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charinco:ratata  作者: タニコロ
4/6

テレビ

高校の時、生徒会長だった近藤はすんなりといい大学に行った。

でも、そこで音楽にはまって結局、中退。

今は大阪市内の大手パン工場でバイトしているという。

「なんだかんだで続けて来て、話が合わないで、今日、解散ライブだったんだよ」

と近藤美幸は言う。

「これからどうするの」

「しばらく一人でやる。もうやってるねん、実は。はい、これCD。全部、私がやってんねんで。はい、あげる」

「うわぁ、ありがとう。今、私も音楽ソフト使って遊んでるねん。参考にするわ」

「ええええ、作ってるんだ。今度、素人の集まりのイベントあるねんけど来る?」

「行く行く。いつなん」

「月末。来たらええわ。あんたも何か作ってみ」

「いや、無理無理無理」

「リズム作って歌乗せれば誰にでも作れるよ。やってみたらいいのに」

「できたらね。とりあえず見に行くわ」

その日は美織は素直に帰った。


なんで歌入りソングが作れるのよ。

リズムを作りながらテレビを見ていた。

リズムパターンをつなげて曲みたいなのができた。

やった、一曲完成。

あ、チャンネル変えよ。あれ、テレビ壊れた?

とりあえず、テレビを消した。

深く考えずにノリで作った曲にどんなリズムが合うかな、と乗せてみる。

壊れる、壊れる、壊れる、テレビ、テレビ、テレビ。

訳が分からないがいいリズムができた。

一応、動画で取っておこう。

美織は深く考えずに撮影した。


次の日、なんばのカフェで近藤と会う。

特に用事はなかったのだが、積もる話もあるからお茶しましょ、と約束してたのだ。

「西納さん、すごいじゃん、めっちゃいい会社行ってるやん」

「そんなことないよ。今、なんとなく人生暇で」

「いやいや。エリート街道だ」

「あの、曲、できたんだけど。こんなのでいいかな」

美織はテレビの曲を近藤に聞いてもらった。

「何、これ。エレクトリアル・パンクやん。かっこええやん。素人でここまで出来たら最高やん。ギター乗せたらもっと良くなるで。乗せたろか」

「え、良かった」

「ええよ。ええよ。今度のイベント、一曲だけ一緒にやろ」

「えええ。曲になってるの」

次の日、美織がノートパソコンを持って近藤がよく行く心斎橋のスタジオ・222に行った。

「こんなん考えてきてん」

近藤はジャカジャカ、ギターを乗せる。

かっこいい。自分が作ったリズムだと思えない。

近藤が歌を歌った。

壊れる、壊れる、壊れる。

テレビ、テレビ、テレビ。

すごく上手く、ハマっている。

「近藤さん、すごくいいよ」

「あんたの曲やん」

美織はこの1曲だけでイベントに出ることにした。

と言ってもほとんど近藤の仕事だが。

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