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チャージオン~光らせたい男と不器用な女のお話  作者: 水渕成分
第五章 要塞惑星

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201/230

201 脳みそにカビが生えてるんじゃないですか

 ルカイヤの放った狙撃(ショット)は順に相手の右足の甲、左足の甲、右手の甲、左手の甲を射抜き、相手は動きが取れなくなった。


 「殺せっ!」


 叫ぶ相手に、ルカイヤは笑みを絶やさずに続ける。

 「あら、聞こえなかったんですか? 『殺しはしない』と言ったんですよ。聞きたいことがあるんです」


 「俺は下っ端だ。何も知らない」


 「安心して下さい。難しいことは聞きません。貴方が上層部からどんな命令を受けたか聞きたいだけです」


 「『宙港を守れ』。それだけだ」


 「ふーん」

 笑みを続けながらも、ルカイヤの眼光が光る。

 「それだけではないでしょう。他にもあるはずです」


 「それだけだ」


 パスッ


 ルカイヤがレーザーブラスターを軽く発射する。


 相手の男の左の耳たぶの先端と髪の毛の一部をかすめる。


 髪の毛が焦げた匂いが広がる。


 「舐めないでくださいな。これでも『洗脳機関第五軍団長』の秘書だったんですよ。『洗脳機関』のやり方は熟知しています」


 「分かっているなら、聞く必要ないだろっ!」


 パスッ


 今度は相手の男の右の耳たぶの先端と髪の毛の一部をかすめる。


 「覚えておいて下さい。物事には何でも裏付けというものが必要なのです」


 「……」


 「安心してください。『洗脳機関』と違って、『銀河帝国偵察局』は投降者の人権を保障します。この私が生きた証拠です」


 「と、特別命令が出た」


 「ほう。どういったものですか?」


 「『Stand or Die』だ」


 「…… やれやれ、そこで立って戦えない奴は死ねですか? 脳みそにカビが生えてるんじゃないですか? 『洗脳機関』の上層部は」


 「これでもう俺は『洗脳機関』には帰れない。命は助けてくれるんだろうな」


 「言ったでしょう。約束は守ります。武器をこちらに渡して、おとなしくしていれば、こちらも危害は加えません」


 「分かった」

 相手の男はレーザーブラスターをルカイヤに渡した。


 「坊っちゃん。私はこの調子で相手方を投降させて回りますから、ここで見ていてもらえますか」


 「分かったよ。ルカイヤさん」


 ルカイヤは相手の男に念を押した。

 「言っときますが、この坊っちゃんはあなた方の30人くらいは平気で一人で倒す実力を持っています。くれぐれも変な気を起こさないように」


 「分かっているさ。あんたがたの強さは。誰がそんな化け物たちと率先して戦いたいもんか」


 「賢明なお考えですね」




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