主要者達、集う夜
「メリー! ネツを探さなくていいの!?」
「そうしたいけど、今は走って蓮子!」
迷い込んでから数十分がたった。
私たちは最初は逸れた彼を探していたけど、その間でここがどこかを把握した。
それを理解した時、同級生の蓮子を連れて私は一直線に走る。
「ねえ、本当にこっちの道であってるの?」
「今は信じて蓮子。……大丈夫、ここはたしかに『幻想郷』よ。」
「『幻想郷』……メリーがたまに夢の中で迷うって言ってたあの事?」
「そう。そしてここを抜ければきっと––––」
私の予想通り、森を抜けた先には整備された道があり、その道の先に鳥居が見えた。
「あった! 蓮子、急いで!!」
きっと『あの人』なら助けてくれる、そう信じてここまで走ってきた。
ここまでで妖怪に出会わなかったのは、彼女のテリトリーだから。
だからきっと、あの人なら彼のことも探してくれる、こんな事件を解決してくれる、そう信じて。
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「……なあ『霊夢』、ちょっと不味くないかアレ?」
白黒の魔法使いはそう言い指差す。
差された方を見るまでもなく、私は縁側に置いてあるおはらい棒を持って外に出る。
「…あーあ、ここ数日暇だったのになー。また『異変』?」
「だろうなー。……っと、言ってるそばから!」
彼女の言葉通り、言ったそばから辺りはたちまち『紅い霧』に空が包まれていく。
その霧が頭上を覆った時、若干だけど気分が悪くなる。
「…ほー、こりゃ『妖気』だな。こりゃ長期化すると人里にもかなり影響が出るな。」
「全く、こんなことした馬鹿は何奴かしらね。それもこんな夜中に。」
「夜中って、まだ夕日が沈んだばっかりだろ……」
「いい? 私はこの時間はご飯食べて風呂入ってさっさと寝る。それが私のユーティーンよ。」
「へいへい、楽園の気ままな巫女様に失礼しましたよー。」
「なにー? あんたから退治してやっても……どうやら本当に今日の異変はおかしいわね。」
「ん?」
喧嘩を買ってやろうと札に手を触れさせたけど、ふと階段の方から二組の人影が登ってくるのを察知し、そのうちの一人の気配に私の勘はそう言っていた。
「や、やっと登れた!」
「いた! 助けてください霊夢さん!!」
「…魔理沙、気をつけたほうがいいわ」
「あ? ただの人間だろあいつらは?」
「違うわ、そうじゃないの。あの子たちは【外の世界】からきたのよ?」
「……結界を、お前に悟られずにか。」
その意味を理解した魔理沙は、普段の陽気さを抑え真剣な面持ちで空を見る。
チルノが一時的に消えたことも、戻ってきたときになんとなく感じた懐かしい気配も、きっと何か私たちの知る『異変』と違うモノが既に始まっているんだと思い、私は深く深くため息をつく。
「……戻ってきたらぶっ飛ばすって言ったの、忘れてないわよ『ネツ』。」
「んあ? なんか言ったか霊夢?……ってなんだよその気味悪い笑みは。」
「…ちょっと、後々の楽しみができただけよ。」