『もしも』世界のディナトール家
刺繍が仕上がったのでディナトール家に手紙で予定を伺って、訪問のお許しを頂いた。手土産は菓子店の焼き菓子。私のお気に入りを用意した。
訪問用ドレスを身に纏って馬車に乗る。見慣れた外観のディナトール家のお屋敷。侍女に中に通されると現実世界の私が住んでいたディナトール家の内装とは全く違った印象を受ける。何だか、無駄にけばけばしい。成金趣味な内装になっていた。
私が住んでいたディナトール家の内装もそれなりにお金はかかっていた。けれど、むやみやたらとお金のかかった派手なインテリアを設置するのではなく、全体を通して見た時に上品に調和がとれるように見立てた居心地のよくなるような内装をしていた。
応接間に通される。応接間も随分見栄を張った造りだ。王宮を真似ているのだろうか? 各所に金細工を置かれていて、無駄に目がちかちかする。飾られている絵画の趣味も派手好み。内装を拝見していると、すぐにアルトとシェイラ様がやってきた。
「お待たせしました。ようこそディナトール家へ。ロレッタ嬢」
アルトの背後に隠れるようにシェイラ様が控えている。
侍女がお茶の用意をしてくれた。侍女は現実世界では見たことのない方だ。
「わたくしを呼びつけるなど、いいご身分ね(訳:お招きいただき、ありがとうございます)」
「……」
アルトは眉を顰めた。私が居丈高な物言いをしたので気分を害したのだろう。折角お招きいただいて、嬉しいのにこんな言い方しかできない自分が嫌になる。こんな言い方したいわけじゃないのに。
「手ぶらで来るわけにも参りませんので、手土産をお持ちしましたわ(訳:つまらないものですが…)」
アルトは早速お茶菓子を開けてお皿に乗せるように指示していた。美味しそうなチーズのミニタルトだ。ここのチーズタルトは知る人ぞ知る味。バーベナ様に教えていただいて、食べてみてからは一発で気に入ってしまった品だ。現実世界ではアルトもお気に入りの一品だった。
「美味しそうなお菓子ですね。お茶もどうぞ」
勧められてお茶を頂いた。私は微妙な気持ちになる。茶葉は高級なものを使っているが、淹れ方がさほどうまくない。現実世界のディナトール家ではこんな下手なお茶を淹れる侍女など居なかったのに。
「期待外れのお茶ですね(訳:イマイチのお味だわ)」
正直に感想を述べた。
「失礼な方ですね」
アルトが顔を顰める。
「茶葉の無駄遣いですわ(訳:最高級の茶葉で勿体無い淹れ方をしてるわ)」
「ひどい…アリーが心を込めて淹れてくれたお茶なのに…」
シェイラ様が悲しそうな顔をする。アリー…というのがお茶を淹れた侍女なのだろう。私の知らない顔だ。アルトが慰めようにシェイラ様を撫でている。
「このお茶に心なんて込められてませんわ。その侍女は怠慢ですもの」
私が住んでいたディナトール家では先輩侍女が後輩侍女に熱心にお茶の淹れ方、美味しく淹れる方法を伝授していた。後輩侍女は一生懸命にそれを学び、きちんと美味しいお茶を淹れるルールを身につけ、美味しいお茶を淹れていた。中には不器用な侍女もいたけれど、不器用なりにお茶を淹れる際のルールを守ろうという姿勢を見せていた。
このアリーという侍女は違う。見ていたが、お茶を淹れる際のルールを守っていない。本当に「心を込めた」なら、きちんと学習する姿勢を見せ、技術を磨いているはずである。そうでないならただの怠慢だ。随分と侍女の質が落ちている。
私の知っているディナトール家と落差が激しい。私が住んでいたディナトール家はあんなに素敵な居心地のいい家で、いい使用人が沢山いたのに。こんなお粗末な家に変わっているのかと思うと悲しい気持ちが溢れる。
「ひどい仰りよう…」
