表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
令和の中学生がファミコンやってみた  作者: 矢木羽研


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/90

第41話:テスト明けは一人じゃない

「テスト、どうだった?」


 2日にわたる中間テストが終わり、今日からは部活も再開する。健康な体づくりを目的とする「トレ部」ことトレーニング部で、一緒にストレッチをしながら日々木さんが聞いてきた。


「まあまあかな。思ったより簡単だったというか」

「私も。特に、英語は割と自信あるかも」


 最初に中古屋で会った時、『|Final Fantasyファイナルファンタジー』をナチュラルに英語らしく発音していたのを思い出す。個人的にも、LとRの発声や聞き取り方のコツなどを教えてもらったりしている。


「ねえ、MOTHERはどんな感じ?」


 FF1とDQ1の時は同じゲームをプレイしていたので日記に詳しく報告していたが、今は違うゲームを遊んでいるので、ネタバレへの配慮もあってゲームの話は少なくなっている。


「えーっとね、まだ仲間は見つからなくて一人旅してる」


 DQ1はずっと一人旅。桃太郎伝説もおともはおまけキャラのような扱いなので実質一人旅だろう。一方で、FF1は最初に4人パーティを作る。MOTHERはそのどちらでもなく、最初は主人公の一人旅から始まって、徐々に仲間が増えていくという形のようだ(テレビゲームのRPGではこれが主流なスタイルらしい)。


「こっちは犬とキジが仲間になったけど、ほぼ一人旅かな」


 一応おともは増えたのだが、攻撃頻度が低すぎて存在を忘れがちである。


「金太郎とか浦島太郎は仲間にならないの?」

「みたいだね。そもそも偽物を倒したけど、本物はどこにいるかわからないし」


 金太郎、浦島太郎といった昔話の主役は、みんな鬼が化けていた偽物だった。どこかに本物がいるのだろうか。続編であるスーファミの『新桃太郎伝説』では、彼らも仲間になってにぎやかなパーティになると聞いている。


 *


「久しぶり、元気してた?」

「はい、腕立てと腹筋は毎日やってます」


 軽く運動した後、昼食の準備をしていたら顧問の先生と久しぶりに会う。連休前の4月28日の午後練以来だ。


「初めてのテスト、どうだった? 期末は家庭科のテストもあるからね」


 トレ部の顧問は家庭科の先生でもある。期末テストでは五教科に加え、技術家庭と保健体育でもペーパーテストを行うと聞いている。


「まあまあですね。家庭科のテスト、むしろ実技よりできるかも……」

「実技も頑張りなさいね。今月は調理実習もあるんだから。日々木さんのほうは大丈夫そうね」


 彼女は以前から食事についてのアドバイスを受けており、先生とはよく料理の話もしている。


「でも、私だっていつも同じようなのしか作ってませんから」

「今日のお弁当も自分で作ったの?」

「はい!」


 今日の午後は授業がなく、テストの後はホームルームで解散なので給食も出ない。部活などがある生徒は、各自弁当を持参するという珍しい日だ。日々木さんがカバンから取り出した弁当箱を開くと、あのときと同じサラダチキンサンドが詰まっていた。今日は緑色のソースが見える。


「今日はテストの日なのに、偉いわねぇ」

「夜のうちに作ったのを挟んだだけですから」

「あんまり無理しちゃ駄目よ」


 そこまで言うと、先生は他の部員のところへと歩いていった。


 *


「……ねえ、一個あげようか?」


 早々と弁当を食べ終わった僕の視線に気づいたのか、日々木さんが声をかける。


「え、いいよ。僕の分は食べたんだし」

「まだ足りないって感じに見えるけど?」


 そう言って、にやにや笑いながら僕の顔をのぞき込む。実際、彼女の手作りのサンドイッチをとても食べたいという気持ちに間違いはない。


「うん……それじゃ、いただきます」


 言い終わる前に、彼女は僕の弁当箱にサンドイッチを入れてくれた。さっそく食べる。


「これは……ほんのりチーズ味?」

「ジェノベーゼソース。本当はパスタ用なんだけど、変じゃないよね?」

「ああ、あれか! うん、すごく美味しい!」


 前にファミレスで食べたことがある。緑色のはバジルの葉っぱだっけか。


「パンは全粒粉ね。栄養があるっていうから」

「色々考えてるんだなぁ」


 言われてみると、ほんのり茶色っぽくて香ばしい。バジルの香りによく合う気がした。


 *


「よーし、午後も頑張ろう!」


 日々木さんが(もちろん母も)作ってくれた料理が僕の体を作ると考えると、筋トレにも熱が入る。僕は一人じゃない。連休とテストでなまった体に活を入れていこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