145 馬鹿を言っちゃいけません
旦那さんとパウリーネの一騎打ちが長引く中、戦力の大半を「宙港」防衛に投入した「洗脳機関第五軍団」だが、「偵察局」側はレーザーセイバー使いもアナベルを含む四名と「洗脳機関第五軍団」の二名を数で圧倒し、「宙港」の確保は絶望的となった。
ついに、ルカイヤは最後の指示を出した。
「『ウィルツ宙港』は放棄します。全部隊は負傷者を回収し、予定の惑星に撤退してください。なお、負傷者を含め、撤退が困難になっている場合は『偵察局』への投降を許可します」
「パウリーネ様と私を回収するまで撤退できない? 馬鹿を言ってはいけません。私たちは大丈夫です。すぐ撤退しなさい。これは命令です」
「洗脳機関第五軍団」の輸送機はあわただしく「ウィルツ宙港」を離陸した。
◇◇◇
「驚いた。『洗脳機関』って、兵を使い捨てするところだと思っていたら、大事にするんだね」
坊っちゃんの問いかけに、ルカイヤは淡々と答える。
「他の軍団はどうだか知りませんが、私はずっとこうですよ」
◇◇◇
ルカイヤの元に届くのは厳しい情報ばかりだった。だが、ルカイヤは驚くほど冷静だった。
「『サン・ヴィット』も放棄します。戦闘員養成教程は全部破壊。ケースBQで撤退。撤退不可能な負傷者は投降を許可します」
「惑星『ヴィールサルム』『ウーファリーズ』『クレルボー』も放棄。ケースBQで撤退。戦闘員養成教程は全部破壊」




