4日目 事件
散策2日目
今日はどんな収穫があるかな?
「学校お疲れ〜。」
「お疲れ。ごめん待った?」
「ううん、全然。クロと遊んでたし。」
講義が少し延長して約束の時間より30分も遅れてしまった。
待ってくれている間のすいはその辺に生えている猫じゃらしでクロと遊んでいたみたいだ
「今日はどこに行くの?」
「それなんだけど、いいニュースです。」
「え?なになに?」
「すいの学校を見つけた。」
「......ほんと!?」
というかこれに関してはむしろ失念していたくらいだ。
制服に身を包んだすい自身に十分な手がかりがあったというのに。
「駅にいちばん近い中学校。
今行くならちょうど下校時間で人もいっぱいだしちょうどいいんじゃない?」
「うんうん!凄いね!昨日一昨日からずっと絶好調だよ!...祥のおかげだね。」
まだ出発もしていないのに、もうすでに収穫を終えたような反応。
やっぱ...すいのが移ったよな
「はやくいこ!」
「そんな慌てんなよ。」
着いた先の中学校は読み通り、下校中の生徒が沢山いて、見送りの教師たちの姿も見える
「でもあんまりウロウロしてたら祥...目立っちゃうよね?」
「そうだね。変質者にはなりたくない。
ここで待ってるからちょっと近くまで行って見てくる?」
「そうしよう。ちょっと行ってきます!」
すいは学校の方に駆け出して、すれ違っていく生徒たちをまじまじと観察してる
俺からすればしっかりと怪しいヤツなんだが、下校中の生徒たちはそんなすいには目もくれずに帰っていく
そんなすいを眺めていた時
「おいあんた、ちょっと話しいいか?」
「えっ......。」
後ろから急に肩を叩かれる。
警察?学校の教師?通りすがり?
少し離れているとはいえ自分も下校中の生徒を眺めている変質者であることに今更気づく。
まだ振り返らず、この場をどうやって切り抜けようか考えていると
「......お前、祥か?」
「......三好さん!?」
声をかけてきた人物はまさかの知人。
「祥お前...こんなとこで何してんだ?」
「あっいや...えっと〜。」
「じーっと中学生なんか見...て...
おっ...おぉ、お、お前まさか!?」
「違います!断じて違います!」
あらぬ誤解をしている様子の三好さんに被さるくらいに距離を詰めなんとか弁明する
「人探しか...びっくりさせんなよ。
普通に怪しすぎんぞ。」
「はい。すみません、気をつけます。
ところで三好さんこそどうしてここに?」
「ん?...あぁ、この辺りで最近不審な男が出歩いてるらしくてな。
近くの交番の警察とは馴染みのある奴で、そいつから話を聞いて協力してんだ。」
「不審な男ですか。物騒な話ですね。」
「ああ。まだ何事もないが用心に越したことはねぇからな。」
そんな話を聞いて不安になる。今彼女は大丈夫かとチラッとすいの方を見てみると、すいもこちらを見ていた。
すると、こちらに戻ってくるのではなくジェスチャーでバツっとその場で手をクロスさせた
___つまりは収穫なし
少し肩は落ちるが、こんな話を聞いたあとなのですぐにここを離れようと考えた。
「三好さん。じゃあ俺はこれで。」
「おぉ。また近いうち店行くわ。」
「はい。」
挨拶を済まし、歩きだそうした時
「「きゃーー!」」
「!!」
「!?」
突然、道路の先から悲鳴が上がった
見るとそこには女子生徒に掴みかかっている男がいた
「...三好さん?!」
三好さんがものすごい勢いで駆け出した
引っ張られるようにあとを追いかける
人混みをかき分けたそこには、三好さんと名札を下げた男性教師が2人がかりでひとりの男を取り押さえていた。
「ここ最近この中学校の周りをウロウロしてる奴がいると聞いてたが、お前だな?」
「くっそ!離せやゴラァ!ぶち殺すぞ!」
「おーおー威勢のいいこった。」
「どなたか存じませんが助かりました。
ありがとうございます!」
「いえいえ...先生方のどなたか、警察呼んで貰えます?」
「はい!あっ原先生!」
「はっはい!」
暴言を吐きまくる不審者を抑えながら、余裕の態度で押さえつけながら指示も出す三好さん
男性教師も男の下半身を押さえながら、駆けつけた女性教師に通報を促す
まるでドラマのワンシーンのような現場
「っ!すい!?」
ここでようやく俺はすいの安否を確認する
「ここだよ。」
いつの間にか俺のすぐ後ろまで来ていたようだ
すいは妙に冷めた目で現場を眺めている
「すい、大丈夫か?怪我はない?」
「怪我?幽霊は怪我なんてしないよ?」
「......あ。」
俺はちょくちょく彼女が幽霊なことを忘れる
「...ぷっはは!」
「...笑うなよ。」
「だって...君賢いのになんで忘れちゃうの?
...心配、ありがとね。やっぱ優しい!」
「はいはい。」
「ふふふ。」
そんな話をしていると、パトカーのサイレンが聞こえてきた。
駅のそばで交番も近いため、思ったよりずっとはやく到着してきた警察
「警察です!通してください!...三好さん!」
「おー八木か。はやかったな。」
「三好さんこそ。この度はご協力ありがとうございます!」
「いいっていいって。」
「本当に助かりました!そいつの身柄を拘束します。」
「おお、頼んだ。おい!面くらい見せろっ!」
警察と親しそうに話す三好さん
やっぱ探偵なんかしてると警察と顔見知りになるのかな
なんて考えいたら、ふりふりとすいが俺の顔の前で手を振る
「祥、そろそろ行こう。」
「あっそうだな...あの三好さんって人、知り合いだから挨拶だけするよ。ちょっとまって...」
ちょっと待ってて。と言いかけたとき
「やっぱりてめぇか
...このクソ野郎がァァ!」 バゴッ
鈍い音と共に三好さんが荒い口調で
男を殴り飛ばしていた
三好さんが激おこ
一体どんな因縁が?
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