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リベンジ魔王  作者: 蚊家津
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魔王は勧誘する

魔王様無能回 パート2


どうでもいい情報ですが、魔王様は女性経験がありません。リジィーはもちろん、昔の体でもです。

だから基本的に、そういった男女関係について、魔王様が女性の思考を読む時は大抵間違っています。仕方ないね。

 魔王城内、魔王の寝室。その部屋に備付けられたベッド。今現在、人間である自身には巨大すぎるベッドに埋もれながら、リジィー・スロードは考える。


 「……とりあえず、当分は奴隷達の成長に時間を割くか……6人の人間世界の勉強が終われば、シュリも解放される。そこからは再度、自身の成長を優先しながら。時が来るのを待つとしよう。」


 独り言は誰にも聞かれない。まぁ、聞かれていたとしても問題は無い。とりあえずの当面の方針を固めつつ、時間が過ぎるのを待つ。


 「ロロスは潜伏作業に入るまで、超大型を作って貰おう。問題は他の五名、どういった指示を出すべきか……」


 6人には、少なくとも女の奴隷が、最低限の礼儀作法と使用人としての仕事を覚えるまで、人間世界への潜伏を待ってもらうつもりだ。

 というのも、多少人間世界について知っている使用人がいた方が、有事の際、彼らの助けになると判断したからである。

 なればこそ、これほど人間という種が最適な事も無いだろう。そう思っての采配である。


 それに彼らには、武器商人や旅商人などの、ある程度の役を持ってもらうつもりだった。その役のどれもが、誰も人を雇っていないのはおかしいものだった。

 いらないと言っても、命令で押し付けるつもりだった。それならば、10魔族に少しでもストレスを与えない様に教育した方がいいだろう。


 ……考えは逸れたが、5名にはサロスとロロスの手伝いに回って貰うとしよう。最悪待機でもいいか……彼らの力を無駄にするのは勿体ないが……


 大まかな方針は決まり、その他こまごまとした考えをしながら、リジィーは青い髪の少女がこの場に連れて来られるのを待った。

 アグリウスに、此処に連れてくるように指示を出したその少女は、もうそろそろ来てもいい頃合いんpはずだった。

 

 「リジィー様、青髪の少女をお連れしました。」


 「中に入れろ。」


 噂をすればなんとやらか、その返事と共にアグリウスに連れられ現れたのは、まだ10歳ほどの青い髪の少女だった。

 短く切られたその髪は、先ほど行われたであろう湯浴みの所為だろう、まだ乾いておらず湿っている。そして、ほんのり香る石鹸の匂いが、しっかりと体を洗って来た事を物語っていた。

 そしてどこから調達したのか、その身に纏うのは、フリルがふんだんにあしらわれたメイド服である。彼女が動く度に揺れているので、機能性が重視される服では、むしろ邪魔なんじゃないかとさえ思う。

 たぶん、スロノドール当たりの趣味だろうか……あの者が、人間の奴隷に自身の服を貸し与えるとは思えなかったが、彼女が来ているのなら、そういう事なのだろうと納得する。


 「ご苦労、アグリウス。後は他の奴隷達の食事の準備をを引き続き頼む。それが終わったら、我々に対する軽い知識と礼儀作法を教えてやれ。スロノドールとリナシー辺りが口煩いだろうからな、此方はしっかりとだ。」


 その指示に軽い礼を返し、アグリウスはこの部屋を去る。青い髪の少女とはこれで二人っきりとなった。

 彼女は何を考えているのか、その顔を緊張させている。


 「……そんなところに立っているのも疲れるだろう。其処に座ると良い。」


 このままでは話もままならないだろう。ベッドから立ち上がり、備え付けられたテーブル、その前にある椅子に座りつつ、向かいの椅子を指さし、彼女をが座るのを待。そして彼女が座ったのを確認した俺は、自身が兼ねてより、確認したかった事を問いかける。

 

