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神様、そして帝国終焉へ!



帝国軍が待ち構える国境付近にやって来た俺たちは、作戦会議と洒落こんだ。


「帝国軍相手に俺たちは何をしようか?」

「大将。相手を蹴散らすか降伏させるか二つに一つだろうな」


ユミはヤル気満々である。


「大将さん、攻撃を全て防ぎきれば相手も撤退せざるを得ないんじゃないでしょうか?」

「おお、直音様。それは名案です」


「アリシア、お前にとって相手は家族だろ?本当にここにいて良いんだな?」

「はい構いません、大将殿。慈悲なく命を奪う父上や民を人間扱いしない兄たちを見てると、心が苦しくてなりません」


「ロクサーヌ、いるか?」

「はい、お兄ちゃん。ここです!」

「ロクサーヌは世界がどうあれば嬉しい?」

「みんなが笑って暮らせる世界です」


「彼方、相手の攻撃を完全無効化なんて可能かい?」

(ああ、問題ない)

「ウジ・・大将。お兄様と私であっさり終わらせるわ。お前は人間代表として戦後の復興処理にあたるのよ」


「みんな、その時は俺に力を貸してくれ。そろそろ行くぞ!」


◇◆◇◆


「敵襲だ!警報をならせ、攻撃開始!」


いよいよ火蓋がきって落とされた。俺たちは弓矢の雨をかいくぐり敵陣に突っ込んでいく。


「彼方、話が違うぞ。俺たちに攻撃が集中してるんだけど。狙い撃ちされてるじゃんか!」


(そうか、そうだな。あの程度、攻撃のうちに入らないと思っていた)


アリシアを皇帝か太子の元へ連れていき交渉出来れば良し、恐らく交渉など不可能だと思うが。


彼方たちのお陰で旧マーズ国内に矢や飛び道具は届かなかった。さらに騎兵や馬車なども国境にかかる橋を越えられず進軍出来ないできた。


「俺たちに攻撃無効のバリアのようなものを張れないか?」

(簡単だ、やるぞ)


「みんな、俺に続け!」


皇帝が待ち構える本陣まて一気に突っ走った。攻撃が俺たちを避けていき、その様子は敵兵に恐怖を抱かせることに成功した。


楓もユミもナイフで応戦し、直音とアリシア、そしてロクサーヌはミライの力によって守られながら俺たちを静観している。


「くそ、この化け物め!」


帝国兵が俺の背後から剣で切りつけてきた。俺は二本の小太刀で奥義を発動した。回転しながらの乱舞である。


周りにいた敵兵数十人がその場に倒れこんだが、峰打ちにしたおかげで死者はいなかった。


「やるな大将。今度は私の番だな」

ユミが流れるようなステップで攻撃を交わし、次々と相手を薙ぎ倒していく。


「若様、ご無事でしょうか?」

「俺たちには神のご加護があるんだ。無事に決まってる」


「そうですね、でむチョッピリ罪悪感を感じます。言ってしまえばインチキですもんね」

「そうだ、だから俺たちは誰も殺してはいけないんだ」


◇◆◇◆


一方、帝国軍本陣では攻めあぐねている状況からか苛立ちの様子すらうかがえる。


「陛下、丸腰の子供が突っ込んできます」

「我が帝国に弓引く愚者はこの世から葬り去れ」


「伝令!アリシア様がこちらに向かっております!」


「おお、アリシア!我の戦いを間近で見たいのか!娘を向かい入れる準備をせよ」

「ハッ!」


アリシアは自力で戦場を駆け抜けてきた。もちろんミライのバリアに守られながらだが、か弱い姫様が何とも勇ましいことだろう。


「父上、もうお止めください!」

「おお、アリシア。止めるとは何をじゃ?」

「この戦争です」

「ハッハッハッ!何故だ、我が帝国に弓引く愚者にはヴァルハラが似合いだと思わんか!?」

「いいえ、父上。このままでは神罰が下ります。どうかご再考を!」


「神罰だと?そんなものやれるものならやるが良いわ(笑)我こそが神である!そして帝国が唯一無二の楽園ぞ!」


◇◆◇◆


そして俺たちは赤い髪の皇族らが待ち受ける砦までたどり着いた。


「貴様が敵の大将か?世は帝国皇太子、サザール2世である。世の前で名乗ることを許す」


「俺は小山野 大将だ」

「やはり貴様が大将であったか。小山野とやら、ヴァルハラに旅立つが準備は良いか!」


皇太子はすでに勝敗が決したと信じている。


「だが、マーズの大将がこんな子供だとは思わなんだ」

「あいにくと俺はマーズとは何ら無関係でね」


「何だと?ではなぜ世の前に立ちはだかっておる?」

「お前たちに神罰を下すためさ!それと勘違いしてないか?俺は大将だけど大将じゃない!」


「世迷い言もここまでくれば立派なもんだ。大将ではないだとか神罰だとか。神など何処にいる?いや、我が父、皇帝こそが神である。そしていずれ世も神となるのだ。神の御前である、平伏せよ」


「あんたじゃ話にならないな。彼方、出番だ!」


いよいよ最終局面を迎え俺たちは、ちょいと派手に帝国を退けることにしたのだ。


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