コスプレで一番恥ずいのは衣装購入時。
気付いたら僕は牢獄にいた。狭い部屋を囲う壁は黄ばんでいて鉄格子も赤茶色に錆びている。あるのは蛇口、鏡、トイレ、そして僕が寝てるベッド。寝ていた僕は周囲を見渡し、状況を確認すると、そんな状況が目に飛び込んでくる。しかし、隣には女性が寝ているんだからそんな事忘れてしまう。黒いワンピースをきて女性の様な顔立ちをしているが金色の髪は足と反対に伸びて固まっている。起こすべきか、はたまた寝ている間にえっちいことをすべきなのか。そんな事を考えているうちに相手が目を覚まし、口を開く。
「ふー。お、やっと目を覚ましたか。」
いや、さっきまであんた寝てたじゃん、とか思いつつ、(実はさっきまでの目論みを勘付かれたか、とか警戒してたから拍子抜けして
「あー、おはようございます。とりあえず名前教えてくれます?」
「あん?お前俺の事忘れたんか?」
む?僕はこの人と知り合いだったのか。
「俺だよ。囮だよ。切口化だよ。」
ここではっ、となって思い出す。たしか車に乗ってて橋を走ってたら橋が落ちて...
「んー、じゃつまり僕はあなたに拉致監禁されたの?じゃ、なんであんたここにいるん?」
「ばーか。俺も捕まってんだよ。」
偉そうに言ってくるがこれはやばい気がする。
「なに焦ってんだよ二日も寝たくせに。」
どんどん情報が脳に入ってくる。キャパオーバーしそうなんですけど。
「んじゃま、脱出の方法かんがえるかなー。」
まだ考えてないのかよ!と言いそうになったがあろうことか二日も寝てた僕にそんな事を言う資格はないだろう。なに。今から考えればいい話だ。
「とりあえず、一番ポピュラーなのは鍵を盗む、壁に穴を掘る、鉄格子を壊すくらいかな、思いつく範囲だと。」
実際脱獄の経験なんてないからこれくらいしか浮かばないのは仕方ない。発想が貧困でもしかたないな、うん。
「まあ、概ね計画は練ってあんのよ。ただこれはお前しかできないし今日しかできないから賭けだったんだけどもさ。」
素晴らしい!賭けに勝った囮ちゃんは見事僕を連れて脱獄が出来るよ!もちろん僕はその計画に全てを委ねるし出来る協力は惜しむつもりはないよ。さあ、頑張ろう!
「んじゃまずあそこの鏡で自分の格好を確認しろ。決して取り乱すな。現実を受け止めろ。」
は?なんかいきなり空気重いんですけど。まあ、鏡くらい見るけどってところで僕は絶句した。なぜかって?なんでだろう。ここで囮はヘラヘラしながらぼくを茶化す。
「いよーっ!ミニスカポリス!エロいよ!」
そう、ぼくはなぜかミニスカポリスのコスプレをしていた。