 「君なのだろう、あの奴隷市場での脱走を計画したのは。」


 彼女の答えは少し息を飲む音だった。顔は依然動かす事は無かったが、まだまだ未熟だと思ってしまう。

 いくら顔を動かさない様にしても、気配や目線の動き、今の様な息を飲む行為は、もろに相手に自身の心情を悟らせる。

 隠したいのなら、徹底的に感情を殺さなくてはいけないのである。それが無理なら、意識的に感情を奥底に沈めなければいけない。

 それを理解していないのか、何とかばれずに乗り切った、と言わんばかりの雰囲気を彼女は発している。


 ……知恵は回るようだがまだまだ子供か。なら、多少は御しやすいかもしれない。


 「私に隠し事は無駄だ。君が計画したのだろう。」


 ……なんかこの世の終わりの様な顔をしている……何故そんなに俺に見抜かれたのを驚いているんだ?

 よく見ると冷や汗も流れ始めている。威圧したつもりは無いのだが……


 「……はい、そうです……」


 やっとの事で絞り出した様な声が、彼女の口からこぼれ出る。何をそんなに恐怖しているのだろうか。それで自身の不利になる事など何もないのに。


 「やはりか……いや、あれは見事だったぞ、よくぞ恐怖に固っているであろう皆を、あそこまで纏めた。」


 リジィーが彼女に送るのは賛辞の言葉。


 リジィーは……魔王はこの少女を高く評価していた。彼女の知恵と、生まれながらに持ったであろう、その求心力をだ。

 何故ならそれは、魔王が部下に欲していた物であったからだ。

 もちろん、10魔族の皆は全員それを持っている。……はずだ。そしてそれに加えて強大な力も持っている。

 しかし彼らはあくまで魔王の直近、前線に立つ事はほとんど無かった。

 だからこそ、10魔族の下に着き、前線に立ち無数の兵士を引き連れる者に欲したのは、単純な力よりもその知恵と求心力である。

 単純な力押しで敗北した魔王が、その経験から出した数々の結論の内、その一つがそれであった。


 そんな魔王の内心を知らない少女は、何故か俺の賛辞に肩をよせ、縮こまっている。


 何がそんなに怖いのだろうか……


 まさか、私の言葉を嘘だと思っているのだろうか……だからこの少女は、俺の言葉を素直に受け取れずにいるのかもしれない。

 ならば、その賛辞が事実であると思ってもらえばいい。それと共に私の要求も聞いてもらう事にしよう。


 「私は君を高く評価している。どうだ、私にその身と心を捧げないか?褒美は望みの物をやろう。」


 何故か固まっている少女に、その緊張をほぐす様に、此方から諭す様に優しく語り掛ける。

 別に恐怖で屈服して貰おうとは毛ほども考えていない。出来る事なら、彼女自身から、望んで忠誠を誓ってほしかった。

 大事な局面で裏切られる様な忠誠では困るのである。それとは別に、俺はそれほど気にはしないが、目下の者が目上の者に自身を売り込むのは、勇気のいる行為なのだとどこかで聞いた事がある。なら目上の俺から提案する事で、承諾しやすくなると考えたのだ。だからこその、此方からの提案である。

 これで、彼女からしてみれば、たた承諾の返事をするだけで、私に忠誠を示せるはずだった。


 そんな俺の気遣いを知ってか知らずか、彼女はその口を小さく開く。出てきたのはもちろん、承諾のことば……


 「やっぱり、口でなんと言おうと、貴方が欲しているのはこの体なんじゃないですか。」


 ……う~~~~~~ん、何か間違ったか?


 彼女が言っている事に何も間違いはない。俺は彼女の忠誠とその力を欲しかったからだ。だから、彼女は俺の目的を理解しているはずなのである……

 ただ、彼女のその瞳に宿っている紛れも無い敵意が、自身の言葉選びが間違っていたのではないかと思わせる。


 肯定するべきか否定するべきか……思考は一瞬。この後の話の流れを組み立てながら、彼女に告げる


 「もちろん、私は君の事をとても気に入ったのだよ。別に君だけ手に入れば良かったが、まぁ幸運は他の者にも分け与えられるべきだろう。」


 「人質のつもりですか?残念ですが、その手は親しい者じゃないと効果がありませんよ。」


 …………おかしい。俺の寛大な度量を見せるつもりが、ますます軽蔑の色が強くなっている。


 なんだ?何がきっかけで俺は彼女の敵意を買っているのだ?自身の発言を思い返してみるが……何も可笑しな所は見つからない。ならば、もっと前の行動を思い返してみるべきか?


