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13話 開催前日②

あらすじ変えました。



 グランディア―ナ王城。

 王女リーゼロッテは依然として熱心に続けていた。



「んんんんん……おっぱい。私が求めるおっぱいはどの()だろうか? なあモリーユ。お前的にはどの娘がオススメだ? どの娘がおっきくて、柔らくて、美味しそうなおっぱいだと思う? やっぱ私としてこの辺りが――」



「牛乳を飲んでください」



 最強ギルド決定戦の開催前日。

 いよいよ決定戦に参加するギルドが確定しどんな面々が参加するか。主催者である彼女の元にその表……もとい女性陣に至っては()()()()の結果が丁寧に記されたリストが揃っており、



「それからリーゼロッテ様。そうやって参加する女性のバストサイズばかり眺めるのも結構ですが、ちゃんと()()()()()()()にも目を通しておいてくださいね。主催者として参加者達の名前を一度も見ていないのは洒落にならないんですから……」



「うん? えっと……そっちは何だっけ?」



「男性の参加者リスト――」



「焼け」



「主催者としてのやる気あるんですか!?」



 ざっと見えるだけでも数十枚。

 自室の机には丸められた羊皮紙がドンと積まれており、リーゼロッテはその中でもピンク色の紐で結ばれた物。言うなれば女性陣のリストを熱心に眺めていたのだった。



「だって面倒くさいもん。お前が代わりに見ておいてくれよ。男好きだろお前? 残念だけど今の私は美女のおっぱいにしか興味ないんだ。それを夫になるわけでもないむさ苦しい男どもの情報を見て何かメリットある?」



「いや言い方っ! なんですかその誤解を招くような言い方は!? ふつう女性は男性を好きになるものなんですけど!? というか、リーゼロッテ様の頭がおかしいだけなんですがっ!?」



「おい、お前今なんて言った?」



「テメェの頭がイかれてるって言ったんですよ、この変態王女! よくもまあ朝一番からそうやって女性の写真と胸のサイズばかり見てグヘグヘ楽しめますね!? 正直見てて泣きたくなりますよ! こんなのが自分の主人と思うだけで!」



「いや10割増しで返答しないで!? そこはせめて従者として冷静になって、私が悪かったとか。思わず口が過ぎましたとか。罰として鞭で叩いてくださいとか。そんな感じで反省を――」



「すいません。鞭で調教し直したいのこっちなんですけど……それどころか貴方が王女でなければ今頃グーパンチで殴ってたと思うんですが」



「お前、絶対にいつか不敬罪で殺すからな」




 しかし……真面目に主催者として勤しんでいるかと問われればこの通り。本来であれば主催者として参加するギルドの名前とそのパーティーメンバーの把握。果てにはその評判諸々と招いた側としての最低限の情報を知る必要があるのだが、



「ほーら! つべこべ言わずにこっちの男性リストにもちゃんと目を通してください! 別に全て覚えろとまでは言いません! 誰もリーゼロッテ様の知能にそこまで期待していませんから!」



「おい、またナチュラルに馬鹿にしたな!? マジで未来の女王に向かって何たる言い草だ! 私が女王になった時はお前を火炙りにしてやる!」



「その時はリーゼロッテ様の秘密を暴露するので大丈夫ですよ。そうしたら私の隣に“もう一人”追加で炙られる人間が増えるだけですから」



「それ私か!? 私のこと言ってんのか!?」



「……他に誰かいますか? まあもっともこうして共犯者である以上、貴方様は私を裁けない。裁けば自分にもその刃を向ける事になりますからね。それでも良いのでしたらお好きにどうぞ?」



「恐ろしい子!」




 そう一向に見ようとしないリーゼロッテ。


 苦手な野菜を口にすら運ばない子供の如く。無礼な発言を繰り返す従者と口論しつつ難癖を付けてはリストに触れもせず、いよいよ見る価値無しの一点張りで収拾がつかなくなった頃――




 トントン。




「「!?」」




 場に変化。




「リーゼロッテ様? モリーユ様? 何やら騒がしいようですがお二方とも大丈夫ですか?」



 会話的に最悪のタイミングなのか。

 もしくは最高のタイミングなのか。



「ゴホン……大丈夫だ。気にするな!」


「……何かありましたか?」



 ハッと冷静にさせる第三者の声。

 モリーユの部下。そのメイドの一人が扉越しに声をかけた。



「はい! 先程コロシアムで身体測定の任を負っておりました者より、発行が遅れていた残りの参加者の名簿が完成したとのことでしたのでこちらへ持ってきた次第です!」



「そ、そうか……分かった」

「入りなさい」



「は、はい! 失礼致します!」



 今の話聞かれた!?

 大丈夫!? 聞かれなかった!?


