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神様、そして深まる闇!


教会を出た後、俺たちはここでは希少らしい異人を見かけた。


「あのぅ、ちょっと伺いたいのですが。あなたも異人さんですよね?」

聞き方が唐突かつストレートすぎて意味不明な妖しさ爆発である。


「え、えーと・・・私の事でしょうか?」

やはり気味悪がられた様子だったが、返事はしてくれた。周りに同行者は見当たらず、こんな所で何をしているのだろうか。


「そうです。もしや帝国の人ですか?実は、この地で異国の方に会うのは始めてだったもので、つい嬉しさのあまり話しかけてしまい本当に申し訳ない」


「そうだったのですか。謝ることはありません、旅先で不安になることは誰にでもありますからね。でも、私は帝国の者ではありません。先を急ぎますので失礼します」


「はい、お気を付けて!」

なんてね。なかなか上品で優しそう女性だと感心したものの、実は理由があって彼女に接触したのだ。


彼女は帝国の者ではないと言ったが、赤い髪と身に付けていた装飾品があまりにも高価だったことから、帝国の皇族ではないかと考え接触を試みたのだ。


今度はあちらさんが妖しさ満点である以上、俺たちで彼女を尾行することにした。


◇◆◇◆


早速、身辺警護らしき男が1ダースほど彼女を取り囲み高級そうな宿屋へと向かっていく。さらに驚いたことに、向かった先にはあの老婆の姿もあった。


マーズと合流した女は、宿の最上階に位置する部屋に入るとドアの前に護衛を立たせた。


「彼方、姿を消すとか会話を盗聴するとかもっと近づくことは出来ないか?」


(いずれも可能だ。だが姿を消している間は呼吸が出来ず、盗聴は世界中の人間に聞かせることになる。それでも良いか??)


「良いわけあるかい!盗聴は秘密の会話が世界中に駄々漏れ、姿を消せば俺たち死んじまうじゃないか」


「お兄様。こんなウジ虫など死んでも構いませんけど、私が聞いて参りますわ」

そう言い残してミライは姿を消した。


◇◆◇◆


ミライによれば、謎の女は帝国の第三皇女でアリシアと言うらしい。老婆との会話内容から帝国に宣戦布告をさせてマーズ国を滅ぼす。疲弊しきった帝国をマーズ自身が滅ぼすと言ったシナリオのようだ。皇族の根絶が狙いならこんな大掛かりな戦争などしないはずだし、世界征服が目的だった場合、民のいない世界を支配して何になるのだろうか。


彼女らの目的は皆目検討がつかなかった。アリシアの事は一先ず置いておくとして、今度はマーズの狙いだ。


マーズは恐らくミライに何かしら仕掛けようとしていることは明白だが、その手段が思い付かない。まともに立ち向かっても勝てるはずないだろうし、人々の神への信仰心を無くすのが目的なら現状すでにコンプリートだ。そもそも何故あの二人が共闘するのかが分からない。


「なあ、あいつらの目的って何だと思う?」

「さっぱり分からないな。それにしても帝国のお姫様と女神様か・・・」

ユミも行き詰まった様子だった。


「その帝国のお姫様、もしかしたら不思議な力があるんじゃないかなぁ?」

直音がまたもや不可思議なことを言い出した。だが、今回はミライも同意見だったようだ。


「お兄様。あの赤毛の娘、体内に魔石を宿しているようですわ」

(魔石だと?それは本当か?)


「ミライ。その魔石ってのは何だ?」

「お前のような虫けらを葬る力を持った石よ。人間ごときが触れれば即死ね。さぁ、冥土に旅立つ時間だわ」


「ミライ様がメイド服を着てくださるのですか?一度拝見したく存じます」


「言葉の意味は分からないですけど、とても不愉快な気分にさせられる響きね。そこの単細胞生物、お前で魔石の実験をしてみようか?」


「結構でございます。でも、そんな危ない石を体内に宿すなんて、正気の沙汰とは思えない」


(違うぞ。恐らく何者かが細工して埋め込んだのだろう、戦争の兵器として)


「さすがはお兄様。かつて、神々との戦争で英雄と呼ばれた愚かな人間が魔石の力を使ってましたわ」


「一体誰が埋め込んだのだろう・・・そうか、マーズの仕業だな」


(マーズは魔石をあの人間に埋め込み帝国を滅亡させた後、ミライに抵抗させるつもりだろう)


「推測だが、当たらずも遠からずと言ったところか。この際マーズは捨て置き、アリシアともう一度接触してみよう。ミライ、アリシアだけこちらへ転移させられないか?」

そう言えば、一緒に行動するうちにあれほど恐ろしかったミライが頼もしく思えてきたぞ。


「そこの懲りないゴミ虫、今度こそ殺してあげる!と言いたいところだけど、お兄様がお認めになったのですから、腹立たしいけど多少の無礼は見なかったことにしてあげるわ。ただし、死んだら地獄の苦しみを永遠に与え続けてやるから楽しみにしてなさい」


ミライは俺に言われた通り、アリシアの転送を開始した。



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