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プロローグ

途中途中で甘い恋愛が入ってくるかと思います。シリアスな部分もあるかと思います。宜しければお付き合いください!!

1.プロローグ  

「何をしているの?」

ひとりの綺麗な女性が、青年に話しかける。

突然のその声に、青年は、目を丸くした。

「お母様。どうしてここに?」

「あら?私の家の庭なのに、自由に出歩いてはいけなかった?」

冗談めいた口調。

青年は笑みを浮かべた。

「いいえ。ただ、お母様ともあろう御人が、護衛も付けず、ひとりで城から一番遠い、この場所に来るなんて発想が、俺にはなかっただけです」

青年も、冗談のように返す。

「物事はもっと、柔軟に考えるべきよ」

「そうですね」

「ところで、質問の答えは?」

「質問?…ああ、何をしているか、ですか」

「ええ。庭の、それも城から一番遠いこの場所で、何をしていたの?」

「…何もしていませんよ」

「そうかしら?なんだか、ものすごく嬉しそうな顔をしていたから、何か素敵なものでも見ているのかと思ったわ」

女性は頬を持ち上げ、そう告げる。その言葉には、どこか含みがあるようだった。

しかし、青年はそれに触れず、女性から視線を外す。

見渡せば、緑が広がっていた。

木々が立ち並び、花は風に揺れている。空の青さも加わり、絵画のような美しさだった。

振り向けば、大きな城が立っている。離れたこの場所から見ても大きいのだから、近づけばもっと多いいだろう。

見渡す限りのすべてが、彼らの庭であった。手入れが行き届いているその庭は、それだけで彼らが裕福であることを物語っている。

様々な色の花。光沢のある木の葉の緑。それらが彼らを輝かせる。

「何もしていませんよ。…俺には何も見えませんし。この先には、緑しかありません」

青年は、遠くを見つめたまま呟く。

しかし、言葉とは裏腹に、彼の目はどこか輝いていた。その目に女性は気づいていたが、それ以上は、何も聞かず、ただ青年の言葉に耳を傾ける。

青年に習い、同じように遠くに視線を向けた。

言葉通り、目の前には緑しかない。目を凝らせば、小さな建物が微かに見える程度だ。

しかし、青年は瞳はその建物のはるか向こうを見つめている。

目を凝らしても見えない、遠くを。

母と息子の間に、沈黙が流れる。

しばらくして、青年はおもむろに、言葉を付け足した。

「…ただ、俺が望んでいるだけです。ずっと、…望んでいるだけです」

「そう」

何を指しているのかわからない台詞。しかし、女性は「何を」と問うことはしなかった。

青年の言葉に小さく頷く。

美しい微笑を浮かべ、優しい声で言った。

「その想いが、通じるといいわね」

青年は、「はい」と告げ、満面の笑みを彼女に向ける。

そして、再び、遠くを見つめた。

青年の瞳に太陽の光があたり、輝きが増す。

そのことに、彼女だけが気づいていた。


これから少し長めに続きます。

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