 ……確かに主従関係を明確にするために、わざわざ10魔族を集めて多少威圧はしたが、それでも奴隷の皆には手を出すなと伝えたはずだ。

 まさかこの聡い少女が、俺と10魔族の立場を理解できない訳ではあるまい。問題なかったはずだ。


 ……あの檻に使った魔法がいけなかったのか?あれは特になんも考えていなかった。ただ邪魔だったからこの世から消しただけなのだ。人間だってゴミが出たら処理をするだろう。それと変わらないはずだ。

 だから、これも問題ないだろう。


 ……ならあの演説が悪かったのか?しかし、奴隷諸君には、しっかりと自身達が奴隷の立場にいる事と、俺の目的をしっかり伝えたはずだ。何ら反感を買う様な事は言ってないはずだ。

 問題は無いはずだ。


 ……浴室か!?浴室が汚かったとか!?……いや奴隷の分際で、そんな事気にするわけが無いか。それにしっかりと体を洗って来ている事から、それも問題ないはずだ。




 …………解らない。何故私はこんなにも敵意を抱かれているのだ。

 思わず、顔を覆う為に上げた手に、何か固い物が触れる感触がした。それは自身が今もまだ外す事無くつけていた仮面である。


 (これかーーーー!?)


 そう、考えてみればそうなのだ。自身の素性すら明かさぬ者に、どう忠誠を誓えというのか。

 彼女が俺に持っている警戒心も、そこに起因しているのだろう。自身の正体を明かす事は躊躇われたが、俺に忠誠を誓わなかったとしても、もう生きてこの城から出る事など不可能なのである。なら隠しておく必要も無いだろう。


 「すまない、今もまだ仮面をつけていたのを忘れていたよ。至急取り外そう。」


 彼女は怪訝な顔で見つめ続ける。それを無視し俺は仮面を取る。

 俺の顔に、彼女は少しばかり驚いた顔をしている。まさかこんな少女にも、この顔とリジィー・スロードの名が……


 「……若いんですね。」


 ……伝わっている訳では無いようだ。考えてみれば当然か……冒険者ならともかく、それと関係の無い者が、顔と名が一致すると思えなかった。……だから悔しくは無いのだ!!断じて!!


 「私が若くて驚いたか?」


 俺の言葉に、自身の感情が悟られたと焦ったのだろう。一瞬その顔をに苦い物を浮かべたが、それでも顔の動きを出来る限り抑えている。よくもまぁ頑張る物だ。

 ともかく、これで彼女が俺に忠誠を誓わない原因が排除された。再度提案の形で忠誠を誓うように迫る。


 「ともかく、これでなにも問題あるまい。答えを聞こうか。」


 「私に拒否権なんて初めから無いじゃないですか。そんな事せずに、さっさと欲望に忠実になったらどうですか?私は……私は絶対に屈服しませんから!!」


 ………………俺何か間違ったかなぁ!?なんでそんな恐怖に怯えた顔と共に、自身の体を両腕で必死に守る様に抱きしめているのかな!?

 明らかに俺の描いていた形と変わっている。本来なら今頃、この少女は俺に跪き頭を垂れているはずなのに……


 「……よし、少し互いの認識を確認しよう。そのほうがお互いの為になると思う。」


 何を誤解しているのかは解らなかったが、その後の数度の会話で、何とか此方の意思を理解してもらえたようだった。

 彼女のその表情は少し申し訳なさそうに固まっている。


 「……さて、これで私の考えを理解してもらえたであろうが……答えは?」


 答えというのはもちろん、忠誠を誓うかどうかである。

 今度はしっかりと理解してもらえているようで、考えを纏めているのであろう。沈黙が場を支配していた。


 「貴方に忠誠を誓わなかった場合、私はどうなるのでしょうか?」


 「他の奴隷と変わらない。彼らと共に彼らと同じことをしてもらう。そこに私情は挟まないから安心したまえ。」


 彼女のその疑問も当然だろう。だから俺は、彼女の言葉が今後に何も影響しないと伝える。才ある者を起用できないのは勿体ないが、こればかりは仕方のない事だろう。

 あくまで自由意志なのである。そうでなくては、信頼出来るものも出来なくなる。


 ともかく、多少回り道をする事にはなったが、これで彼女の快諾の声が……


 「すみませんが断らせていただきます。」


 何でこうもうまくいかないのかなぁ!?俺に忠誠を誓う事で、自身が得られるはずのメリットはちゃんと明示した筈なのに!!

