生まれた意味
街路樹が何度か丸坊主になった記憶
気が付いたら葉っぱが生い茂っていた
大人が語る美しい日本の四季は見たことがない
紅葉、梅、桜、風が吹き飛ばしたし
ボクが産まれてから災害続きだからね
秋の台風も海水の温度次第で勢力を増す
早く過ぎ去れば良いな
祈ってもどうにもならないけど
長年造られてきたモノが破壊されるのは特に辛い
もう元には戻らない
追い打ちのよう
フェーン現象に梅雨前線に……、
アナウンサーが利口そうに語る
食パンを齧りながら聴いていた
こうして自然の変化に適応するのは
ボクたちの宿命かもしれない
先を生きた大人たちには助けて欲しかったけど
ボクが想うほど大人たちは余裕がないみたい
社会のように目まぐるしく変わる授業風景
付いて行くのが凄く大変だ
とんでもなく出来ない奴を見て心底安心したり
群れから外したり目立たないように生きてる
重たいスクール鞄に履き潰した靴
受験が終わればこの閉塞感から脱せられるだろうか?
いつものように
サラリーマンと肩を並べて電車通学
満席のニオイが何とも言えない
車で迎えてくれる坊ちゃんなら良かったな
席が空いて無かったから参考書を読む
電車が揺れるたびに誰かの足を踏む
反射的に出る「ごめんなさい」
これは学校でもそう
席についたら場の空気を読み慎むのがマナー
たまに道化を演じたりする
バカにされるのと道化は違う
そこを間違えられるとイジメに繋がっちゃうんだ
……と、ここまで書いたけど
ボクの本当にやりたい事って何だろう?
人の顔色を窺ってるばかり
ある子に言われた
「何が好きなの?」
答えられなかった
ソワソワした
あるようでなかった
勉強も好きではないし手先も器用ではない
食べることは好きだ
でも決して詳しいわけではない
考えた
ボクの生きる意味って何だろうと
達観してる人は「そんなのない」って言うのだろう
でも納得しない人種も居る
存在するには何かしら役目が欲しい
このまま惰性で学校通うのは嫌だなと言った
親から大激怒された
怖いから通っている
ふと
帰宅道の途中に友禅染の博物館があった
詳しい説明は読んでなかったが綺麗だった
感化されて友禅染模様や和紙の折り紙を集めていた
種類の多さで選ぶのに数時間かけた
観ているだけで楽しかった
学業に結びついたかは不明だが
趣味が出来ると活き活きして来るものである
どこかから「生きている理由」が湧いてくるのだ
働きたいと思う気持ちも
ほぼ衝動的に入った博物館だった
趣味は突然見つかるモノ
いつか必ず現れてくる
人に「生きる意味無い」なんてウソっぱちだ
寝るのが趣味な人なら
心地いい枕やベッドで寝たら十分幸せになるだろう
生きる理由なんて、『居心地がいい』を見つけるもの
そんな大層な理由なんて要らないんだよ
あとは人間関係
これがものすごく難しい