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私はイレドの王太子として生まれた。だから小さい頃から父から期待され、全て完璧にこなさなければならないというプレッシャーが常にあった。

色々な所で緩衝剤になっていた母のおかげでなんとかやっていたが、第五王子のアランが生まれた後から体調を崩して母が亡くなってしまうと、父は変わってしまった。元々多岐にわたって父は様々な情報を掌握していたが、それを悪い方向に使い始めた。


兄弟とはほとんど会うことがなく、ただただ時期国王として徹底的に鍛えられた。そのころ魔法が上手く使えるようになってきて、父から受け継いだ風の魔法を使って風にのせて相手の話や秘密を聞き出したりすることにも抵抗がなくなっていった。


弟のアランがアルシュタルへ行くことになった時もなんとも思わなかった。なんで行ったか?命を狙われていたアルシュタルの第二王子の身代わりだよ。


そのアランがアルシュタルで力をつけていてね、イレドに来られちゃ困るってことでアランの愛人を攫おうとしたりとか色々やってたんだけど、そんなとき怜と出会ったんだ。


ん?怜が誰かって?異世界から来た子でね、愛人の子も怜と共に来た子らしい。最初はちょっとからかってあげるだけのつもりだったんだけどどうにも話が盛り上がってしまって、その愛らしい反応や仕草がまるで亡くなった母のようでほっておけなかった。だからアランを失脚させる前に怜だけは私の妻に迎えようと思っていた。しかし怜は無自覚だっただろうが彼には既に両思いになってる人がいた。それが本物のアルシュタルの第二王子だったんだ。


だから怜を手に入れるためちょっと風魔法を使って気持ちを伝えたんだ。それがどうもアランから彼にバラされてしまっていたようでね、最後アランがイレドに攻めてきたときにはきっぱり断られてしまったよ。それから私は絶望し、何もせずにいたらいつの間にかここに来ていたんだ。


「それは…まぁ…なんと言えばいいのか…」

「何故怜は私を選ばなかったのか…」

こんな話をできる人はなかなかいないのでフランの意見を聞いてみたかった。

「それは…魔法なんて使うからじゃないですか」

「それは多少悪いと思ってはいるが…欲しいものを手に入れるために手段は問わない主義だ。そこまでして求められるのは悪いものではないだろう?」

「それは人によると思いますけど」

「私にはいつも顔や身分のせいで、人が近寄ってくる。寄って来ない者の考えは分からない。魔法を使えばつれなかった怜も楽しく話してくれるようになった。」

「フィリップ様は操った怜さんに好きになってもらうことで良かったんですか?」


そう言われると…どうなんだろうな…

「いつか本当に好きになってくれれば良いと思っていた」

「そうですか…私の意見を勝手に述べさせていただきますと、本当に怜さんのことが好きなら、怜さんを無理に自分のものにしようとするよりも、怜さんの幸せを考えるべきだったと思います。貴方はただ自分につれない人が珍しくて愛が欲しくて、歪んだ愛を怜さんにぶつけてしまったのではないでしょうか」

「お前に何が分かる!私は本当に怜を妻にしたいと…!」

「出過ぎた真似をしました。申し訳ありません。失礼いたします」

落ち着いて話していたつもりが、思わず怒鳴ってしまうと、フランはハッとしたような顔をして慌てて出て行った。

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