 何?この子天邪鬼なの!?それともこれは、彼女なりの駆け引きだったりするの?これ以上の褒美を引き出そうとしているのか?


 なら、他の褒美を考える為に、彼女に明示したメリットを確認しなくてはなるまい。

 彼女に明示したのは……奴隷の立場からの脱却、それと共に10魔族ほどでは無いが、この城内でのある程度の権力を認める物。

 次に、望みの褒美を与える事。一応これには現物で支給できる物と制限は付けさせてもらったが、それでも、奴隷の立場からしてみれば、これもまた魅力的であろう。

 最後に、この城内に居る限りの安全の保障である。まぁ、これは当然だろう、誰が好き好んで危険な場所で働きたいだろうか。


 これ以外に出せるものなど限られる。そもそもが出し過ぎなのではないかと、自身でさえも思うものである。それでもこれに多少付け加えるだけで、忠誠を誓ってもらえるのなら安い物だろう。

 あれはどうか、いやこれならどうだろうか、と自身の出せる褒美を考えていると……


 「……いくつか質問させて下さい。私が貴方に忠誠を誓うかどうかは、その質問の答えを聞いてから、再度考えさせてください。」


 「うん?……まぁ良いだろう。何を聞きたいんだ?」


 特段彼女の質問を断る理由は無い。それで先ほどの答えが変わるなら、多少の労力と時間位割いてもいいだろう。

 青い髪の少女は、俺の了承を得て質問を開始する。


 「まず、貴方は何者なんですか?見た所人間の用ですが……」


 「その見解通り、この体は人間だ。そして、私の名はリジィー・スロード。以後、リジィーと呼んでくれて構わん。……一応忠告はしとくが、敬称は付けた方がいいぞ。私はあまり気にはしないのだが、周りの者が口煩いのだ。」


 彼女の顔には、そういった事を聞きたいのでは無いという思いが見て取れる。なら彼女の求む答えを出すべきだろう。


 「リジィー・スロード……この名は人間の間では有名なのであろう?それと同一人物だ。そして、私は500年ほど前に、人間に滅ぼされた魔王でもある。」


 「リジィー……スロード!?それに……魔王!?彼を殺して憑依したという事でしょうか?」


 「う~ん?そう取られるのか……勘違いしないでほしいが、私は人間として生まれた時から、魔王としての記憶があったぞ、まぁ簡単に言えば、転生したという事だ。」


 転生という言葉を聞き、驚愕を禁じ得ないようだった。当然か、無魔法という存在を知らない人間からすれば、世界の秩序を捻じ曲げる力を、理解できないのだろう。

 もう隠す気すら無いのか、その顔を驚きに固めている。そんな彼女に、次の質問を促す。


 「リジィー……様。貴方の目的は何ですか?」


 「人間を滅ぼす。まぁ繁殖用にいくらか飼ってやってもいいが、それでも大多数の人間には死んでもらうつもりだ。」


 俺の返答は想定内だったのだろう、特段何の感情も持たず、怯むこともせず、彼女は続ける。


 「何故、そこまで人間を憎んでいるのですか?」


 これには少しばかり面を食らう。というのも、俺の行動理念には憎悪は、これっきしも無かったのである。

 どういうのが正しいか、少しだけ言葉を探してしまった。その間が不思議だったのだろう、怪訝そうな表情のまま彼女は此方を見つめている。


 「別に憎しみはこれっぽちも抱いていない、もしかしたら辛うじて怒りはあるかもしれないが、それも理由になり得るほどでは無いな……あえて言うのだとすれば、約束であろう。」


 「約束……ですか?」


 「そうだ、私はかつて人間に戦争を仕掛ける時、私の部下に勝利を誓ったのだ。なればこそ、私はその誓いを実現させなければいけない……だろう?そういう事だ。」


 その答えは意外だったのであろう。困惑を隠す事も無く表している。……そんなに不思議な事なのだろうか?

