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5日目 記憶

三好さんとこの男の因縁は__?

「やっぱりてめぇか

...このクソ野郎がァァ!」 バゴッ



何が起きているのか___



男を殺さんばかりの目つきで殴り続ける三好さんを警察3人がかりで止めに入っている





俺は___



殴られた拍子にはっきりと見えた男の顔を見た瞬間



記憶にない記憶が蘇った





「ハァ...ハァ......ア゛ア゛ッ!」











♪たとえばきみが傷ついて〜


     くじけそうになった時は













『ん?なに、あなたも家出されたの?』



『ヒック...ヒック

おなか...すいた。』





『......ぷっはは!

私も。___一緒だね。』











♪必ず僕がそばにいて〜


        ささえてあげるよ そのかたを










ドサッ...



「はぁはぁ......ッ祥?!」













「教えたでしょ...


      一目見れば___



              思い出すって。」











倒れた俺が目を覚ましたのは



丸一日経った

5日目の夕方だった






「...んっ...ここは?」

「あ!祥君!起きたのね、良かったわァ。」


「...ばあちゃん?」



目を覚ますとベッドのそばには、実家の方にいるはずの祖母がいた。

水は飲むか?ナースコール押した方がいいか?

あたふたしていると病室のドアが開き



「祥君!目覚めたんだね!」

「祥!あぁよかった。」

「菜子さん?照史さん?」



「......おお、起きたか。」


「...三好さん。」






医者や看護師にバイタルや血圧やらを計られる

ようやく落ち着いた頃、医者たちが退いた病室は静まり返っていたが




「祥、お前に話さなきゃならねぇことがある。」


「......うん。」



そう言った三好さんは、胸ポケットから1枚の紙を取りだした。

差し出されたそれは紙ではなく写真


色も黄ばんでかなりボロボロだったが、映っている人たちの顔はよく見えた。


そしてそこには___




警察服に今より年若い三好さんのすぐ手前で


ブレザータイプの制服に

青のネクタイと

濃いダークグレーのプリーツスカート

白のパーカーを羽織った





       ......すい。






三好さんはどこか懐かしむように俺の手にある写真を眺めて語り出す



「俺が

一生忘れない事件の中に

ある女の子と男の子がいてな......




15年前___


俺が刑事をしてた頃

この街を当時の交番警察らと夜間巡回してた時に出会った

15歳の女子中学生と

5歳の男の子がいてな


その2人は姉弟のように見えたが、どこかよそよそしくて前を行く女の子の服を男の子が掴んで引っ張られるような感じで歩いてた。



夜遅く、それに子供2人......声をかけた。

そしたらその女の子が男の子を隠すように前に立った。

どうやら家を締め出されたらしい。

よく見ると2人とも痩せてて、男の子の方は靴も履いてなくて、この2人の家庭環境に問題があるのは一目瞭然だった。



保護したよ。

児相(児童相談所)に連絡して引き取ってもらった。

やっぱり2人は実の姉弟じゃなくて、お互い家に入れて貰えなくて、街を徘徊していた時に出会ったんだと



その2週間後

またその2人をみた。

驚いてすぐに走ってって事情を聞いた。




『お前ら!またなんでここにいる?』

『............。』『......。』


『とにかくおじさんと来い。な?

連絡してやるか...『余計なことしないで。』

......は?』


『あの後すぐ家に返された。

君のご両親なら話し合えばわかるとか言って。帰ってからは散々。いつもより酷かった。』


『あ......。』


『この子も結局家に返されて、また外にいるの。最後まで面倒見られないなら


もう構うな!!』




男の子を抱き上げて、駆け出してった


俺は___とめられなかった。




俺はそれからも合間をぬって、その2人を探しては見守るだけだった。


「守る」なんて言葉使えねーな、この場合。




そしてあの日___

俺は当時受け持っていた事件の捜査やらでしばらく2人の所に行けてなくて、やっと落ち着いた頃、先に挨拶をと交番に顔だしてた時だった。


通報があった。

大の大人2人が中学生くらいの女の子と幼児くらいの男の子を襲っていた


女の子の方は意識がないと






被害者は___あの2人だった。




女の子は、酷い《むごい》くらいの暴行の跡だった。

通報した2人によると男女の大人が寄ってたかってこの子に殴る蹴るなどの暴行をしていて、その腕の中にはこの男の子がいた。

身を呈して守るようにこの子を抱え込んで暴力を受け続けていた。



すぐ病院に搬送したが、


あの子は___助からなかった。





俺は今まであの男の子が喋った所を見たことなかったが、あの日は病院に着くまで泣き叫びながらしがみついて離れなくて、手術中もずっとドアを叩いてた。




___その男の子が



             祥___お前だ。」


語り始める大人たち

閉じ込めた記憶はあまりに残酷で


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