第73話:友の集合知と料理について
「だからフランケンシュタインは怪物じゃなくて、それを作った博士の名前なんだって。しかもフランケンシュタインで一つの名字だから、フランケンで区切ったら変だぞ」
「濃縮メチルってのも変なアイテムだよなぁ。メチルアルコールなのかメチル水銀なのか、とにかくヤバそうな感じの名前を適当に付けたんだろうけど」
「だいたいゴミ処理場なのに交通の便が悪すぎだろ。車すら入れないって終わってるぜ」
午後。うちに遊びに来たハルキとソラ、ソウタが画面を見ながら次々にツッコミを入れる。そう、僕のパーティは賞金首のダストフランケンと戦っているのだ。しかし圧倒的な攻撃力と耐久力の前に敗北したので、リセット。
*
「装備は最強だと思うんだけどな……」
TNTパラノイアでもたいしたダメージが出ない。濃縮メチルはそこそこ効くようだ。しかも使い捨てかと思ったら、何度も使えるらしい。
「そうだ、前に見つけたレンズは結局どうだったの?」
「あ、そういえば3枚目を拾ってたんだった」
ソラに言われて思い出す。戦車装備ばかりを拾ったのでうっかり忘れていたのだが、焼け跡の工場でカメラのレンズを拾っていた。さっそく、ヤミクモ博士のもとへ。以前ソラが予想した通り、光学兵器のレーザーバズーカができた!
*
「レンズの組み合わせで性能が変わるのか……」
3種類のレンズを4ヶ所に配置する。空白も含めると24通りの組み合わせだ。
「さすがに、これはネタバレ見てもいいだろ?」
ハルキが言うと、さっそくソウタがスマホで検索をする。
「これはファミコン版のメタルマックス1だよな。ということはこれか。……現状だとメガネ・ルビー・カメラの順番が良さそうだな」
「空白は?」
「ああ、それは無視されるらしいぞ。左からのレンズの順番だけで決まるって」
さっそく作って、ソルジャーのイングリに装備させる。TNTパラノイアから攻撃力が140ポイントも跳ね上がった。
「そういえば、戦闘中に装備は変えられるんだっけ」
「確かできたはずだけど、どうかした?」
「さっきプロテクターが破壊されたって出てきたけど、壊れるたびに付け替えればその分のダメージは無くせるんじゃない?」
確かに、ソラの言うとおりだ。プロテクターが身代わりになって壊れる場合、本体は一切ダメージを受けない(敵も同様なので、このせいで無駄にしぶとかったりする)。フル装備だと予備のプロテクターは2個しか持てないが、煙幕花火で回避率を高めればそれだけでも十分かも知れない。
**
「よっしゃあ!!」
思わず声が出る。作戦は成功し、誰も死なさずにダストフランケンを撃破した。やたら硬かったのだが、HPは大したことがなかったようだ。
「盛り上がってるわね」
母がやってくる。手に持ったお盆には切り分けたカステラと、アイスコーヒーのコップ。このカステラはハルキが手土産として持ってきたものだ。
「カステラ、私達もいただいたんだけど美味しかったわ。ハルキ君が焼いたの?」
「ええ、レンジで料理別のモード設定ができますし、分量さえちゃんと計れば簡単ですよ」
ハルキは料理が上手い。前に遊びに行った時にババロアを出してもらったことがあるが、それも自分で手作りしたものだという。
「ハルキとは昔から一緒に料理を作ったりしてたんですよ。理科の実験みたいで面白いし」
「分量ちゃんと計るのって大事ですよね! 俺、この前お好み焼きを自分で作ってみたら、粉が多すぎてボソボソになっちゃいましたし」
みんな、結構料理をするようだ。僕は未だにフライパンを使う料理には抵抗がある。油が跳ねて顔にかかるのがちょっとしたトラウマなのだ。もっと身長が高くなれば気にならなくなるのかも知れないが。週明けには家庭科で調理実習がある。確か麻婆豆腐だったはずだ。食べるのは好きなんだけれど……。
**
「ねえ、今日の夕飯は何作るの?」
「そうねえ、豚肉と野菜……キャベツや玉ねぎでも炒めようと思ってるんだけど」
「手伝わせて!」
友達を見送った後、母に持ちかけてみた。調理実習の前に、少しでもフライパンに慣れておきたい。フミさんの前でみっともない姿を見せるのは嫌だから。