 此方の疑問には気が付かないまま、何とか納得したのであろう、青い髪の少女は次の質問へ移る。


 「私に臨むのはなんですか?」


 「君の出来る事全てだ。これには、今後君が成長していった上で身に着ける技術も含まれる。その全てを用い、私の願いを叶えろ。」


 その答えを聞いた彼女は、少しばかり口を引き結びながら聞いてくる。


 「人間を……滅ぼす手伝いも……ですか?」


 「そうだ、なんだ?人を殺すのは嫌なのか?君も頭が回るのだから、奴隷の自身が私に買われなかった時の末路ぐらい、簡単に想像できるだろう。」


 彼女の境遇を詳しくは知らないが、少なくとも同族に良い感情は抱いていないはずだった。なぜそこまで躊躇うのだろうか?八つ当たりに近いとはいえ、復讐するチャンスであろうに。

 彼女は顔を下に向け、何事かを考えている。その感情は読み取れなかった……

 ただ沈黙が場を支配する中、扉が叩かれる音と共に、一つの声が掛けられた。


 「リジィー様、お食事をお持ちいたしました。いかがなさいましょうか?」


 その声に食事を並べる様に指示を出す。入ってきたのはリナシーである。彼女はたおやかな身のこなしで、料理を並べていく。……俺の前にだけ。

 

 「あ~、リナシー……その者の前にも並べてやってくれ。」


 リナシーからしてみれば、青い髪の少女は奴隷と変わらないのである。だから、自然と彼女の前に並べ無かったのだと判断しての言葉であった。


 「リジィー様……な・ぜ。でしょうか?何か明確な理由があるのでしょうか?」


 なぜリナシーは、こんなにもこの少女に敵意を抱いているのだろうか……思えば、この部屋に入ってきた時、この少女に一瞥くれてから、彼女の方には見向きもしていない。

 ……リナシーがこの部屋に入る時、形だけでも席から立たせておくべきだったか?多分だが、彼女は少女の礼儀がなっていないのが気になったのかもしれない。


 「リナシー、この少女は今は客人だと思って接しなさい。しっかりと教育していなかった私のミスだ。それでいいな?」


 その俺の言葉に、しぶしぶではあろうが承諾を返し、料理を並べ始める。

 しかし、少女に向けられる視線には、明らかな敵意が含まれていた。なぜそこまで敵視しているのだろうか……


 それでもすぐに料理は並べ終えられる。自身の仕事が終わったリナシーは、一つ礼をし、部屋から出て行った。その際……


 「こんな貧相な体の者では、リジィー様を満足させられるはずがありません。私ならいつでも準備が出来ておりますので、好きな時に呼んでください!!」


 ……と言っていたが、何も鍛えていないこの少女が、私の目的を満たしてくれるはずが無いのは重々承知していた。だからこそ、リナシーの言っている言葉の意味が良く解らなかったので、曖昧な返事を返すしかなかった。

 

 そんな一幕の間も、青い髪の少女は俯いて考え事をしていた。

 何を考えているかは解らない。それでも、サロスがせっかく用意してくれた料理を、無駄にする訳にはいかないだろう。

  

 「考え事は、食事をとりながらにしたまえ。サロスの料理は美味なのだ。それは私が保証しよう。」


 その一言と共に、互いが互いに喋る事も無く、食事は始まった。




 しかし、その美味しいはずのサロスの食事を口にしても尚、青い髪の少女は、ただ食べるという行為をするだけで、それ以外の反応を示す事は無かった。



個人的に無能回を書いている時が楽しい今日この頃。

ぐだぐだしている話ですが、楽しんでいただければ幸いです。


始めはブラウ視点で書いていこうとしたんですけれど、やっぱ魔王様が無能晒している時がくっそ楽しいんで、魔王視点で書かせてもらいました。


次回はまたブラウ視点に戻る予定です。次回もよろしくお願いします。

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