139 今度こそ決着つけるんだから
他の非常に考えにくい理由としては、前回の「ウィルツ」失陥を「偵察局」が面子を潰されたと考え、意地になって奪還にくるということだが……
(ない。ありえない)
ルカイヤは頭を振った。
(あの旦那さんならともかく、坊っちゃんと姐御ことシラネ・スカイは絶対そんな愚策は取らない……)
(分からない。分からないが、旦那さんと坊っちゃんが来る以上、対抗できるのはパウリーネ様とルカイヤだけ。迎撃するしかない……)
ルカイヤは決意を固めた。
◇◇◇
「降下開始します。作戦開始。コードネームは『マーケット・ガーデン』」
坊っちゃんはわざとルカイヤ側に傍受できるように通信を発すると旦那さんと二人で「洗脳機関第五軍団」の拠点工場の至近、敵中真っただ中に降下開始した。
(『マーケット・ガーデン』!?)
ルカイヤは驚きを通り越して、怒りを感じた。
「マーケット・ガーデン作戦」「地球」の古代戦史にある大規模な空挺作戦。しかし、その作戦は失敗であったと評価されている。
(何故、あえて過去に失敗した作戦のコードネームをつける!? 馬鹿にしているのか? こちらを当惑させようというのか?)
しかし、旦那さんと坊っちゃんが空挺降下まで開始したとなると放置はできない。
「『ウィルツ』の宙港に着陸して下さい。すぐに現地に駆けつけます」
ルカイヤは機長に指示を出すと、パウリーネの方を振り向いた。
「パウリーネ様。『偵察局』の旦那さんが来ました。よろしくお願いします」
「むっふふ~ん。旦那さんね。今度こそ決着をつけちゃうんだから。あたしの勝ちでね」
パウリーネのレーザーセイバーは既に強い光を帯びていた。




