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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第4章 幸せな時間をあなたと一緒に

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心からの笑顔


 朝七時、俺達は体育館に集まっている。

今日がいよいよ文化祭当日。泣いても笑っても今日が本番だ。


 各部のメンバー全員、それに俺達六人。

そして、校長先生や担任の浮島先生も集まっている。


「――であるからにして、今日は我が高始まって以来の大きなイベントとなったわけで……」


 校長先生のありがたいお言葉をいただく。

本番で校長先生のスピーチ時間を短くした分、今ここですっきりしてもらっている。

部員含め、俺達は早く準備に取り掛かりたい気持ちを抑え、真剣な目で話を聞く。


「早く終わらないかな……」


 高山がぼやく。

俺も同じ気持ちですよ。


「大丈夫。それを見越しての朝七時集合。間に合うようにスケジュールを組んでいるから」


 当日の時間配分を計算し、落ち着いている遠藤。

それでも、時間は惜しい。


「では、皆さん怪我の無いように一日過ごしてください。自宅に帰るまでが文化祭です」


 終わった。終わりました!


「っしゃ! 終わった! 天童、俺は演劇部に行って教会の準備してくるぜ!」


「僕は吹奏楽部に行く。機材の運び出しと最終チェックもしないといけないからね」


「私は華道部。教会と会場、早く準備しないと」


「ボクは料理研究部だね。こっちは任せてよっ」


 高山、遠藤、杉本に井上。

それぞれが現場に散っていく。


「準備が終わったら全員控室に集合。着替えてお客さんを迎え入れる準備に入る」


「「了解!」」


「姫川さん、早速行きましょう。あなたの準備が一番かかるのよ」


「はいっ! 司君もまたあとでねっ」


 浮島先生と杏里はメイクを行ったあと、手芸部に移動し着替える予定だ。

その間に全ての準備を終わらせる。

俺は工程表とにらめっこをして会場と教会のチェックに入る。


「天童」


 すでに黒スーツを身に纏った会長。

耳にインカムをつけまるでエージェントのようだ。

その後ろに数十名のメンバーが並んでいる。

皆同じような黒スーツにインカム。

なにこれ? これから俺は逃走でもするのか?


「会長、準備は?」


「問題ない。これから配置場所へそれぞれ移動する」


『――この声が拾えるか?』


「はい、大丈夫ですね。しっかりと聞こえています」


 会長の声が俺の耳に入ったイヤホンから聞こえてくる。

先日もらったイヤホンもしっかりと動作している。


「基本的に俺は姫と天童の側にいるが、万が一の時は……」


「はい、杏里を守りますよ」


 とはいってもただの文化祭。

そこまで警戒する必要はない。


 会長は後ろに控えた数十名のエージェントと共に体育館から出ていく。

知らない人が見たら絶対に怖い集団に見えるよ。


 さて、俺も行動開始しますか。


「天童君」


 ん? 誰だ?


「今日はいよいよ本番だね。最後までやりきってくれ、応援してるよ……」


 肩を叩かれ、去っていく男子生徒。

んー、どっかで見た事のある顔なんだけどな。思い出せない。


「おう、お互い頑張ろうな!」


 とりあえず声をかけておこう。


「最後まで、しっかりとね……」


 エールを受けて、俺も会場準備を進める。

メイン会場の体育館。昨日の内に天井からつるしたシャンデリアに電源を入れる。

そして式場からもらったでっかい絨毯、いい感じにモフモフしている。


 しばらくすると準備したテーブルに花が設置されていった。

どのテーブルにも豪華な花が設置され、花の香りがほんのりと会場に広がる。

しかし、どの席も花の種類が違う。十二席あるから、同じ花が足りなかったのかな?


「天童さん、どう? 華道部の準備したお花は」


 確かにどのテーブルも素晴らしい。

でも、揃っていない。何か理由でもあるのか?


「同じ花じゃないんだな」


「えっとね、それぞれのテーブルを一月から十二月までをイメージしたんだって」


 花は四季によって色とりどり。

華道部は十二席あるテーブルをそれぞれの月をイメージし今回活けた様だ。

白、赤、桃、青、紫、黄。どのテーブルも華やかになった。


 そして会場入り口には大きな花が運ばれてくる。

俺と杏里の座る予定のテーブルには、華道部の主力メンバーが杏里をイメージした花が。

華道部が持つ杏里へのイメージ、その想い。


 俺はその花を見ると、しばし心を奪われる。

杏里が花の隣に立ち、花を見ている所を想像する。

まさにぴったりですな!


