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第六話 便利なモノって怖いよねって話 下

 

 それから体を拭かれ、全身にベビーパウダーっぽいモノを塗され下着を穿かされた私は先ほど話した魔道具についての考察の続きを話す。


「さっきも言ったけど、制限を無くした場合。あの魔道具がどんな怖い事ができるか、想像してみたの」


 ティティを含めたメイドさん立ちは私の服を選びながら、私の戯言に付き合ってくれるようだ。


 いい切機会なので実現できるか別として、こういう危険性もあるんだ。て知ってもらおう。

 ティティ以外は気付いてない、というか想像できないみたいだし。

 それに……彼女たちはメイドであり、護衛でもあるわけだしね。


「例えばね。『ヒート』これは対象を温める魔法だけど。これ使い手によっては危険な魔法、て思うのよね。実際はどうなの? ティティ」

「ええ。お嬢様が危惧している通り、初級魔法とは言え、攻撃魔法です。使い方次第では危険です。妖精種――ドワーフなどは鍛冶や彫金に『ヒート』を使い、金属を熱したり溶かしたりできます。これは一般的な人種には難しい事ですので、妖精種などは、という話になりますが。人に向けて放てばどうなるかは……簡単に想像できますよね?」


 と同僚たちの理解を窺うティティ。


 ここで全部私が話すより、ティティの言葉が加わる事でこの話の重さが段違いに変わってくる。

 それを狙ってティティに話を振ったが、どうやらティティはわかってくれたようだ。

 さすがティティストセレスさん。見た目はお母様の同じで美少女なのだけど、生きてきた『時』が数倍違うってのはやっぱすごいね。

 話を聞いていたメイドさんたちの顔が驚愕を彩ってるもの。

 私がいくら怖いよね、と言っても『所詮は子供言う事』に捉えられちゃうものね。

 だって私は幼女! 六歳のうら若き美幼女ですからね!! 

 ……あれ? 自分を幼女だと強調したら……なんか空しくなってきたわね。

 そんな事よりも、話の続きね。


「ティティ? みんなびっくりして手が止まっちゃったわよ」


 とおどけて見せてから――


「で、さっきの魔道具に戻るのだけど。もしそれだけの……ドワーフ並みの出力を出せるようにした、あの魔道具を……『怖い考え』を持つ者が手にしていたら?」


 ここで一旦区切ってメイドさんたちに目線を配る。


「例えばね。そういう輩がね。その魔道具を仕込んだ花束を通りすがりの子供に渡すの。でその時にこう言うの。『この花束を私の代わりに、あの貴族のお嬢様に渡してくれないか?』て……それからね。『もし、私の代わりに渡してくれるのなら、これをあげよう』と言って金貨を一枚みせるの。子供なら二つ返事で承諾するんじゃない? 私ならしちゃうわ」


 と最後にコロコロ笑って見せると、ティティが困った顔でこちらを見ていた。


「お嬢様。そのような恐ろしい事を仰って皆を怖がらせないでください。……大方、その貴族の令嬢が、もしお嬢様だったらと、最悪を想像してしまったのでしょう」

「そう? でもこれなら子供を簡単に暗殺の道具に仕立て上げれるでしょ? 最も……こんな事許されるモノじゃないし。絶対に許さないけど」


 あー自分で話しておいてなんだけど、胸糞悪くなる話ね。これ。

 別に私が標的になるのは別にいいんだけど……実際に子供を使われたら加減できる自信がないわ。

 その子に対してじゃなく子供を使った下種にだ。

 ヤバい、想像したら――こう沸々くるモノがあるわ。

 なんだか無性に、この辺一帯を更地にしてしまいたい。


 と湧いてくる想いを全力で解き放ちたくなっていると、ほっぺを引っ張られる。それも両側。


「――お嬢様っ。そんな怖い顔をされては皆がもっと怯えてしまって仕事になりません!」

「ひぃひてぃ?」


 どうやら、犯人はティティのようだ。

 それから彼女は私の両頬と目尻を、むにむにと解す様に揉む。

 あ、それ気持ちいいかも――。


「先程のお顔は奥様がお怒りになった時にそっくりです。目つきが特に、です。ですのでお気を付けください」


 なんて心地よさにうっとりしていたら、ティティが聞き捨てならぬ事を言った所為で湧き上がった想いが吹っ飛んでしまう。


 え? お母様に? それも目つきが? あのクリクリとつい抉り取ってしまいそうになる、大きく愛らしいお目目に? そんな馬鹿な……私の目はどちらかと言えばお父様に似てると思うのだが。

 と、私はティティの言った事が腑に落ちず、頭の中ではてなマークを大量に生産していると、ある事実に思い至る。


「ちょっとまって、ティティ。一つ確認したいのだけど……それって」

「はい」

「さっき私が話した事よりも、私の顔、もしくはお母様の怒った顔のほうが怖いって事?」

「…………」


 すっと目を逸らすティティ。ついでに顔も……ちょっとまってティティさん?


 ティティのこれ以上は黙秘します、と言わんばかり態度に驚きつつも他のメイドさんたちを見れば――皆示し合わせたかのようにスッとティティのように意思表示をする。


 ……ちょっとお話ししましょうか?





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