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不審者ちゃんの独白っぽいモノ


「……おおお嬢様とですか?」

「――そ、私と、ね」


そう言ってニッコリと笑うお嬢様を見ながら、ガタガタ震えそうになるを必死堪えているあたしの名前は――リンティストセレネ。

現在、お嬢様に不審者扱いをされている哀れな()()()使用人です。


あ、そうそう皆さん? 私の事は親しみ込めてリンティと呼んでくださいね。


さてさて、どうしてあたしがこのような目にあっているか、は勤勉なる皆様、または何もかも見通せる千里眼をお持ちの皆様は分かっているとは思いますが、それでもあえて説明するならば、影に潜んでいた事がバレた、ですね。

そして、お嬢様の異常な警戒心の高さが加わり、私にとってそれなりに永いエルフ生の中でもぶっちぎりで堂々たる第一位に見事輝いた現状を一言で言えば――……生命の危機ですっ! 命が危険です! 


こうまで、はっきりと死を感じる事なんてそうそうないですよ? 

てか、なぜあたしはまだ生きているんだろうとすら思って、しまって、いますからねっ!!


お嬢様の目の前で粗相してないだけ……いや、それはもうやらかしてますね。

とても恥ずかしい事を思い出してしましました。先程のアレです。

だって仕方ないじゃないですか……ティティ姉さんが霞むぐらいすんっごかったんですから――あ、思い出しただけちょっと下着がまず――。




と私がよくわからない現実逃避してる内にお嬢様は話をドンドン進みます……。


「では、あちらに見える石人形にご注目ぅ」


と大変楽しそうなお嬢様。

天真爛漫、無垢で無邪気という表現がピッタリですね。


……竜のような腕と目を覗けば。あと、お嬢様の頭上に浮かぶ六つの光球から馬鹿げた魔力を感じなければ。


とりあえず、言われた通りにお嬢様が石人形と称した、あたしそっくりな石像に注目します。

よく出来ていますね。遠目から見てもその精巧さを感じます。あれ? 実物の私より胸がすこし小さく感じますね。あれぐらいがお嬢様の趣味なんでしょうか? 


お嬢様があたしにアレをされている時、重点的に私の胸を攻め立ててましたからね……おっぱいに譲れない拘りでもあるのかもしれません。あたしもおっぱいは大好きですからね、わかりますよ。


……考えてみればお嬢様のまだ生後六年でしたよね? それなのにもうおっぱいに拘りを? 流石ですね。

だけどエルフ目線で考えると、まだ母親の胸に包まれている歳ですし、母親のおっぱいが恋しいが故に、でしょうか。 


あ、そういえば、奥様はおっぱいがあ――やめときましょう。これ以上は危険だ。

心の中ですら言ってはいけないモノというのはあるものです。

それに、過去どこぞの男爵が奥様に「哀れな胸だ」と影口を叩いていましたね。

まぁ、その男爵はそれっきり見なくなりましたが。


ついでに思い出しましたが、その影口を報告した時の奥様の顔……今のお嬢様にそっくりですね。


最悪ですね……全くもって最悪です。

どうやらあたしも、あの男爵の様に消えてしまう事が濃厚になってきましたよ!

とりあえず、現状を打破するにはあたしが使用人であると、証明しなければなりませんね。

ですが、あたしがどう言い募ろうと自称でしかない、としか思われないのですから。


証拠を出さなければ……物的証拠は偽造だと言われそうですし、やはり姉さんを証人に。

怒られそうですが、殺されるよりマシです。


とこの後どうするか考えているとあたしの視界に光球が映り込んできます。

それは真っ直ぐとあたしを模した石像に。

そして、それに触れると激しく瞬きます。

ズンっと重く伝わる衝撃。のちに響く轟音。石像は跡形もなく消え、それがあった場合はすり鉢のように丸く抉れています。

あたしが全身を吹き抜ける暴風に髪を靡かせていると目の前にドスっという音が聞こえてきました。

音のした方に顔向ければそこには、半分砕けた石像の頭が転がっています。


半分だけですが……本当にあたしそっくりですね。


それから私は天を仰ぎました。


ご病気が治ってから、お嬢様が自由に行動できるようになったのが今日の事です。

それまではティティ姉さんたちが、おはようからおやすみまで付きっきりでした。

なので、あたしは短いながらもお暇を頂いていましたが……まさか、休日明けの初仕事がこのような事になるとは。


やや遠くからお嬢様の声が聞こえてきます。


「それじゃ頑張ってこのエナジーボールをよけてねっ! 掠っただけでも大惨事だし、運悪く当たって死ねなかったら、この世に生まれてきた事を後悔するかもよ! その辺留意しといてねっ!」


何言ってるんでしょうね? あの子は……さっきのがエナジーボール? はぁぁ?


……はぁぁああ、今日は長い一日になりそうですよ、ティティ姉さん。

姉妹なので共にこの窮地を乗り越えましょうよ、ティティ姉さん。


そうこの場にいない姉に心の中で語り掛け、あたしは妖精回路(テレパシー)を姉さんに繋げます。


【どうしたの? リンティ】


ややあって、ティティ姉さんの声があたしの中で響きました。

よかった繋がって……そう安心した瞬間、あたしは大きく真横に飛びます。

そして、あたしの立って居場所が轟音と共に爆ぜます。


エナジーボールじゃなくてエクスプロージョンでしょに!?


【リンティ!! 今の音は何!? お嬢様は無事なの!!】


ああ、本当によかった。あたしが聞いてる音がちゃんと伝わって……。


あたしが着地するのを待っていたかのように、お嬢様の頭上にある自称エナジーボールがこちらに向かって打ち出されます。


【何がおきてるの!? リンティ! 答えなさい! 】


ティティ姉さんの声を聞きながらあたしは疾風となり迅雷へと至ります。


そして、轟音背に、全力でティティ姉さんに告げます。


「ティティ姉さん!! あっ! なたのっ! 可愛い妹がっ!! 大ピンチです!! 至急妖精門(フェアリーゲート)潜って!!」


それから濁音交じりに――



「おおねぇぇぢゃゃゃん。だじゅげでぇぇぇぇ!!」

今後、更新時間等が乱れます。

申し訳ないです。

私の右手と左目に封印されている、ブラット・ヒートダークネス・アポカリプスナウアイズがさわ――以下略。


すいません調子に乗りました。ただの腱鞘炎と、ものもらいです。

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