シェイラ様は侍女の代わりに傷付いたような、心を痛めた優しい女の子のポーズをとっている。わざとらしい。そういうシェイラ様の被害者ぶる態度が私は大嫌いだった。さも自分は心優しいか弱い乙女、心ない言葉でショックを受けました…という態度は現実世界のシェイラ様のご様子にそっくり。白けた視線で見てしまう。
「事実ですわ」
「だとしても、他家に招かれて態々言うことではないね」
アルトが厳しい顔をした。
「その点は同意しますわ(訳:ごめんなさい。言い過ぎました)」
確かに。ディナトール家の使用人の質の低下は疑いようがないことだけれど、今はディナトール家に関わりのない私が口を挟むのは越権行為だ。どう考えても失礼。マナー的に考えても減点だ。素直に詫びた。
一応遠回しな謝罪が済んだので、それ以上の追及はない。
アルトは気を取り直してチーズのタルトを上品に切り取って食べた。
「美味しい!」
アルトは顔を輝かせた。
濃厚でコクのあるチーズをたっぷり使ったタルトだものね。こってりしてるけれど癖になる味だ。沢山食べると飽きてしまう味だが、程よい満足感で食べ終えられるようなミニサイズ。
ひとしきりお茶とお菓子を楽しむ。
「お約束通りハンカチをお返ししますわ」
アルトに刺繍を入れたハンカチをお返しした。
「これは…可愛らしいですね」
アルトの顔がほころんだ。私が施した刺繍はハンカチの隅に小さなリスが二匹、木の実を手にしているデザインだ。茶系の糸を複数使ってリスの姿に立体感を出している。リスの周りに枯れたような桃色の糸を使って花を描いた。アルトの名前も刺繍糸でいれてある。色合いの違う茶系の糸だが、統一感があって良くまとまって見える。
「褒めても何も出ませんわ(訳:恐縮です)」
「シェイラのも見せてくれる?」
アルトに促されてシェイラ様がハンカチを出した。流石にシェイラ様は刺繍がお上手だ。カラフルな刺繍糸をふんだんに使い。様々な花が詰められた花籠と小鳥の姿が刺繍してある。目に鮮やか。比べてみると私の刺繍は少し地味に見える。シェイラ様はアルトに見えないように勝ち誇った顔を向けてきた。
「ロレッタ嬢も、シェイラも有難う」
アルトは特別どちらが優れているだとかは言わなかった。言われたらいらぬ軋轢が生じるだろうから言わなくて良いのだけれど。アルトが素直に喜んでくれたようなので嬉しい。アルトの喜ぶ顔は可愛い。
「紳士らしい振る舞いをしたご褒美よ(訳:ハンカチを貸してくれたお礼の品です)」
アルトに小さな茶色い布張りの小箱を渡す。中に入っているのは色ガラスでできたカフスである。モザイクタイル風に寒色系の色が組み合わされた正方形の品。袖に通す部分は勿論金属だし、金属の枠金が入っているのですぐに割れてしまうような品ではない。丁寧に作り込まれた品で安くはないが、宝石ほど高価でもない。私が頑張って探した掘り出し物。
「有難う。とても綺麗です」
アルトは素直に喜ぶ姿を見せてくれた。心が温かくなる。
「わたくし、借りを作っていると気持ち悪いのですけど(訳:この前お食事をご馳走になったお礼もしたいのですけれど)」
「?」
アルトが首を傾げた。私の言う『借り』が何を指しているのかわからないのだろう。もう少し具体的に言葉にしないと。
「お食事…」
「気にしなくても良いですが…」
その単語を出すとアルトは私が言いたかったことを察したようだ。アルトは少し緊張した顔をした。
「借りを作るのが気持ち悪いのなら、今度はロレッタ嬢がご馳走してください」
「仕方ありませんわね(訳:喜んで)」
アルトの申し出は理想の展開。アルトと一緒にお食事できる。前回は失敗してしまったけれど、次回こそ良い雰囲気で楽しくお食事をし、仲を深めたい。ぐっと力がこもる。
シェイラ様がぷくっと膨れたお顔をした。
「お兄様、今度はシェイラも連れて行ってください」
「だ、だめだよ」
アルトが慌てた様子で断った。
「……男女の二人きりでお食事なさるなんて、デートみたいです。不潔です」
