133 兄貴の女版?
「ふーん」
惑星「ウィルツ」での戦闘の詳細を坊っちゃんから聞かされたシラネは考え込んだ。
「それで、アナベルちゃんはどうしたの?」
シラネの問いに坊っちゃんは溜息まじりに答える。
「もう、真面目な人だから責任感じて、半狂乱状態で、お医者さんが鎮静剤服用させて、眠らせたんだ」
「うーん。真面目だねぇ。そういうところは少し旦那さんのちゃらんぽらんさを学ばせたいわ」
「でも、シラネさん。この結果、多少は予想してたんでしょ?」
「姐御と呼ぶな。まあね。何せ敵の陣容がはっきりとは分からなかったんだから仕方ない面はある。それでも何とかしちまうのは、あたしか旦那さんか坊っちゃんじゃないと無理だよ」
「でも、全部に僕らが行く訳にはいかないし……」
「そこなんだ。だから、失敗も覚悟しておかなきゃならない。そうしないとステップアップ出来ないからね。アナベルちゃんは後であたしがネジ巻いてやるよ」
「そうするしかないか」
「それに悪いことばかりでもないぞ。今回は『洗脳機関第五軍団』があんまり見事に勝ったもんで、危機感持った対立する派閥から、また、情報リークがあったわ」
「へえ。どんな」
「えーと。これだ。第五軍団長パウリーネ。年齢30歳。レーザーセイバー使い。チャージオンすると戦闘力銀河最強級。但し、副作用で記憶喪失になるって、えっ? 性格は気まぐれで、対戦相手が強いと、レーザーセイバーが強く発光し、力を発揮するが、そうでないと無気力になるって、何これ、旦那さんの女版?」
「ああそう。旦那さんと二回引き分けた女の人だよね。まさに旦那さんの女版だよね。でも、パウリーネがいる限り、『偵察局』の完全勝利は難しい」
「銀河は広い。旦那さんと同等の戦闘力を持つのがいたか」
「これは何とかしないと」
「で、これだ。第五軍団長の秘書ルカイヤ。25歳。レーザーブラスター使い。戦闘力、事務能力、作戦能力、どれもかなり高い。通称『ゴリ押し秘書』。えっ? 『ビル・エル・ハルマート』からの難民出身。えっ? えっ? えっ?」
坊っちゃんはにやりと笑う。
「ラティーファにそっくりでしょう?」
「うん。背はだいぶ低いようだけど。本当、そっくりだ。知り合いかな?」
「ラティーファに聞いてみたら?」




