182 あたしにゃできんわ そんな肩の凝ることは
果せるかなアナベルたちが捕縛した「なりきれていない者」たちの多くは「洗脳からの回復システム」により順調な回復ぶりを見せた。
また、「洗脳機関」の存在が「銀河帝国皇帝」の耳にまで入ったので、当局は「犯罪組織としての洗脳機関」について、その魔の手にかからないように、また、怪しい情報を見聞きしたら、すぐ「地元警察」に通報するよう大々的に広報した。
更に、ルカイヤ謹製の「戦闘員養成教程」により、アナベル、オキニィ以下の新進気鋭のレーザーセイバー使い、レーザーブラスター使いが続々と育っており、「洗脳機関」の活動の芽は全て摘まれていった。
◇◇◇
「ふうっ」
銀河帝国皇帝との面会を終えた偵察局長は、シラネあての通信回線を開いた。
予め連絡を受けていたシラネはすぐ受信を開始した。
「お疲れさん。局長」
「ああ、陛下との面会は何度やっても緊張するわ」
「あはは、あたしにゃ出来んわ。そんな肩がこることは」
「何言ってやがる。シラネだって、ミッドラントの役員じゃないか。いつ、お呼び出しがかかるかわからんぞ」
「え? やだなあ」
「そう言いながらも、結構、度胸座ってるような気もするが」
「あはは。そうかもね。でどうだった? 面会は?」
「ああ、最近は『洗脳機関』の活動は完全に封じ込めているからな。その辺はお褒めの言葉を賜った。だが、問題はその後だ。惑星『バストーニュ』をどうするつもりか聞かれた」
「『バストーニュ』か…… 早く奪還するように言われたのかい?」
「いや。皇帝陛下は賢明な方だ。全面開戦は極力避けるお考えだし。奪還は何時頃になりそうか聞かれた」
「それで、何と答えたの?」
「周辺の惑星で完全に『洗脳機関』の動きを潰してからで、全面戦争を避けるなら1年くらいかかるかもと答えた」
「陛下は納得したの?」
「全面開戦を避けるためならやむを得ないと言われた」
「ご理解してもらえて良かったわ。せっかくこっち優位に進んでるのに、ここで無理したらぶち壊しだからね」
「で、シラネ君はどう思うんだ? 惑星『バストーニュ』の奪還は?」
「あらゆる面で考慮して、あることが起こったらだね」
「ふむ。そのあることとは?」
「『パウリーネ』の再登場だよ」




