新しい家族
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とある辺境の村で、1人の少年が目を覚ました。
「んっ、どこだここ?」
目が覚めた少年は、気だるげな動作で上半身をベットから起こし、自分のいる部屋を見渡したその瞬間に、智也の記憶が少年の脳内にフラッシュバックする。
(そうだ、俺はあの時に彩を助けようとして…)
だが、前世の記憶がもどったところでこの場所に見覚えはないが、ただ病院ではないことは分かる。
その時、その部屋の唯一の扉がゆっくり開いていく。
「あ〜! お兄ちゃん起きてる〜!!」
扉から現れたのは7歳くらいで、明るめの茶髪をサイドテールに纏めた美少女だった。
「お、お兄ちゃん!?」
もちろん、こんな小さい妹などいない智也は絶賛混乱中だ。
そんなこともお構い無しに少女は上目遣いで無邪気に体の具合を尋ねてくる。
「まだ頭痛いの? お兄ちゃん急に倒れちゃったから心配したんだよ?」
(ん、どう言うことだ?)
少女との会話を続けるうちに、今世での今までの生活を朧気ながら思い出し、だんだん冷静になってくる。
(そうだ、俺は彩を庇って死んだ後、アラタとしてこの世界に転生したんだ。)
自分が前世の遺言道理に転生した事を思い出したアラタは、頬が引き攣るのを自覚しながらも目の前の妹、マヤを安心させるために優しく言葉をかける。
「心配かけてごめんな、もう大丈夫だ!」
「ほんと!? ならママとパパにお兄ちゃん起きたよって教えてくる!」
そう言って部屋を飛び出していったマヤの後ろ姿を見届けたあと、部屋にあった鏡で自分のを確認すると、前世と同じで黒目黒髪の10歳くらいの少年の姿が写った。
(転生してもパッとしない顔してるな〜俺、せっかく異世界に転生したならもうちょっとカッコよくなってもいいと思うけど。)
前世と違ってイケメンになってるかも?と少しは期待したがあまり変わらなかった容姿に少し落胆する。
(そっか、やっぱ死んだんだよな、彩と母さんを残して死ぬとか親不孝にも程があるな。)
自分が死んだ後の家族や、周りの人達の事を思い出すと、どうしようもない罪悪感が湧き上がってくるのは、智也が残された側の気持ちを痛いほど理解しているからなんだろう。
残された人達のことを考えて少し落ち込んでいると、乱暴に扉を開く音が部屋に響き渡った。
バンッ!!
「ーー!?」
乱暴に扉を開いて姿を見せたのは、アラタの今世での父と母だった。
「目が覚めたか! 全く心配かけさせやがって!!」
180cm程の身長で、短めに切りそろえた茶髪をオールバックにした男は、父親のガルスだ。
「ほんと、心配したのよ。」
父の肩ほどまでの身長の女性は母親のユナだ、腰まである黒髪と、目は糸目で微笑んでいる所からとても優しげな印象を覚える。
「おはよう、父さん、母さん。 もう大丈夫だから心配ないよ。」
「まったくせっかくの誕生会だったのによ〜、魔法でサプライズも考えてたのに無駄になっちまったな!」
「ご、ごめん。」
「ま、まあお前がなんともねえなら構わねえよ!」
ガルスの冗談でアラタが落ち込んだ様子を見たユナが、ジロリとガルスを睨むと、少し頬を引き攣らせた様子でアラタを慰める方向にシフトチェンジする様子は傍から見ても尻に敷かれているのがわかる。
「あ、ありがとう。 …ん?」
「あら、どうかした?」
「魔法が使えるの!?」
「ええ、今までも何度が見せたはずだけれど、忘れてしまったの?」
前世では、アニメやラノベでよく描かれる魔法にずっと憧れを抱いていたアラタとしては、魔法が存在するという事実に隠しきれない興奮を抱いていた。
(そうだ、この異世界には魔法が存在するんだ!)
「いや! もちろん覚えてるよ!!」
「そ、そう? なら良かったわ。」
アラタのテンションに少し引き気味になりながらもユナはそう答える。
それを見たガルスは何かを思い出したように手をポンッと叩く。
「そういえば10歳の誕生日がきたら、お前に訓練を付けるって約束だったけど明日からにするか?」
「わかった! 絶対だよ!?」
「ああ、わかったよ、絶対な。」
明日の訓練を想像し、楽しそうにニヤニヤしているアラタを見つめながらガルスとユナはニッコリと微笑んで互いに頷きあう。
「アラタ、改めて言うわね。」
「急に倒れたもんだからちゃんと伝えてなかったしな。」
微笑みながら見つめてくる両親に向き合い、アラタは次の言葉を待つ。
「「誕生日おめでとう!」」
声を揃えてそう言った両親に一瞬呆気にとられながら、アラタは満面の笑みで返事をする。
「ありがとう、父さん! 母さん!」
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