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東方氷精異聞  作者: ゆっくりキラセス
序章
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オカルト倶楽部の黙示録 Ⅲ

「…本当に便利な時代だなー」


 あらかた観光を満喫した俺たちは、手軽に荷物を自宅に配送してくれる運送屋に預ける。指定の日時に、適切な保管の末に届けられるそれは、俺にはかなり新鮮なものであった。


「何じじ臭いこと言ってるのよネツ。」


「いやわかってないな蓮子。どんな普通にも感動や感謝、感心を持つことが人生をよりよく楽しむコツなんだぞ?」


「熱也さん、そんないいこと言える人なんですね」


「待って、蓮子ならともかくメリーも俺の認識低いの? かなり傷つくんだけど。」


「大丈夫よ、私もそう言う認識だから!」


「いや蓮子はわかってたしどうでもいい。」


「あなたの私への認識もかなりだと思うわよ!?」


 いや蓮子はなー。メリーはどこかのお嬢様的な感じだけど蓮子はなんていうか……ねえ?


「あー、今絶対失礼なこと思ったでしょ!」


「さあ行くかメリー。」


「そうですね。」


「ちょ、待ちなさいってばー!」


 愚痴る蓮子をおいて、俺とメリーはノートに書かれてた地図を頼りに、目的地まで歩いていくのだった。





「…結局、長野まで来て小学校の怪談かよ。」


 とある学校の調査を終えて校門に集合し、俺はあまりの残念具合に落胆する。


「しかも結局何も起きないしさ。ここまで来る必要あったか?」


「いやー、最近の怪談の中では結構有力だったんだけどなー?」


「……と言いますか、ネツさんの『目』が看破するのが凄かったんですよね。」



 簡潔に言えばガキの悪戯七割、偶然の産物三割だった。

 ガキがどんな情報網を持ってたか知らないが、俺たちみたいなのが忍び込むことを事前にリークされ、待ち構えていたのだ。



「ホント、蓋開けて拍子抜けだったな。」


「でもネツ、楽しんでたよね?」


「あれはちょっと可哀想だったですね……。」


「自業自得だろ。むしろこうして赴いてただの悪戯を悪戯で返して何が悪い?」



 例えば『トイレの花子さん』の噂で2階女子トイレを見に行った時、俺はあえて二人を置いて先に足音立てずに近づいて、思いっきりドンドンとわざと入っているドアじゃないドアから叩いて歩いた。自分のドアになった時に叩かれなかったのが逆に恐怖を煽って、結果、啜り泣く声が聞こえた。


 例えば『動く人体模型』の噂で理科室に入った時、動き出した人体模型にむしろ真顔で近付いて行ったらびびったガキが後ずさって、最後は全力ダッシュで逆鬼ごっこした。


 例えば『夜中のピアノ』の噂で音楽室に入った時、その学校にはなかった定番七不思議『動く肖像画』を来る途中に作って、逆に驚く声を響かせたり。



「……ホント、容赦なかったわね」


「いいんだよあれで。こういった恐怖から彼らはまた一段と大人の階段を登るんだからな」


「怪談だけに、ですか?」


「…面白くないわよネツ」


「俺が言い出してないだろ!?」


 と、だいたい看破した俺たちは、最後に近くのコンビニで菓子を買って『秘密の協定』を結んだ。そりゃだって、俺たちは不法侵入だし、あいつら小学生の夜中の出歩きだからな。互いにいい条件な上あっちは得だらけだからいいだろ?


「…さて、で、終電までまだ時間はあるがどうする?」


「はあ?」


 てっきり帰る運びだと思ったが、二人はキョトンとしていた。


「…おい待て、まさかまだ罪を重ねるつもりか?」


「大袈裟ねー。ただ野宿するだけでしょ?」


「ほらここ、このテント村に一晩お世話になろうかと。あ、ちゃんと貸出の予算は持って来てますからね!」


「半世紀前の流行を持ってくんな馬鹿……。」


 俺はもう頭が痛くて仕方なかったが、言って聞くような奴らじゃないことはもう理解しているため、項垂れながらも俺は、せめて普通に休むためのイメージをしておく事にした。


「…まったく、俺を男としてみてんのかこいつら。」


 二人に聞こえない声で、俺は諦めの一言を述べて二人を見て––––

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