道を開けた。


 旦那(だん)さんはゆっくり左手を上げ、荒くれ海の男たちの射撃中止を指示した。


 攻防両軍が固唾(かたず)を飲んで見守る。


 一騎打ちが始まらんとしていた。


 旦那(だん)さんはレーザーセイバーを背負い直し、静かに再度抜刀した。


 それは強い光を帯びていた。


 (いいね。いいね。いいねぃ)

 旦那(だん)さんは、舌なめずりした。



 ◇◇◇



 「いくぜぃっ!」

 旦那(だん)さんは、指揮官(コマンダー)に突進、斬撃を加える。


 指揮官(コマンダー)は、ガッチリと受け止める。


 旦那(だん)さんのレーザーセイバーの光が更に増す。


 指揮官(コマンダー)は、力勝負に持ち込む。


 旦那(だん)さんは、受けて立つ。


 双方の部隊の者たちは、まなじりも動かさず、注視して行く。



 ◇◇◇



 例外はいた。


 坊っちゃんである。


 不意に両眼を閉じ、気配を(うかが)う。


 (やっぱり)


 坊っちゃんは、ティモンに耳打ちする。


 ティモンは(うなず)くと、坊っちゃんと一緒にそっとその場を離れた。



 ◇◇◇



 その者たちはいた。


 船着き場と反対側の海岸から上陸し、建物の中に侵入、更に金庫を丸ごと持ち出そうとしていた。


 「何してやがるっ! てめえらっ!」

 ティモンは一喝した。


 相手方はその言葉には反応せず、代わりに黒づくめの指揮官(コマンダー)が前に進み出ると、無言で背負っていたレーザーセイバーを抜刀した。


 「くっ!」

 ティモンは銃剣を水平に構えた。


 坊っちゃんは無言のまま、レーザーブラスターを正面に構える。


 (にら)み合いは続き、敵は金庫持ち出しの作業を続けていた。



 ◇◇◇



 「それ、持ってっちゃ駄目っ!」


 一人の少女が金庫に飛び付いた。


 「この中にはみんなで一所懸命貯めたお金が入ってるの。持って行っちゃ駄目っ」


 ティモンと坊っちゃんは我が眼を疑った。


 「エウフロシネッ! 何でここにいるっ?」

 ティモンは悲壮な叫び声を上げた。


 「みんなと一緒に舟で逃げろって言ったろうっ! 何でここにいるんだっ!」


 ティモンの顔面は蒼白だ。


 「だっ、だって……」

 エウフロシネは涙声になった。


 「坊っちゃんが心配で、舟から降りて来たの」


 「ぼっ、僕が……」

 坊っちゃんは力を落とした。


 「ちゃんと言わなかったから、僕は絶対大丈夫だから、安心して、舟で待っててって」

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