オカルト倶楽部の黙示録 Ⅰ
「…なんでだよ。」
両親も親戚もいない一人暮らしの部屋にて、布団から起き上がった俺がつい漏らした言葉。
「やーやー同士よ、秋休みを寝て過ごすのは見逃せないなー。」
「ちげーだろ。何不法侵入してんだよテメーら。」
寝起きなのにもう頭が回るほどに衝撃的な事に、俺はそんな頭を抱える。
「…蓮子、まさかお前、」
「いやー、大家さんに『彼女なんですー』って開けてもらうの、一度やってみたかったのよね!」
「ふざけんな! てかメリーも止めなかったのか!?」
「ふふ、私も面白そうだなっと思ったからね。」
「……メリー、お前だけは常識的な奴だと思って––––いや蓮子に甘い奴だったわ。」
ハァ、とため息をこぼしながら、
「んで、なんのようだ『秘封倶楽部』。」
と、嫌な予感を感じながら聞くのだった。
「……そんなこったろーと思ったよチクショー。」
有意義なゲーム生活を奪うように、彼女たちに強引に連れ出されたかと思うと、かなり遠くの県まで電車に乗せられた。
車内で事情を聞くと、どうやら部長『宇佐見蓮子』はいつも被る黒帽子をくいっとあげてニヤつく。
「なんとさ、こんな本を見つけたのよ!」
と一冊の本を手渡される。
「…『異界への道』?」
「そうなのよ! いろんな逸話を探ってきた私たちにうってつけのものと思わない?」
「その『私たち』に俺も含めんな。俺はいつ『秘封倶楽部』に入部した?」
「ふっふっふ、私がしておいたのよ!」
「初耳なんだが!?」
「私、先生に頼られるから!」
そうだった、メリーほどではないがこいつ、奇行が目立つわりに学年上位にいたわ。神様、不公平だろ。
「…もういい、今に始まった事じゃねーしな。」
「そうそう、もう諦めて私たちとオカルトを探すのよ!」
「なんで学年内の天才二人がこうオカルトに興味持つのかねー?」
「そこに『オカルト』があるからよ!」
「ねーから! ……全く、車も廃止される時代でまだそんなこと考えているのかよ。」
現代では今、新たなエネルギーを開発したりして、車をはじめとした今までの普通が過去となり始めたり、宇宙移住計画が大詰めを迎えるような時代で、未だ『オカルト』に興味を持つのがよくわからない。
近い未来『電車』も新たな形へ生まれ変わるらしいが、今はそんなことは関係なくて、俺はおっとりお嬢様みたいな女子『マエリベリー・ハーン』ことメリーに視線を変える。
「…お前も大変だなー、こんなおてんば女を相手にするのは。」
「そうでもないですよ? 蓮子といて飽きないですからね!」
「首席様、今すぐ縁を切らないとお前の未来危う––––イッてぇ!!」
なんとかちゃんとした道に戻してやろうと諭している最中に蓮子に殴られた。
「ほらほらネツ、着いたわよ!」
「…お前は殴ったことに謝罪しろ。」
「まあまあ……」
そんな感じでオカルトを探しながらぶらり旅をする。
その事に対して懐かしさがあるのは何故か分からないが、俺はため息を再びこぼしつつ、見えないところで少し口を緩めるのだった。