シェイラ様がアルトの袖を掴んでいやいやした。まるで純真で潔癖な少女の素振りである。私はデートのつもりであるし、アルトもシェイラ様の同行を断ったということはそのつもりなのではないかと希望的観測をする。
「男女二人での食事が不潔なら、シェイラ様はアルト様と不潔な行為ばかりをなさっているのではない?(訳:シェイラ様はアルトと一緒に食事してるんでしょ? ズルいわ)」
「兄妹は良いのです」
シェイラ様がしれっと仰った。自分が『血の繋がらない妹』であることを最大限に利用しているようだ。
「まあ。兄妹は良いのですか。それはシェイラ様が兄は恋愛対象にならないからいいと仰ってますのね。よろしかったですわね、アルト様。妹様は大変健全な方の様ですわ」
「ち、違います、お兄様!」
私の指摘にシェイラ様が慌てて弁解した。
シェイラ様は『血の繋がらない妹』の都合のいい点は最大限に受け取り、都合の悪い点は拒否するおつもりらしい。『血の繋がらない妹』……つまり所詮はただの『妹』という点。
「あら、違いますの? ではやはり不潔なのではなくて?」
「ロレッタ様はすごく意地が悪いんですね…わたくし、お兄様だけは特別ですのに…」
シェイラ様は心ない言葉に傷付いた風を装いつつ、更に『お兄様は特別な人』アピールをしている。なんと計算高い。アルトはそれを聞いて何故かぎょっとした顔をしていた。
「特別ならいいんですの? ではどうしてアルト様がわたくしにとって特別な方ではないと決め付けますの?(訳:私にとってアルトは特別だから、デートだっていいと思うの)」
「ロ、ロレッタ嬢。それはどういう意味ですか!?」
アルトが食いついた。
勢いで述べてしまったことだけれど、これはもしかしたらチャンスかも…
「わ、わたくしにとって…………」
「アルト様は特別ですの」と言おうとしてはくはくと空気を噛む。重要なことが言葉にできない。嫌味はすらすら出てくるのに。アルトが前のめりで私の言葉を待っている。い、言わなきゃ…恥ずかしいけど、待っててくれるならちゃんと言えるはず。真っ赤になりながら頑張って言葉を紡ごうと、唇を動かす。アルトがじっと期待したような表情で私の言葉を待っている。
カチャン!
「きゃっ」
シェイラ様が紅茶のカップをテーブルに落として割られた。ほんの少しだけ残っていた紅茶がシェイラ様のスカートにシミを作る。
「大丈夫かい? シェイラ?」
アルト様がハンカチでシェイラ様のスカートを拭う。私の刺繍作品でもシェイラ様の刺繍作品でもない、アルト様が本日元から持っていたハンカチであるようだ。
「お兄様、わたくし、火傷してしまったかも…とても痛いんですの」
こんなぬるくなった紅茶で火傷などするわけがないが、シェイラ様は瞳にたっぷり涙を溜めている。
シェイラ様は私の口からアルトに対しての好意的感情が飛び出すのを阻止するために態々カップを割られたのだろう。恨めしい気持ちでいっぱいだ。もう少しで言えそうだったのに…
「じゃあ、アリーに見てもらうと良い」
「お兄様、お部屋の扉の向こうでいいから付き添ってください…酷い跡になってたらと思うと怖いんですの…」
シェイラ様がめそめそ泣いている。私とアルトを引き離そうとする意図がみえみえである。心細そうな顔でアルトに縋っている。
「でもロレッタ嬢がいらしているのに…」
アルトはシェイラ様のお願いにあまりいい顔をしていない。来客中にホストが来客を放置するのは褒められたことではないものね。
「ロレッタ様にはお庭を見せて差し上げたら?」
アルトが迷うように私に目をやる。きっと心細い妹についていてやりたい気持ちなのだろう。かといって常識的なマナーを考えれば私を無視できない。シェイラ様はさっさと私を遠ざけたいようだ。
「随分と貧弱な妹様をお持ちね? でも別にわたくしは出ていても構いませんわ(訳:とても嘘くさいわ。でもシェイラ様の仰る通りにしても良いですが)」
