表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方氷精異聞  作者: ゆっくりキラセス
壱章 紅霧異聞 紅き忠誠編
12/19

主要者達、集う夜

「メリー! ネツを探さなくていいの!?」


「そうしたいけど、今は走って蓮子!」



 迷い込んでから数十分がたった。


 私たちは最初は逸れた彼を探していたけど、その間でここがどこかを把握した。


 それを理解した時、同級生の蓮子を連れて私は一直線に走る。


「ねえ、本当にこっちの道であってるの?」


「今は信じて蓮子。……大丈夫、ここはたしかに『幻想郷』よ。」


「『幻想郷』……メリーがたまに夢の中で迷うって言ってたあの事?」


「そう。そしてここを抜ければきっと––––」



 私の予想通り、森を抜けた先には整備された道があり、その道の先に鳥居が見えた。


「あった! 蓮子、急いで!!」


 きっと『あの人』なら助けてくれる、そう信じてここまで走ってきた。


 ここまでで妖怪に出会わなかったのは、彼女のテリトリーだから。


 だからきっと、あの人なら彼のことも探してくれる、こんな事件を解決してくれる、そう信じて。


 _________________________________



「……なあ『霊夢』、ちょっと不味くないかアレ?」


 白黒の魔法使いはそう言い指差す。


 差された方を見るまでもなく、私は縁側に置いてあるおはらい棒を持って外に出る。


「…あーあ、ここ数日暇だったのになー。また『異変』?」


「だろうなー。……っと、言ってるそばから!」


 彼女の言葉通り、言ったそばから辺りはたちまち『紅い霧』に空が包まれていく。


 その霧が頭上を覆った時、若干だけど気分が悪くなる。


「…ほー、こりゃ『妖気』だな。こりゃ長期化すると人里にもかなり影響が出るな。」


「全く、こんなことした馬鹿は何奴かしらね。それもこんな夜中に。」


「夜中って、まだ夕日が沈んだばっかりだろ……」


「いい? 私はこの時間はご飯食べて風呂入ってさっさと寝る。それが私のユーティーンよ。」


「へいへい、楽園の気ままな巫女様に失礼しましたよー。」


「なにー? あんたから退治してやっても……どうやら本当に今日の異変はおかしいわね。」


「ん?」


 喧嘩を買ってやろうと札に手を触れさせたけど、ふと階段の方から二組の人影が登ってくるのを察知し、そのうちの一人の気配に私の勘はそう言っていた。




「や、やっと登れた!」


「いた! 助けてください霊夢さん!!」




「…魔理沙、気をつけたほうがいいわ」


「あ? ただの人間だろあいつらは?」


「違うわ、そうじゃないの。あの子たちは【外の世界】からきたのよ?」


「……結界を、お前に悟られずにか。」


 その意味を理解した魔理沙は、普段の陽気さを抑え真剣な面持ちで空を見る。




 チルノが一時的に消えたことも、戻ってきたときになんとなく感じた懐かしい気配も、きっと何か私たちの知る『異変』と違うモノが既に始まっているんだと思い、私は深く深くため息をつく。


「……戻ってきたらぶっ飛ばすって言ったの、忘れてないわよ『ネツ』。」


「んあ? なんか言ったか霊夢?……ってなんだよその気味悪い笑みは。」


「…ちょっと、後々の楽しみができただけよ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