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令和の中学生がファミコンやってみた  作者: 矢木羽研


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第29話:パスワードのリレーと並走

「メルキド、たしかにすごい装備売ってるんだけど、敵が強すぎて安定して稼げないんだよな」


 何度か失敗を繰り返しながらも、とにかく逃げまくることでレベル13でメルキドに到着したようだ。ゴーレムとの戦いはビデオチャットで報告してくれた。妖精の笛で確実に眠らせられるようだが、寝起きの攻撃が強烈で、薬草で回復しながらのぎりぎりの勝利だった。


 そして、ハルキはいくつかの重要そうなセリフと、武器屋の品揃えを撮って送ってきた。炎の剣、みかがみの盾といった、最強クラスと思われるアイテムが並ぶ。


「他のところで稼いでくればいいんじゃないの?」

「いや、それでも途中で死ぬ可能性がある。死んだら半分になるだろ」

「なら、リセットして復活の呪文でやり直せばいいじゃん」


 僕の作戦はこうである。お金が溜まった状態で復活の呪文を聞いたら、それを僕の方でも入力する。死んだらリセットしてやり直し。どちらかが無事に到着したら、武器を買ってルーラして復活の呪文を聞く。つまり、二人がかりならば通常の2倍も試せるというわけだ。パスワード形式ならではの攻略法だと思う。


「なるほど! さっそく稼いでこよう。どこがいいかな?」

「リムルダールの南のほうがいいと思う、ゴールドマンも出るし」


 *


 さっそく、稼ぎ始めたようだ。今はハルキのターンなので、いま僕が敵を倒してゴールドや経験値を稼いでも無駄になる。パスワードによる進行は統合できないのだ。なので、ゲーム内の「情報」を改めて確認することにした。


 洞窟にロトが残した石版をもう一度見に行く。3つのアイテムを3人の賢者に託したという。このうちの2人は、雨雲の杖と太陽の石を持っていた老人だろう。残る1人はどこにいるのだろうか。マップ南東のほこらは3つのアイテムを合成する場所のようだから、アイテム自体を持っている人が別の場所にいるはずだ。


 ハルキから送られてきたメルキドの情報も見る。ロトの鎧に関する情報のほかに、「ラダトームの城まで北に70、西に40の場所を調べろ」と。逆に言えば、ラダトームの城から南に70、東に40の地点ということになる。


 さっそく「測量」してみることにした。南の方は敵が強いので、まずは東の方。聖水を使って一歩ずつ数えながら歩いて行く。説明書のマップと照らし合わせてみると、ちょうど雨雲の杖があった地下室のあたりと同じ縦軸になるようだ。長めに見積もっても、リムルダール方面までは行きそうにない。


 続いて横軸である。距離70なので、縦軸である40歩分の2倍弱を目安にして、地図に定規を当ててみる。2つの軸が重なるのはメルキドの南東部。きっとここに、第三のアイテムがあるはずだ。わざわざヒントを出すくらいだから、おそらく入口が隠された地下室があるのだろう。


 とはいえ、本格的に探索できるようになるのはまだ先だろう。戦力面でも、ロトの鎧を先に手に入れたほうがよさそうだ。


 *


「よし、これでどうだ!」

 しばらくして、ハルキから画面写真が送られてくる。


あいこねざ ぐぐにれごほた

ばねあおよ ぶたら


 レベル14になり、ゴールドは1万を超えている。


「どっちが先に着くか競争だ!」

「オッケー!」


 さっそく、僕も入力する。このとき、勇者"はるまき"の世界は二つに分岐する。どちらか生き残ったほうの歴史がパスワードとして残るという、一種の生存競争だ。


 *


「メイジキメラにやられた! ラリホーで眠りハメは反則だろ……タケルはどうだ?」

「なんとか生きてる! でもMP無くなった!」


 キラーリカントの打撃、大魔導のベギラマ、そして恐ろしいドラゴンの炎などから逃げまくり、なんとかメルキドが見えてきた。ホイミのMPどころか、すでに薬草も使い果たした。ここで逃げられなければ終わりだというタイミングでなんとか逃げ切り、城壁の中に滑り込んだ(ゴーレムが復活していたらどうしようかと思ったが、大丈夫だった)。


 *


「炎の剣、ゲット!」


 さっそく、購入時の画面とステータスを送る。


「攻撃力は鋼鉄の剣の+8か。値段の割にしょぼいな」

「まあレベルアップ1回分くらいか」


 忘れないうちに宿屋に泊まり(キメラの翼を買ったほうが安かったことに後で気づく)、ついでに聖水を補充し、ルーラで城に戻って呪文を記録する。


ぐざでくめ そちぢしてぼで

いほかころ うなわ


「ハルキ、今日はどうする?」

「うーん、もういいかな。さすがにダレてきたわ」

「わかった、明日までにみかがみの盾が買えるまで貯めとくよ」


 **


「へえ、もうそんなに進んだのか」

「3人がかりで進めてるようなものだからね。パスワードなら誰でも続きができるし」


 夕食の時間、父と話をする。DQ1はネットに繋がっているわけではないが、パスワードさえあればどのカセットや本体からでも続きができる。画像をやりとりできる時代ならではの遊び方に、父は感心しているようだった。


「思ったより早く終わるかもな」

「うん、やりたいゲームは他にもあるからね」


 最強装備の一歩手前だし、もうゲームは7割がた攻略し終えたあたりかなと思っていた。……この時点では。

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