136 リベンジしたいです
その後はもうルカイヤの記憶は途切れ途切れでしかない。
大混乱に陥り、治安維持が出来なくなった惑星。相次ぐ暴行、略奪、殺害。
そんな中、ルカイヤの両親はこの惑星からの脱出を決意した。全財産をはたき、航宙機のチケットを手に入れた。
しかし、離陸する直前になり、ルカイヤの父は急に「先に行っていてくれ。後から必ず追いかける」と言い残してその場を去り、二度と戻っては来なかった。
避難先の惑星でも苦難の連続だった。
専業主婦しか経験のないルカイヤの母。難民の子のとしての言われない差別。
だが、母はルカイヤを励まし続けた。
「あのお父さんの娘なんだから、ルカイヤが優秀でない訳がない」
その言葉のとおり、学業優秀だったルカイヤは奨学金で大学を出た。母は卒業直前に病死した。
だが、天涯孤独の難民の子ルカイヤに就職先はなかった。非合法な組織を除いては。
「ラティーファ。貴方も苦労したみたいですね。でも、私もやっと出来た自分の居場所をそう簡単に壊される訳にはいきません」
ルカイヤはラティーファの画像を眺めながら、独り言ちた。
◇◇◇
「本当に申し訳ありませんでした」
アナベルは画面の向こうのシラネに向かい、深々と頭を下げた。
シラネは淡々とそれを見ている。
「せっかく自分から願い出てまでもらったチャンスを生かせなかったばかりか、惑星『ウィルツ』の宙港まで敵に取られて」
「……」
「『地元警察』の裏切りに全然気づかず、自分がケガしたばかりか、オキニィさんにも大ケガさせて」
「……」
「もう、何て言って謝っていいものやら」
「もう、謝ってるじゃん」
「え?」
「一番最初に『本当に申し訳ありませんでした』って言ってるじゃん」
「は、はあ」
「アナベルちゃんがあたしに謝ったのはいいとして、これから貴方はどうしたいの?」
「わ、私は……」
「……」
「わっ、私はっ! リベンジッ! リベンジしたいですっ!」




