表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/22

神様、謎の美女と遭遇!

帝国の不穏な動きは、早くも世界に広まっていた。

屈指の軍事力を誇る帝国、そして彼らは自国の絶対的な勝利を確信していた。


◇◆◇◆


珍しく彼方が俺に尋ねてきた。


(人間界の現状を教えてくれ)


俺は知りうる限りの情報を伝えた。


恐怖政治で人々を苦しめる新世帝国がやはり強大であり、他国より頭ひとつ抜きん出てると言える。


次に、マーズと言う女神が支配するマーズ国。国土は帝国に匹敵し、表向きは平和主義を掲げているが、その実、マーズ教会が絶対的な支配権を握っている。


そして、全てが謎に包まれたアルディ公国が存在する。文化や民族など一切不明のため、ある意味一番不気味な国でもある。


かつては数多の国々が存在していたが、戦乱や天変地異によって大半が滅亡または大国の支配下となった。


「帝国は恐らくマーズ国に宣戦布告をしたと思われる」

「知らなかった。帝国以外にまだ国が存在していたとはな!」


ユミたちは感心するように俺の話に耳を傾けている。


(マーズだと?)

「彼方、知ってるのか?」


(ああ。確かミライの従者がそんな名前だった)

「女神が統治する国かぁ。それって、まさに楽園じゃん!」


(違うぞ。マーズは神ではない。ミライは何が気に入らなかったのか、突如マーズの力を封じて下界へ追放したのだ)


「そのマーズってメイドなの?(笑)」


(いや、冥土の代わりに下界へ追放したのだ)


「違ーう!その冥土じゃなくてメイドさんだよ、メイドさん。こう、フリフリのメイド服に身を包んでだな、男の欲望を満たしてくれてだな・・って彼方に説明しても無駄か(笑)」


もはや帝都の視察どころではなくなってしまった。


◇◆◇◆


「若様・・・」


「うん?今、誰か呼んだかい?」

さっきから何度か女性の声がしたような気がする。俺は辺りを見回したが、声の主は居なかった。


「あのぅ、若様であらせられますか?」


「いかにも、じゃなくて君は誰?」

「お忘れですか、若様。大変お懐かしゅうございます!楓にございます」

「楓・・・?おぉ、あの楓か!息災であったか?何故そなたがこのような場所に?」


「あのぅ、大将さん。こちらの美人さんはどなたですかぁ?」


直音が珍しく色恋沙汰を期待した目で語りかけてきた。年の頃は20才ほとで、女性にしては長身、スタイル抜群の美女である。俺は幼い頃より姉のように慕っていたが、大人に成長した楓の姿にドキッとしてしまった。


「紹介しよう。彼女は楓と言って、昔世話になった女性だ。詳しく話すと長くなるから、また今度」


恥ずかしさから話を終わらせてしまった。


「若様、世話になったなど、とんでもございません。全てのお世話をすることが私のお役目でございます」


それから、楓を中心に女性たちはあらぬ話で盛り上がったことは内緒である。


「大将さんも、ヒノモトのご出身なんですね。楓さんから伺いました」

「俺も、と言うことは直音もヒノモト出身かい?」

「はい。サガミノの出身です」


「私も聞いた話では、そのヒノモトと言う国のサガミノで生まれらしい」

「直音様、ユミ様。同郷とお見受けいたします。どうか、これからも若様をよろしくお願いします!」


「あのぉ、楓さん。俺の何を宜しくするんだい?」

「若様には内緒でございます(笑)」


「若様は、かつてヒノモトの国でも最大の勢力を誇ったサガミノと言う国の国主であらせられました」

「楓、今は単なる色男だよ(笑)ここからは、俺が話そう」


簡単に言うとこうだ。父はサガミノを隣国から守るために戦っていた。だが、異国より帝国が攻めてきたため状況は一変。大君は帝国と同盟を結んだ。そうそう大君とは簡単に言えばヒノモトの王様のことだ。だが、帝国はヒノモトとの同盟を反故にして攻めて来た。大君は逃げ出し、サガミノは戦火に包まれた。責任を感じた父は自害、そして嫡男だった俺がサガミノ国主となったわけだ。


その後、俺は帝国との激しい戦いを強いられ、家族を失った。幸いにも臣下たちの犠牲の上で落ち延びる事が出来たが、ある者は奴隷として連れ去られ、またある者は戦災孤児となった。


「直音、ユミ。お前たちがサガミノの出だと聞き、俺の不甲斐なさから人生をメチャクチャにしてしまった。謝っても許されないことは承知している。だが、本当にすまなかった。こんな話を聞いてしまっては、俺を殺したいほど憎いだろう。お前達の気持ちは分かっているつもりだが、仇討ちは今暫く待ってくれ」


「大将、今やお前は仲間だと言っただろう。それにやるべきことがあるのではないか?」

「私は大将さんを恨んでなんかいません。これからもよろしくお願いします!」


「ありがとう、感謝する」

「ところで若様。お腹など空きませぬか?」

「そうだな、そろそろ飯にするか」


俺は出来事を日記に綴った。


こうして新たな仲間、楓が加わり、より一層賑やかになりそうな神様御一行であった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