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クラスで一番の美少女が俺と一緒に住むことになりました  作者: 紅狐
第三章 愛の旋律

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愛のささやき



「さて、諸君」


 俺は交換所を出て、歩きながらみんなに話しかけた。


「どした? 何かあったのか?」


「いやいや、何かじゃないだろ? スタンプラリーが始まる前に何か言っていなかったか?」


「ん? 何か言ったっけ?」


 高山はすっとぼけた顔つきで俺の方を見ている。

え? 本気で覚えていないんですか?


「あれ? 杉本さんは覚えていますよね?」


「えっと、一応覚えているかな?」


 ちょっと怪しい顔つきになっている。


「あー、杏里は覚えているよね?」


 さすが杏里。

笑顔で俺に答えてくれる。


「もちろんです。かき氷のチケット二組です!」


 違う! それは杏里の願望だろ!


「えっと、俺の記憶が確かなら『負けた方は、勝った方の言う事を一個聞く』とか、高山が言っていた気が……」


 はっと思いだしたかのように高山は頭の後ろをかきはじめる。


「あー、思いだした。そういえばそんな事言ったかも」


「で、俺達の言う事何か一つ聞いてくれるんだろ?」


「しょうがないな。彩音に変な願い事するなよ?」


 誰がするか! さて、何にしようかなー!


「私から一ついいですか?」


 お、先攻は杏里か。

杏里は一体二人に何をさせるんだ?


「私から彩音に。そうね、心のこもった恋文を原稿用紙十枚書いて高山さんに渡す、ってのはどう?」


「恋文? 高山君宛に書くの?」


 杉本の頬が少し赤くなる。

枚数は問題じゃないのか? 十枚って結構な量だぞ?


「そう、心を込めて愛の言葉を」


「わ、わかったよ。えっと、夏休み中にレポート提出するね」


 いや、レポートとかじゃないから。

ラブレターだよ?


「じゃ、俺は高山にだな……」


 うーん、何にしようかな。

何か面白いものがいいな……。あ、あれにしよう。


「じゃ、高山には愛を叫んでもらおうか」


「叫ぶ?」


「スタンプラリーで言った岬があるだろ? 岬から海に向かって『彩音、大好きだぁー! 愛してるぅぅ!』とか、何か杉本さんに向けて、愛を十回ほど叫んでくれ」


「で、出来るかぁ!」


「ほぅ、出来ないのか。高山の想いはそんなもんなのか? もちろん俺達はいない。二人っきりでしてくれ」


「ぐぬぬぬ……」


 悔しいか? 悔しいだろ?

でもな、その想いを言葉にして叫ぶと、良い事あるんだぜ!

多分。


「期限は明日までだな。さて、杏里。俺達は宿に戻ろうか? 課題の話もしたいしさ」


「そうだねー。戻ろうか? あ、最後にあそこで写真撮らない?」


 毎度お馴染みの写真撮影機。

どこに行っても見かけますね。


「そうだな、せっかくリゾートに来たんだし、記念に撮っておくか」


 四人揃って写真を撮影する。

ゲームセンター以来だな、みんなで撮るのは。


「準備はいいか? コイン入れるぞ」


 こうして俺達のリゾートバイトは半分くらい遊びながら十分に楽しんだ。

明日俺達は普段の生活に戻る。バイトも最終日だ。


 出来上がった写真を切って、それぞれが手に持つ。


「二枚目だな」


「俺の事か?」


 高山がスマイルを俺に向けてくる。


「違う、四人で撮ったのが二枚目だってことだ」


「何だ、俺の事じゃないのか?」


「三枚目だったら、高山かもな」


「いや、三枚目だったら天童だろ?」


 くだらない話で盛り上がる。

俺達は、このまま大人になっていくのだろうか?

いつの日か、バラバラになってしまうのか?


「なぁ高山」


「ん?」


「さっきの願い事キャンセル」


「なんだ、やめるのか? せっかく覚悟したのに」


「悪いな。新しいお願い事いいか?」


「さっきより難しいのか?」


「どうだろう。俺の願い事は、大人になっても、年とってもお前と友達でいたい。今日みたいに同じ時間を過ごして、お前と一緒に……」


「天童!」


 話している途中で切られてしまった。


「な、何だよ……」


「その願いはすでに叶っている! 俺とお前は死ぬまで親友だぜ!」


「……そっか、叶っているのか。ありがとう」


「ま、長い人生一緒に楽しく過ごそうぜ!」


 肩を組んでくる高山の腕は重く、でもそれが心地よいと感じている。

このまま、みんなでずっといる事ができるといいな。


「じゃ、やっぱりさっきの願い事よろしく。しっかりと叫んでくれ」


「え? そうなるの?」


「だって、もう叶っているんだろ? だったら初めの願いでよろしく」


「は、恥ずかしー」


 両手で顔を隠しながら小走りで去っていく高山。

その、向かう先は岬方面であり、高山の後を杉本も小走りで追いかけていく。


「高山君! ちょっと待ってよ! ごめん、杏里。私、先に行くね」


 二人を見送る俺と杏里は、手を繋ぎ、寄り添うように杏里の肩が俺に触れる。


「司君も、私に愛を叫んでくれる?」


 杏里が微笑みながら俺に話しかけてくる。


「だったら俺にラブレターを原稿用紙十枚書いてくれるか?」


「ふふ、司君が欲しいって言うのであれば、二十枚でも百枚でも書くよ」


 何だか照れますね。


「そっか、だったら俺も杏里の耳元で愛を囁やいてやるよ」


 杏里は頬を赤くしながら俺の手を握り返してくる。

俺は杏里の耳元で、そっと言葉を伝える。


「杏里、好きだよ。失うのが怖い位、俺は杏里の事が好きだ」


 遠くに光る星を眺めながら、俺達は歩き始めた。


「今度、手紙書くね」


「おう、待ってるぞ」


 遠くの方から声が聞こえてくる。

誰かが何かを叫んでいるようだ。

何となく聞いた事のあるような声だけど、聞かなかったことにしよう。


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【連載中】 微笑みの天使の恋心 ~コスプレイヤーの彼女は夢を追いかけるカメラマンに恋をした~

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