120 世の中には理解を超えたものが存在する
「いや、重ね重ね失礼ですが、どういうお考えで、日々、戦闘に臨まれているのですか?」
マリアの真摯な質問に、旦那さんはあっさりと答える。
「いやぁ、俺、強いのと戦えれば、ラッキーかなと。相手強ければ、レーザーセイバーも光るし」
「ほほう。強いのと戦えるのがラッキー? かなり独創的なお考えですね」
「……」
内心、大丈夫かなぁ? この面会と思うシナン、エウフェミア、ラティーファ。
「最近、懸念されている『洗脳機関』については、どう思われます?」
「セコイことやらずに、強いの出してくれれば、戦いたいです」
「『偵察局』の一員として、治安維持をどう思われます?」
「まあ、強いのと戦わせて貰えて、給料貰えれば文句ないんで」
「はあ」
◇◇◇
出張所からの帰路、同行するシナンとエウフェミアにマリアは呟いた。
「諸君。どうやら私は研究者として、まだまだのようだ。この世の中には私の理解を超えたものが存在することを今日いやという程思い知らされた」
(いや、マリア教授。旦那さんは例外中の例外で……)
シナンとエウフェミアは内心そう思ったが、口には出せなかった。
◇◇◇
「よしっ! 出来ましたっ!」
ルカイヤは机を両手で軽く叩いた。
(現在、軍団のいる惑星を拠点に、四か所の惑星に『指揮官』を各二名ずつ配置する。これが『先行潜入チーム』になります)
(さらに予備として軍団のいる惑星に『指揮官』を三名確保しておきます。これが『救援チーム』になり、『先行潜入チーム』が危機に陥った時、暫時、投入されます)
(もう、『ビル・エル・ハルマート』や『アクア3』の時のように、一か所だけなんて生温いことはしません)
「後はこれで『偵察局』がどう対応してくるかですが…… それによっては無理せず、機動的な対応をするってことですね」
「ふっふっふっ、ルカイヤちゃん。仕事終わったようだねぇ」
パウリーネは後ろからルカイヤに抱き着く。




