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第四話

目に留めていただき、ありがとうございます。

第四話になります。

今回が最終話となります。

ソウジが橋野上弁護士事務所に来てから三ヶ月が経った。


「大変お待たせしました。どうぞ、ご確認ください」


ハルコはソウジに一枚の紙を手渡した。


「本当に・・・、本当に僕は彼女と結婚できたんですね」


その紙にはソウジと彼女の名前、そして“婚姻届受理証明書”と記載されていた。


「本当に、本当にありがとうございます」


「いえいえ、仕事ですから。それより、これから先どうするんですか?ソウジさんは事実上では死亡したことになってますから」


ハルコが思いついた唯一の方法、それは“死後婚”だった。


生者と死者が結婚する“冥婚”と呼ばれる風習は、この惑星では遥か昔に撤廃されていた。

しかし、この惑星のとある村では未だに死者同士の結婚、つまり〝死後婚”の風習が残っていた。


ハルコは彼女の知り合いであり、裏社会で売買を行っている人物から死体を買い取り、それをソウジの死体として処理した。

ソウジは事実上、死亡したことになった。


もちろんソウジは事前に住所を死後婚が許されているその村に移しており、彼の死亡届が受理された後に、ハルコはその村でソウジと彼女の婚姻届を提出した。


「まだきちんとは決めていないですが、どこか遠い場所でひっそりと暮らしていこうと思います。なんせ僕は死んでますから。もし僕の事を知っている人に出くわしてしまったら、大変なことになっちゃいますからね」


彼は笑顔で言ったけれど、現実はそんなに甘いものではない。

それはハルコも、そして彼自身も十分にわかっていた。


でも、ここから先はソウジ一人の問題であり、

ソウジが一人で解決していかなければいけない問題であった。


「それでは、僕は失礼します。この度は、本当にありがとうございました」


「どうか、くれぐれもお気をつけて」


彼は婚姻届をグッと握りしめながら、橋野上弁護士事務所のドアを開けた。




「また随分と思い切ったことしたな」


そう言いながら、ワタルはコーヒーの入ったマグカップを彼女に手渡した。


「本当に、これでよかったのかな・・・」


「よかったに決まってんだろ。依頼人のあの笑顔、お前も見ただろ?」


果たしてこれが彼にとって最善の策なのか、ハルコはずっと迷っていた。


「そういえば、彼の代りの死体を用意したのって・・・、ハルトだよな?」


ワタルにそう尋ねられたハルコは、黙ったまま頷いた。


「そっか。・・・あいつ、元気だったか?」


「うん。相変わらずだったよ」


「そうか、それならよかった。アイツにはハルコしかいないからな。アイツのこと、これからも頼んだぞ」


ワタルはハルコの肩をポンと叩き、「お疲れ」と言うと自分のデスクへと戻った。




この惑星の女たちは、その短い一生のなかで精一杯の恋をした。

そして男たちもまた、大切な人のために全力で恋をしたのだ。


人々はその星を、“恋する惑星”とそう呼んだ。



最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました!

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