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プロローグ 『半透明』

目標も夢もなく、何気なく過ごす雨野 祥の日々に突如として現れた彼女

彼女は一体___


______退屈だ



「...であるからして〜」


学生を巻き込まない教授の1人喋りの講義をBGMに空を眺める

半透明な薄い雲が広がる綺麗な青空


正直、なんの興味も面白みもないこの授業に来る意味はあるのか

なんて思っているが、意見を出せとこの広い講義室に立たされないだけマシという理由だけで履修した授業だ。文句なんて言ったらダメだ。


しばらくそうしてぼーっと過ごしている中で、俺は時間を確認することはほとんどしない。ルーティンが決まっている日常生活でもあまり時間は確認しない方だが、特にこの授業では勝手につけたアラームがある。



それは______隣で爆睡しているこの学生



友達ではないし、ペアワークやグループワークもないこの授業では知り合いにもならない。

それでも彼をアラームにしているのは、


授業時間90分間が終わる4分前......3分前



______ムクリ


先程まで微動だにせず爆睡している彼は、この授業が終わるきっちり3分前に身体を起こす。


そう、これが俺のアラーム



彼に限らず、授業が終わる雰囲気になると教授が「ここまで」なんて言わなくても、急にザワザワし出すのもお決まり。






まだ明るい5月の15時38分

学校出て、いつものルートで自転車を漕ぐ

着いた先は俺のバイト先


カフェ _憩 いこい_


進学を機に大学の最寄り近くに一人暮らしをしている。

仕送りはもらっているが、それだけではやりくり出来ないので入学とほぼ同時に始めたバイト


この店の店長でオーナーの照史あきとさんお店の経理関係をしている菜子なつこさん


ちなみにここ2人は夫婦だ



「おはようございます。」

「おはよう、祥。」

「おはよ、祥君。」


挨拶と着替えを済ませて、まだ客足がまばらな店内に入る。料理のほとんどは店長の照史さんが担当し、俺と菜子さんの2人でホールをまわす。忙しい日は俺も料理補助に入る。


下手に飾らず、レトロな雰囲気のこのお店は常連客ばかりで緩やかに時間が過ぎる。



「祥君。今日のまかないどーする?」

「そうですね...パスタでお願いします。」

「よしきた!あと1時間頑張ってね。」

「はい。」



「祥君、いつもありがとうね。助かるよ。」

「菜子さん、こちらこそです。

おふたりのまかない、すげぇ美味いんでいつも楽しみです。」

「ほんと?嬉しい。」



人懐っこい笑顔の菜子さんはこのカフェ 憩の

看板娘。

照史さんと結婚してもう随分経つと聞いた事があるけど、そのふんわりとした笑顔がお客さんに人気なのもうなづける。



まかないを食べ終えて、更衣室をでる間際にちらりと目に入った時計

短い針が7

長い針は8


「お疲れ様でした。まかないご馳走様です。」

「お疲れ様!次のシフトもよろしくね。」

「お疲れ様。気をつけてね。」

「はい。」







何気ない日々




変わらない毎日







でも今日は違った






~♪


___ん?......鼻歌?



~♪♪ ~♫


___あの人か?





普段ならスルーするし、いつも横切るこの公園も通ったりしない。

だけど中から聞こえてきた心地のいい鼻歌に惹かれ、入ってしまった。



「...ちがって......いい。みんな...」



節々に歌詞が聞こえてくる



「...なあ。」

「......ん?」



らしくない

自分から声をかけるなんて



「危ないぞ。そんな滑り台の手すりなんかに座って。」

「えっと......私に言ってる?」

「他に誰がいんの?」



やめとけ

本当にらしくない



「へぇ......君、見えるんだ?」

「?何言ってんだ?」

「もしかして...今日初めて?」

「だからなんのはな...し...。」



俺が言い淀むとニヤッと彼女が笑った

しりを軸にくるっと身体を半回転して全貌が見えた彼女は______




「幽霊みるの。」




からだ全体が半透明ほどに透けていた


7~9話程度で考えている短編ではありますが、1話1話がいつもより長めのストーリー

まだまだ不慣れな長文に苦戦しながらも完成させたいと思います。


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