「すごいな」


 その一言しか出なかった。


「でしょ? 華道部のみんなが頑張ったんだよ。すごいよね」


 壁には美術部の絵画や彫刻。

会場のイメージにあうように今回準備してくれた。

そして、楽器が並ぶスペース、一般来場者用のテーブルが準備されていく。


 やばい、なんかドキドキしてきた。

このドキドキ感。緊張感に耐えられるのか?


『――ガッ。第一班、配置完了』


 おおぅ! びっくりした!

突然耳に入ってきた音声。


『――ガッ。第二班、配置完了』


『――ガッ。第三班、配置完了』


『――ガッ。確認した。第四から第六は校内巡回を。不審物は発見次第報告を』


『――ガッ。了解』


 ……会長。

やり過ぎではないですか?


「天童君、この機材はここに仮置きしてもいいかな?」


 遠藤が機材を持ってきた。


「おー、その辺でいいぞ。後で他の機材と調整して配置するから」


「わかった。よし、次にいこうか」


 機材を置いて、遠藤は再び今来た道を戻り始める。


「遠藤君も何だか楽しそうだね」


「そうだな。杉本さんは楽しいか?」


 笑顔を俺に向け、手を握られる。


「もちろん。天童さんと杏里、二人の姿を見て私もすごく楽しいよ。ありがとう」


 杉本になぜかお礼を言われた。


「なんで俺にお礼なんか」


「初めて杏里と出会った頃、杏里は心から笑わないし、みんなに対して壁があった。でもね、天童さんと出会って杏里は変わった、自然に笑うようになったんだ。私にはできなかった、天童さんのおかげだよ。本当にありがとう」


 そう話すと、杉本は走って体育館の出口に向かう。

俺はまだ何も言葉を返していない。


「杉本さんっ!」


「これからだよ本番はっ! 楽しまなきゃ!」


 俺に手を振り、杉本は消えてしまった。


 杏里、俺が君の笑顔を出せるようにしたのか?

きっかけはそうかもしれない、でも俺だけのおかげじゃないだろ?

杏里の周りにいるみんなが、杏里の事を好きになって、友達して、杏里は笑顔になった。

俺だけじゃない、みんながいたからだよ。


 よし、こっちはそろそろ大丈夫かな。

次は柔道場、教会にいくか。

俺の足は体育館から教会に向けて歩き出す。


「いいぞー! おろしてくれ!」


 柔道場が見た目教会っぽくなっている。

入り口も壁も上も。あ、屋根に十字架がある、ってどうやってつけたの? 


 その十字架の真下に高山がいた。


「高山! それ、大丈夫なのか!」


「天童か? 大丈夫! 後でちゃんと元通りになるから! 多分……」


 最後の方が小声になっている。

本当に大丈夫なのかな?


 中に入ると入り口から真っ直ぐに深紅の絨毯が。

その左右に椅子が並んでおり、一番奥にはステンドグラスが見えている。


 モリのようなロウソク台に牧師様が立つと思われる台。

床は畳だったはずなのに、見た感じ教会になっている。

いったいどうやったらこんな事に……。


「どう? 教会っぽいだろ?」


 演劇部の部長だ。

この人にも今回すっかりをお世話になってしまった。


「正直びっくりですね。元に戻るんですか?」


「……いいかい、お客様には最高を見せなければならない。我々のできる最高を届けようじゃないか」


 答えになっていないですね。

あー、なんだかやな予感がしてきた。

だがしかし! ここまで来たんだ、やるしかない! 


 入り口や教会内にも順次花が持ち込まれ、壁や飾り付けが始まる。

この赤い絨毯。ここを杏里が歩き、俺も歩く道。


 バージンロード。

仮かもしれないが、杏里が歩くバージンロードだ。

床に手をつき、真っ赤な絨毯の感触を確かめる。

杏里、俺は今日君と一緒にこの道を歩くよ。


 短い道。

でも、俺と杏里にとっては未来に続く道。


――ドンッ ドンッ ドンッ

 


 外で花火の音が聞こえた。

文化祭が始まる。俺は教会を後に、着替えるため準備室に向かった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 校長の話は長い(確定)w セットアップは順調に作業中~ [一言] さて どんな式になりますかなw
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