『遠い日の記憶』
『俺が救ってやるよ。』
ひとりのガキがそう言った。言うまでもないがそんなガキは昔の『俺』だ。
言ってやったそいつらは泣くことをしなかったから、俺は愚かにもそんな無責任なことを言った。
そいつが俺の言葉をどこまで信じていたかは知らない。たが、そいつらは笑ってくれた。
俺はその証明として、その世界の管理者に勝負を挑んだ。
『神出鬼没の女に三日間逃げる』、ただそれだけのこと。
遊ばれていたのかもしれないが、彼女たちの思惑とは裏腹、俺は三日逃げ切った。誰もが逃げられると思っていなかった『隙間の妖怪』から。
三日後、俺は笑って再び現れ『どうだ、不可能なんてありえないってわかったろ?』と言って見せた。
それから半年、そいつらと一緒に色んなことをしてきた。悪ガキらしく悪戯したり、逆に誰かのためにヒーロー活動ごっこしてみたり。
それは幼き日の記憶だった。『幻想郷』と呼ばれる世界に迷い込んだ俺の、非日常の記憶。
突然終わりが来た。だがなぜそうなったか、その日の記憶はない。
幼少の記憶はそこまでだった。
文字通り『幻想郷』の記憶だけが俺の幼少の記憶で、そこに迷い込む前の記憶も、そして帰ってから中学卒業までの記憶も、俺にはない。
5歳の記憶のみ残して、『平和熱也』は今、高校一年の秋休みを迎えたのだった。『異能』とともに。




