↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第4章 幸せな時間をあなたと一緒に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
280/379

左手に輝くリング


 今日はいつもより早くバイトが終わり、もともと予定していた通りの場所に向かう。


「いよいよだね」


「あぁ、楽しみだな」


 夕方の時間、アーケードは人で溢れ返っている。

人混みの中を杏里と手を繋ぎ、かき分けながら目的地に進む。

自然と握る手に力が入る。


「いらっしゃいませー」


 先日注文したリングが完成したと連絡があった。

この日の為に、俺の懐はいまだかつてない位のお札が入っている。

移動中も無くさないか不安になるような金額だ。


「すいません、リングを注文していた天童ですが」


「かしこまりました。少々お待ちください」


 杏里と一緒にテーブル席で待つ。

内心ドキドキしているが、杏里はどうなんだろうか。


「お待たせいたしました」


 出てきた大きめのリングケースに目が移る。

初めてのペアリング。一体どんな感じに出来上がったのだろうか。


 店員さんが俺達に見えるようにリングケースのふたを開ける。

そこにはシルバー色に輝く二つのリングが。


「うわぁ……」


 杏里の口から声が漏れる。


「いかがでしょうか?」


「手に取っても?」


「どうぞ。サイズも調整しておりますので、一度つけてみていただいても、よろしいでしょうか?」


 注文時にお互いの左手薬指のサイズを依頼している。

少し大きい方が俺のだな。


 俺は自分のリングを手に取り、はめてみる。

おぉぅ、これがペアリングと言う物か。


 特にスキルが身に着くわけでも、ステータスが上がるわけでもない。

でも、なぜか心が温かくなり、自然と口元が緩んでしまう。

しかし、杏里はまだリングを眺めたままだ。

そして俺に視線を送ってくる。


 わかっていますよ、心配しないでください。


「杏里」


「うん」


 杏里が左手を俺に差し出す。

俺はリングケースから杏里のリングを手に取り、杏里の左手薬指にゆっくりと入れる。

白く、細い杏里の指。その指に吸い付くようにリングがはまる。


「きれい……。ありがとう」


「いえいえ」


 しばらくお互いに自分の指を眺める。

手のひらをグーにしたりにぎにぎしたり。

特に違和感はないかな?


「どう? 違和感とかないか?」


「大丈夫。司君は?」


「俺も平気だな」


 リングをケースに戻し、俺達の指からリングが消えた。

特にステータスに変化はない。


「大丈夫です。これでお願いします」


「ありがとうございます。もし、サイズの変更があれば、無料で行えますので当店までお持ちください」


 リングケースは店員さんに回収され、可愛い水色の紙袋にしまわれた。


「では、お会計ですね」


 レジに表示される金額を見ると、まぁいい金額ですね。

俺は財布からお金を取り出そうとするが、隣にいる杏里が封筒を渡してきた。


「これは?」


「半額分。これも使って」


 封筒の中を見るとちょうど半額分のお金が入っている。

いや、ここは男が出すんじゃないのか?


「いいよ、俺が出すから」


「なんで? お互いにプレゼントするんでしょ?」


「そうなのか?」


「そうだよ、司君が私の分。私が司君の分。お互いに贈り合うんだよ?」


 ちょっと困惑していると店員さんが話しかけてきた。


「あらあら、そこまで話し合っていなかったのかしら? エンゲージリングはお互いに贈り合う事が多いですよ」


 軽く俺に向けてウィンクしてくる店員さん。

そういうもんなのか。ここで無理矢理全額出しても、それはそれで問題なのか?


