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神様、今度は美少女と?!


宿屋で食事を済ませた俺たちは、天気の良さも手伝って木陰で休んでいた。


「何だ?空が急に暗くなり始めたではないか!」

ユミが言葉にした通り、今にも雷鳴轟きそうな空模様。

雷雨に備えて俺たちは木陰から離れ、岩陰に移動し始めた。


その瞬間、破裂音と共に目の前に一筋の閃光が走ると、先ほどまで休んでいた大木が真っ二つになっていた。


「キャー」

悲鳴を上げた直音。しかし何故か一点を見つめたまま立ちすくんでいる。


「あっ、あそこに・・何かいます・・」


直音の声が向けられた先には、人影のような光がぼんやり淡く輝いている。


「みんな、注意しろ。あそこに得体の知れない何かがいるぞ!俺と楓で何とかする。ユミと直音は後方に下がれ」


一体何者だろうか。潜伏している帝国兵か?俺たちに緊張が走る。


「おや、お前たちはいつぞやの下等生物ではないか?」

声と共に現れたのは浮世離れした美少女だった。


「大将、この偉そうな女は何者だ?お前の知り合いか?」

ユミが俺に詰め寄ってきたが、説明のしようがなかった。


「あらまぁ、お兄様。こんな汚い場所で虫けらたちと何をなさっているのでしょう」


「そこの女、虫けらだと!貴様は何者だ!」

ユミは謎の女に立ち向かわんとナイフを手に身構えている。


「ユミさん、大将さん。またしても凄い美人さんですよ。楓さんとどっちが美人さんかな?」


直音の馬鹿げた問いかけなど、もうどうでも良かった。俺は以前の恐怖が頭を過り、声を聞いた瞬間に腰を抜かしそうになったほどだ。


(ミライか。ここに何用だ?)


「随分と淋しい言い方ですわね。お兄様がいなくなられて心配で探し回っておりましたのよ。こんなウジ虫たちと行動を共にされてるとは露も知りませんでしたけど」


「今度はウジ虫だと?なぁ、大将!この女、殺ってもいいか?その前に、名を名乗れ!」

「いちいち家畜に名乗る者がいるとでも?!」


「おいおい、ユミ。落ち着け。今から順を追って説明するから、まずはそのナイフを納めてくれ」


俺は意を決して今まで見知ってきた事を包み隠さずに話した。


「そんな・・・バカな・・・やはりあの時、彼方を始末すべきであった・・・」


「ユミ、お前の怒りも分かる。俺だって初めは信じられなかったし、楽園では殺されかけた。今話した通り、彼方もミライも神様だ。俺たちの力でどうこう出来るはずなかろう!仲間ではなかったのか?」


「神だと・・・そんなものが実在するはず・・・やはり信じられない。お前の話、全てに納得出来たわけではないが・・・ええい、良いだろう、今は信じる事にしよう」


ユミは釈然としないようだが少しは俺を信じてくれるようだ。


「前にも聞いたが、お前たちは何がしたいのだ?」

「俺は人間の未来を見てみたい。今とどう変わっているのかをな」

「それこそ、未来など見れるはずなかろう。大将、お前の頭は大丈夫か?!」

「若様、どこか具合でも?ユミ様、何も問題ありません、いつも通りの若様です」


「おやおや、そこの下等生物。以前、私が殺し損ねたあなた。そう、あなたよ!今、お兄様と私のことを呼び捨てにしましたわね?」


「ほえ?えーと、俺たちは神様の正体を隠すことにしてだな、人間界を案内することになって、呼び捨てじゃないと怪しまれると言う結論に達して・・・やっぱりダメですか?(泣)」


「下等生物ふぜいが神を呼び捨てにするなど許されませんわ。今すぐ永眠する覚悟はあるかしら?」


(ミライ、よせ。彼らは特別だ。それより帝国が滅んだら世界はどうなるのだ?)


「しばらく平和が続き、やがて帝国にとって変わる新たな国の出現によって、同じ結果になるだろうって俺は思う」


「大将さん。関係ない話ですけど、私、女神様の国を見てみたいです」

突然、何の前触れもなく直音が口走った。


「マーズ国か、本格的な戦闘はまだ先だろうから行ってみるか!」


「では決まりだな。大将、そこまではどのくらいで着くのだ?」


「下劣な人間ごときの為にお兄様の手を煩わせる必要などありませんわ。この私が連れていってやるの、感謝なさい!」


こうして俺たちはマーズ国に向かうことになったのだ、いや、なっちゃったのである。


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