 リーゼロッテ、モリーユ共々にそんな疑念が渦巻く中。羊皮紙の束を盆に乗せたメイドが入室。

 王女専属の従者であるモリーユ以外は滅多に立ち入る事が許されないためか、どこか物怖じしたようなゆっくりとした歩き方で入ってきたかと思えば、



「は、はい……モリーユ様。ではこちらが最後の参加者名簿となります。こちらが男性の名簿。そしてこちらが女性の名簿です。測定結果も記載しておりますので確認をお願い致します!」



「ええ、分かったわ。ご苦労様」



「は、はい! それでは失礼致します!」



 王女の前で決して粗相があってはならないと構えていたのか。任を終えたメイドはリーゼロッテ達へそれぞれ一礼すると、そのまま間髪入れずに退室していった。



「……聞かれたか?」


「……恐らく大丈夫でしょう」



 それこそ先程までの低次元な口論や会話を聞いたかの有無を確認する暇も無いまま。モリーユは彼女から預かった最後の参加者名簿を、



「さあ、とりあえずお待たせ致しました。少し遅れましたけど、これで今回の全参加者のリストが揃いましたので改めて確認をお願い致します」


「了解。つっても女性陣は数枚か。少ないな」


「ちなみに男性の方は――」


「そこに暖炉があるじゃろ?」


「……もう知りませんからね」



「えっとぉ……どれどれ。フィーケ・パンジー【B】。イレト・セール【C+】。モモカ・シーバ【B+】……うーん、やっぱ貧乳多い感じだなぁ。まあ巨乳自体が神からのご褒美みたいなもんだし」



「貴方は女性の胸の何を知ってるんですか?」



 そのままリーゼロッテへ。

 相変わらず男性のリストは一切受け取らないまま女性のみをチェック。ひきつづき理想とするおっぱいが無いかどうかを確認していく。




「うーん……見た感じだと、この金髪の【A+】のセリカ・アルバートって娘が中々良い線いってる位かな。大人しそうなのが残念だけど。他は大体CとかBばっかりだ。やっぱ全リスト通じても“Sランクおっぱい”はあんまり見かけないな」




 さながら鉱脈を掘り当てんとする炭鉱夫の如し。

 包み隠さずに言えば己の性的欲求を満たしてくれる原石を探していく王女。




「逆にSランクいたんですか?」



「ああ、いたにはいたんだけど……他のサイズがな。なんというか()()()()()()()というか、スリーサイズがな……少なくとも興味は持てなかった」



「あはははは……まあそう言う方もいますよね。いわゆる“ママ”って云うんですか? ほら一派の大黒柱的な。多くの子分達を従える人」



「よく分かったな、そいつギルド長だったよ。まあ写真的には男勝りな感じで良かったんだけど…………なにぶん容姿がねぇ。あれで外見が良かったら最有力候補だったんだけど――」



 ちなみに【C】は小さい。【B】は普通。【A】は中々で揉み心地が良さそうといった評価。


 そして肝心の【S】は言うまでもなく最高。

 男女問わずに誰もが一度は鷲掴みしたくなる母性を感じる大きさ。まさしく神からの賜り物。


 また“+”はというと形や柔らかさといった観点から、測定時の女性担当者が思わず触りたくなった美乳。直接的に言えばムラムラするといった評価に準ずる。



「エルミー・クー【B】。ユアル・パッシュ【B+】。エノア・ピッツ【C】…………ああ、ダメダメ。こっちも全滅。となると最後の望みは残るこの1枚だけだが……この流れだと期待できないよな」



「まあまあ、そう言わずに。残り物には福があると言いますし、ここまで来たのなら最後まで目を通しましょう。どうせ男性の方は見もしないんですから。せめて女性だけは終わらせてください」



「はいはい、分かりましたよ。えっと――」



 と、そんな不健全極まりないゲスな評価基準。

 もしこの審査基準が漏れれば袋叩きに遭うこと請け合いの差別的な評価が秘密裏で下されていた中。リーゼロッテは最後の1枚。


 半ば諦めつつも、今まで同様に数名の名前とスリーサイズ。さらに顔写真も添えられた羊皮紙に手を伸ばして確認するのだった…………。




「……うん? うんんんっっっ!?」




 ――すると!?




「お、おいモリーユ…………いたぞ」



「えっ?」



 見つけた。

 ついに見つかった。

 理想的なおっぱいを持つ女性が。




「神だ。いや聖母が舞い降りた……」



「どれどれ………………うわっ!?」




 ネリス・アルノーク   【S】

 エルーナ・クリストリア 【S+】

 フィオナ・スカーサハ  【S++】




「か……完璧だ」




 同封されていた写真と併せて容姿もOK。


 後は性格となるが目付きなどの外見からは一見問題無し。求むは軟弱な女性を装うタイプのではなく征服し甲斐のある男勝りな感じなのかどうか。まあ実際のところ、流石にこればかりは決定戦が始まってから確認するほかは無かったが、




「よし。とりあえず腹は決まった……いやおっぱいが決まったぜモリーユ。決定戦終了後、私はこの三人を自室に強引に連れ込んで、一晩中キャッキャッウフフしまくる事にした! それをもって我が(強い)(おっぱい)(プロジェクト)計画は完了とする!」




 ひとまずリーゼロッテは決定。

 勢いよく椅子から立ち上がり勝利を噛みしめるかの如く拳を強く握りしめると、モリーユの前で彼女は高らかに目標を宣言するのだった。




 対し……モリーユは喜ぶ主人の姿を見て、改めて純粋にこう思った。



「あ。さいですか」



 次代でこの国滅びればいいのにと――



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