156 無能だけにお飾りには最適です
「銀河連邦」の大型輸送航宙機は惑星「バストーニュ」の宙港に着陸した。
「『キャンディッド』ですか。また、見せつけるかのようにでかいので来ましたね」
ルカイヤは大きく舌打ちした。
「で、ルカイヤちゃ~ん。連邦の使節団の代表は誰だっけ?」
パウリーネの質問に、ルカイヤは忌々し気に答えた。
「外務政務官のホドロフスキーですよ」
「げっ、あのアル中のセクハラ親父~? あたしは酒の席でべたべた触ってくるもんだから、思い切りにらんでやったら、びびって逃げて行ったけどさ~」
「それが出来るのはパウリーネ様だからです。他の女性職員は泣き寝入りです」
「あいつ、書記長の親類ってだけの無能じゃなかったっけ?」
「無能です。無能だけにお飾りには最適です。二人いる副代表が本命でしょう」
「え? 二人の副代表?うげっ、イワノフとソローキン! 第二軍団長と第三軍団長じゃないっ!『洗脳機関』交渉する気ないんじゃないの」
「『洗脳機関』も語気を荒げて恫喝すれば、こっちが屈服すると思っているほど馬鹿じゃないでしょう。何か仕掛けてくるはずです」
「やだなあ。怒鳴り合いのほうがよっぽどましだよ」
「準備はしときますが、どうなるか」
◇◇◇
使節団は十三人。うち十人は護衛の「指揮官」である。
(ありったけの『指揮官』連れて来たようですね。戦闘する気まんまんです。こっちも十人のレーザーセイバー使いを用意しましょう)
ルカイヤは警戒心を緩めない。
笑顔で挨拶をしたのは使節団代表のホドロフスキーだけで、副代表のイワノフは初めからケンカ腰だった。
「書記長は大層お怒りだ。早急に『第五軍団』の軍団長と秘書を辞任しろ。いったん、『第五軍団』は武装解除し、『銀河連邦』に帰りたい者は『第三軍団』が護衛するから帰らせろ。ここに残りたい者は『第二軍団』の指導の下、再編成することになる」




