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第一話

目に留めていただき、ありがとうございます。

本日から4日間にわかって投稿します。


よければ最後までお付き合いいただけたら幸いです。

私たちはこの世界について、全体の数パーセントしか理解できていない。


特に宇宙については、未だ解明されていない謎ばかりだ。

銀河系には最大で100億個の地球型惑星が存在すると言われているが、私たちが地球以外の惑星について知っていることは、数パーセントにも満たない。


植物のみが生存している惑星、昆虫が支配する惑星、タコのような形をした宇宙人が生息している惑星。

様々な惑星が存在する中で、地球と非常によく似た惑星が一つだけ存在する。


その惑星には地球と同じように人間や植物、昆虫といった数多くの生命が共存しており、文明の進歩の度合いも地球とほぼ同じと言っていいだろう。


唯一異なる点があるとすれば、それは人間の平均寿命だ。

その惑星の平均寿命は男性が59歳に対し、女性は23歳と非常に若かった。


しかし、その惑星の女性は自分たちの平均寿命が短いことを恨むことなく、むしろその短い一生をいかに精一杯生きるかを常に考えていた。


そして彼女たちは、その短い一生の中で精一杯に“恋”をする。

だが、その一生は恋をするにはあまりにも短過ぎたかもしれない。


その惑星は“恋する惑星”と、そう呼ばれた。




「すいません、相談したいことがあって来たのですが・・・」


「どうぞおかけください。私、橋野上弁護士事務所の橋野上ワタルと申します」


そう言って、ワタルは自分の名刺を依頼主の男性に渡した。


「それで、今回はどういったご依頼でしょうか?」


「実は、結婚について相談したいことがありまして」


「という事は、恋愛についてのご相談という事でしょうか?」


「はい、そうなります」


「でしたら、適任の者がいますよ」


ワタルは事務所の奥にあるデスクに座っている女性の方を向きながら、「おい!ハルコ!」と彼女を呼んだ。


「彼女は私の助手であり、娘のハルコと言います。こう見えて、私よりも優秀な弁護士で、特に恋愛関係の依頼に関しては彼女の右に出るものはいませんよ」


ワタルはなぜだか、まるで自分の事のように嬉しそうに言った。


「それじゃ、あとは頼んだぞハルコ」


そう言うと、ワタルは自分のデスクへと戻っていった。


「初めまして、橋野上弁護士事務所の橋野上ハルコと申します」


ハルコは父が営む弁護士事務所で、父の助手として働いていた。

助手といっても、彼女の腕は父親以上だった。

昔から頭が良く要領も良かった彼女は、16歳の時には弁護士バッジを取得していた。

その後4年もの間、彼女は父親の事務所で数々の依頼を解決してきた。


「・・・よろしくお願いします」


「それでは、早速ですがご依頼内容をお聞かせいただけますか?」


「はい、実は結婚したい女性がいるのですが・・・」


「そういう事でしたら、私にお任せください。どんな依頼でも解決致しますよ。それで、その女性というのは、どういった方なんですか?」


すると依頼主は突然口を閉じ、黙ったまま下を向いてしまった。


「安心してください、必ず最後まであなたの力になりますから。だから、ゆっくりでいいので彼女の事を、あなたと彼女の関係を教えていただけますか?」


ハルコにそう言われた依頼主は彼女を目をじっと見つめると、意を決したように口を開いて言った。


「実は彼女・・・、もう亡くなっているんです。僕、彼女と結婚できますかね?」


流石のハルコも呆気に取られてしまった。


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