英雄王の帰還
「ん、ここは………」
突然戻った色彩に驚きながらカイルは周りを見渡す。
「森の中か………」
アイテムボックス内はそのままになっているようだ。助かった、当面はなんとかなりそうだ。しかし、人里を見つけられなければいずれ尽きてしまう
「とりあえずの目標は人里を見つける事か。」
川を見つければ村は見つかるだろう
ガサッ、ガサッ
「何者だ!」
「ひっ、ここには人間はいないはずなのにどうして。」
茂みから女が飛び出してきた。見たところ獣人とエルフのハーフか
「驚かせたようならすまない、このような森に男が一人でいたら驚くだろう。」
「もっ、申し訳ございません。すぐに立ち去るのでどうか処罰だけは………」
処罰?何を言っている
「処罰とはなんのことだ?」
「へ?いえ、申し訳ございません。」
「処罰とはなんのことだと聞いている。」
「ひえ、お怒りを買ったのであれば誠に申し訳ございません。しかし、家で待つ家族がいるのです。どうか命だけは。」
「だからなんのことだと言っている。それに私は人間族ではない。」
「しかし、背も高い上、耳は普通、尻尾はありませんよ。」
「私はハーフだ、まあ人間族の血が濃いが。」
昔も人間族にしか見えないと言われていたな
「ハーフ…あなたもハーフなんですか!」
「あ、ああ。」
「そうなの!良かった~、私エルフと獣人のハーフのルル。本当に良かった!貴方が人間だったら私殺されていました。」
突然まくし立てるように話始めたな、しかし…
「そこまで怯えるほどハーフへの弾圧はひどいのか?」
「あなたもハーフなんですよね?」
「そうだが。」
「ならわかるといますが、純血に見つかればよくて暴行、運が悪ければころされますね。」
「そうか、私は人がいないところを転々と旅をしているから少し疎いんだ。」
「もしかしてあなた冒険者?」
まだ冒険者システムは存在しているのか。とりあえずそう名乗っておけばいいか
「ああ、そうだ。」
「やっぱり、A級かしら、そのぐらいあればどの種族でも迫害は受けないって聞くし。」
「ああ。」
「それにしてもどうしてこんなところに。」
「何故か、か………」
ふむ、どういったものか……
「そういえば、冒険者で情報はお金より大事って言うんでしたね。」
とりあえず話を会わせておこう
「まあ、そうだな。」
「すみません、不躾なことを。」
「まあいい、それより運良く出会えたことだ、今夜は野宿しようと思ったがそちらの家に止めてもらえないか?」
彼らの家に止めてもらえば状況も少しはわかるだろう
「しかし………」
「ああ、もちろん礼はする。」
「いえ!あの、今集落には食料が少なく」
「なら泊めてもらう礼として食料を提供しよう。」
「現在、集落には数十人がいます。気持ちは嬉しいですが………」
ふむ、アイテムボックスには糧食の3分の1が入っているし、大丈夫だろう。
「安心しろ私はアイテムボックス持ちだ。」
「そうでしたか。では厚意に甘えるとします。行きましょう、集落はこちらです」
「感謝する」