「分かった。じゃぁ、半額づつな」


 杏里の封筒からのお金と、自分の財布の中のお金。

合わせてトレイに置く。


 それでもかなりの大金だ。

バイトしていて本当に良かった。店長、オーナーありがとうございます。


 会計も終わり、袋を受け取る。

心なしか重く感じるのは気のせいだろうか。


「中にご紹介券入れておきますね。もし、お友達とかがリングなどお探しであれば特典が着きますし、割引もできますので、是非ご利用ください」


「分かりました。ありがとうございます」


 店を出て、再びアーケードに入る。

右手に紙袋。左手に杏里の手。

俺の心は温かい。懐は寒くなったが全く後悔なんてしていないぞ。


「買っちゃったね」


 頬を少し赤くしながら俺に話しかけてくる。

その仕草を見るだけで俺の頬も緩んでしまう。


「買ったな。早く帰って、じっくり眺めたい」


「私も。早く着けてみたい」


 お互いに気が焦る中、電車に乗りいつもの駅に戻って来る。

商店街を通り抜けいつもの公園までやってくる。


 公園の入り口で杏里の足が止まった。

杏里は公園の中を見ており、何か言いたそうだ。


「どうした?」


「ここで司君に告白された」


「そうだな。ここだったな」


「初めてキスした時もここだったね」


 少し恥ずかしい。

が、確かに杏里の言う通りだ。


「そうだな」


「二人で線香花火もしたね」


「俺の勝ちだったな」


 自然と杏里の手を強く握る。


「あれは私がわざと負けてあげたんだよ?」


「そうなのか?」


 結構真剣な目でしていたように見えていたけど。

俺は杏里の手のひらで踊ったのか?


「嘘」


 はにかむ彼女の笑顔が可愛い。


「何だよ、それ」


 杏里が俺の手を離れ公園に入って行く。

俺も杏里の後を追い、公園の中に。


「ここでプロポーズもされたね」


「花屋までダッシュしたがな」


「突然だったからびっくりしちゃったよ」


「急いだ方がいいって言ったのは杏里だろ?」


「ふふっ、内容によるよ」


「そうか……。嫌だったのか? 夜景見ながらとか、海とかの方が良かったか?」

 

 そうだよな。近所の公園でプロポーズとか普通に考えたら無しだよな。

高級レストランでもなければ、夜景もない。

海も無ければロマンチックのロの字もないな。


「そうだね。私は夜の海で波の音を聞きながらプロポーズされたかったな」


 ガビーン。おぅ、もうやり直しはきかないですよ?

もしかして、俺、ダメだったのか?


「わ、悪い。俺だけ勝手に……。杏里の事、そこまで考えていなかった……」


 杏里が俺に近づき、手を握る。


「でも、嬉しかったよ。生きてきた中で、一番嬉しかった」


「そうか、でも……」


「大丈夫だよ? こないだのは、予行練習でしょ? 本当の結婚式をいつか、私達は挙げるんだよね?」


「そうだな、いつか……」


「もう一度プロポーズしてよ。いつか、大人になった時。私と司君が本当の意味で夫婦になる時が来たら……」


 二回目のプロポーズか。悪くないな。

好きな人に二回プロポーズをする事なんて、普通は無いだろう。


「分かった。俺達が大人になって、いつか本当の式を挙げる時、俺はもう一度プロポーズをするよ」


「ありがとう。好きな人に二回もプロポーズしてもらえるなんて、幸せだよね」


「今度は杏里の言った通り、海でな」


「うん。忘れないでね?」


「忘れるはずないだろ?」


 空が橙と紺のグラデーション色になり、星が少しだけ輝き始めた公園。

俺と杏里は何度目になるのか、再び公園で唇を重なる。


 重ねた唇が離れお互いの視線を交差させる。

きっと、二人で微笑んでいるんだろう。


「早く帰ろう。リング、着けてみたい」


「あぁ、帰ろう。俺達の家に」


 再び家に向かって歩き出す。

この先も杏里と、俺は共に歩いて行くだろう。


――


「どう? 似合う?」


「似合う。俺は?」


「似合う。思ったよりシンプルだね」


「そうだな。リングの内側に誕生石も埋め込まれているんだって」


「私達、同じ月だから同じ石だね」


「ま、ペアリングだしな」


 初めて買ったペアリング。

その指に輝くリングを見ながら、俺達はお互いに手を取り、眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載中】 微笑みの天使の恋心 ~コスプレイヤーの彼女は夢を追いかけるカメラマンに恋をした~

【短編集】主に恋愛、ラブコメ、青春系の短編 をまとめました。お気軽にお読みください。

【完結済み】可愛い後輩の選択 ~俺が最愛の人に出会うまで~

【第一章完結】武具に宿った魂を具現化したらいつの間にか最強パーティーに! ~具現化した武器っ娘とダンジョン攻略。武器にも乙女心があるんです~(仮)

よろしくお願いします!


ブックマーク未登録の方は、ご登録をお忘れなく♪
是非よろしくお願いいたします。


↓小説家になろう 勝手 にランキング参加中!是非清き一票を↓
清き一票をクリックで投票する

ツギクル様 →  ツギクルバナー

アルファポリス様 →  cont_access.php?citi_cont_id=329323098&s
― 新着の感想 ―
[良い点] イチャイチャ警報発令続行中w 帰り道でもイチャイチャとw
[一言] 末永くお幸せに
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。