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第十四話 短気は損気。そして、怪我の功名。上

 

 あれから、止められない、止まらない感情の赴くままにはっちゃけた私。


 きっと今の私の顔はツヤッツヤッだろう。


 そして、私の真っ赤に燃えたサディズムハートを受け止めたティティにそっくりな不審者は、というと――


「……とても人様にお見せできない在り様ね」


 表現しようとするこっちが恥ずかしくなるわ。

 特に表情なんか……見てると私の顔が熱くなるし。


 だいたい、ティティの顔ってのがいけないのよ! 

 あの顔であんな表情やこんな表情でアレな声を聞かされたら興が乗るに決まってるじゃない! 


 と、彼女に責任転嫁をする。


 敵なのでいいんです!


 さて、実際のところ私が何をしたかというと、こいつの魂に直接触れて、その魂の中核――コアって呼んでるモノから情報を引き出そうとしたのだけど……。


「いい気構えしてるじゃない? まさか、コアに触れたら自壊するようにしてるなんて」


 それでもどうにかできないか、あれやこれやと魂の中を弄った結果が今なんだけど……愉しかったからいいでしょ!


 うーん……これがだめなら。

 あんまり好きな方法ではないが、アレしかないか。

 できるだけ、スマートに済ませなかったが魂から情報が引き出せないのなら仕方ないわよねぇ。


 と快楽天に昇りつめた不審者に向けて正気に戻す魔法を放った。

 その効果は抜群で、人様、特に殿方に見せれば、どんな枯れた殿方でもその気になるのような表情がパッと夢から覚める様に元に戻る。

 正気に戻った彼女は「え? え?」と言いながら右に左にと頭を振る。


「あ、の? さっきのは?」

「いい夢見れたかしら?」


 と言ってやる私。


「夢だったんですか? さっきのは……」


 と何処か安心した様子の不審者。

 それを見て、ほくそ笑む私はこう告げる。


「いいえ? 現実よ」


 と返せば、体を跳ねらせて顔がみるみる赤く染まる彼女。


 まぁ! 耳まで真っ赤っか! 可愛いわね!


「――――ぅっ!」


 声にならない悲鳴ってやつかしら? ふふふ……俯いちゃって。

 ティティなら絶対にしない表情よねぇ……あの子ならきっと「くっ。殺せっ!?」通称くっころだものもん。


 ぐっふ! ふふふふふっ。ふふふふふ……。


「そ、その笑い声は……」

「あら? 漏れちゃってたかしら? 気にしないで」

「その、あたしの事は信じて貰えたのでしょうか……?」

「そうね……」


 と言いつつ、またもや震えてビートを刻もうとしたサディズムハートを鎮める。


 ほんと、この感情の起伏はなんのかしらね。

 楽しい事を全力で楽しもうとする無垢な子供心ってやつなの?


 あまりにもメリハリがあり過ぎる喜怒哀楽に不安を覚え、これは今後の要調査が必要ね、と心のメモ帳に書く加える。


「信じるも何も。あなたの言ってる事って自称でしょ? 証拠がないのよねぇ」

「それは……」


 それ以上言葉が続かない不審者を見つつ、先程エンジョイしたおかげで幾分か怒りも収まったので、ここは知的に攻める事にしましょう!


「だから、あなたの魂――コアにあるイデアから確証を得ようしたけど……随分器用な事してるみたいで無理が出来なかったわ」

「……コア? それにイデアて……まさか!」

「知ってるの? 意外と博識ね。まぁそれは置いといて。なら証人としてセバスかティティをここに呼ぶ、手もあるのだけど……そんな事できないわ」

「え? 呼んいただけるのなら助かるんですが……」

「嫌よ! あなたの魂に施されている魔法が何なのかわからないのに! そんな危ないことできないでしょ!? セバスとティティの魔力を、あなたが感知した瞬間、魂を起点にして爆裂する自爆魔法かもしれないし。 あとは魂を砕いてそれを魔力に変え、何処かに連れ去る為の転移魔法だとか。いろいろ考えられるでしょ?」

「あの、それ……全部禁忌魔法なんですが」

「禁忌だろうがなんだろうが、そうできる可能性がある以上、却下です! ま、あんたたちのそんなちゃちな魔法でどうにかできるほど私は甘くないけど、家族を危険に晒す事なんて論外よ!」

「では、どうすれば……」


 そういうと思ってたので、ご用意しておりますとも!

 前にも言ったが、こういうのは趣味じゃないのでやりたくはないのだが。


「そこで、私は考えました。人って――これは生き物全部に言える事なんだけど。生きるって最優先事項よね。だからね……今から、あなたに天秤を持ってもらおうと思います!」

「て、天秤、ですか?」


 と言って、顔色を悪くさせる不審者。


 この子のこういう顔はどうしてこうも、私のサディズムハートをくすぐるのかしらね……ゾクゾクしちゃうじゃないのよ!


 とウキウキしながら私は両腕の肘から先に竜燐を纏う。

 纏い終えた後、頭上に六つの光弾を作り出す。これは『エナジーボール』という初級の攻撃魔法だ。

 それから、左側、私からやや離れた場所に目の前にいる不審者の姿を象った石人形を作る。

 そして、彼女を縛っていた拘束魔法を解く。


「立っていいわよ。てか自由にしていいわ。でもこの鍛錬所からは出れないわよ?」

「いえ、それはいいんですが……これから何をするんでしょうか」


 不安げな表情でチラチラと私の作ったい石人形を見ながら質問してくる不審者。


 私は年相応の無邪気さを意識しながら、笑顔を浮かべる。

 笑顔を向けたのに、何故か引きつった顔をする彼女に疑問を浮かべながらも、私はやや舌足らずにその質問にこう答えた。



「あたちといっしょにあそびましょっ?」



更新時間がまちまちでごめんなさい……。

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