私はアルトの葛藤を気遣って申し出た。優しいアルトは妹が心配なのだ。シェイラ様の言い分はみえみえの嘘で、私とアルトを引きはがしたいだけだろうけど、優しいアルトが好きなので、無理を言ってアルトの心に負担をかけたくはない。
「申し訳ありません、ロレッタ嬢。スザンナ、ロレッタ嬢をお庭にご案内しておくれ」
「畏まりました。お坊ちゃま」
部屋に控えていたスザンナさんに案内されて庭へ行った。庭もまた様変わりしていた。メリッサ様がお好きだと仰って大切にされていたお花がみんな撤去されている。メリッサ様のお好きだったというフリージアやマーガレットが撤去されて違う花が植えられている。今のお庭も華やかで悪くはないけれど…お母様は「私はメリッサ様を愛したという思い出を持つミカルドを愛しています」と仰っていたので、なんだか悲しい。
母屋の方からヒステリックな女性の叫び声と、何かが割れる音がした。
暫くすると疲れた様子のミカルドお父様が庭に出てきた。私と出くわすと驚いたお顔をした。
「ロレッタ嬢…だったかな?」
「お初にお目にかかります。ロレッタ・シェルガムと申します」
「初めまして。ミカルド・ディナトールだよ」
ミカルドお父様と一緒にぼんやりと庭を眺めた。派手な春の花が沢山植えられた華やかなお庭。本当はメリッサ様のお好きだった素朴で可愛いお花が沢山植わっていたはずの場所。
「ディナトール家の庭は気に入ったかい?」
「……わたくしはフリージアやマーガレットやパンジーの植えられている庭の方が好きですわ」
ミカルドお父様は懐かしそうな目をした。
「メリッサが愛した花ばかりだね。あの頃は毎日が幸せだった」
「……」
懐かしむようなお顔。
「……どうして再婚してしまったのだろう」
ミカルドお父様は小さく呟いた。何だかひどく疲れた姿だ。どうやらミカルドお父様はシェイラ様のお母様と折り合いが悪いらしい。シェイラ様が望んだ『もしも』の世界は無理のある所に皺が寄っている。
「すまないね。無様な姿を見せた」
ミカルドお父様が苦笑して肩を竦めた。初対面の令嬢に弱音を吐いてしまったことに気が咎めたのだろう。「……どうして再婚してしまったのだろう」は貴族の観点からすれば完全に失言ですものね。夫婦仲の悪さが広まってしまう。…広めないけど。
「もう無様な姿を見せられたので、これ以上いくら見ても変わりませんわ(訳:私で良ければお話を聞かせてください)」
「……君は不思議な令嬢だね。何だか…まるで娘のように感じてしまう…」
「わたくしも…」
「父のように思っています」とは言えなかった。そんなことを言うのは流石に馴れ馴れしすぎると思う。素直な言葉は出ないだろうし。
「この庭はね。以前は君が言うような花々が植えられていたのだよ」
ミカルドお父様は語り出した。メリッサ様が亡くなった後、何故かご近所付き合いをしていたレネゼッタ様を後妻に貰ってしまった。レネゼッタ様は後妻に収まると屋敷に残るメリッサ様との思い出を徹底的に撤去したらしい。ミカルドお父様にとって大切だったものすべて。残されたのはメリッサ様の血を引くアルトだけ。
ミカルドお父様は少し言葉を濁しているが、レネゼッタ様は大変お金遣いが荒いらしい。インテリアも好き勝手なものを購入しているようだが、交際費も湯水のように使い、挙句の果てに売れない画家やら音楽家やらに投資しているのだそうだ。若いツバメかな? と思ったが、そんな失礼な質問は流石に出来なかった。
レネゼッタ様とは口論が絶えずお疲れになるんだそうだ。
「きっと僕にも悪いところがあるのだろうけどね……ロレッタ嬢はお茶を飲んだかい?」
「ええ」
「どう思った?」
「感心しない淹れ方でしたわ」
ミカルドお父様は苦く笑った。
「昔からいた、仕事の丁寧な使用人はみんな職を辞してしまってね。今いる使用人は、なんと言うか…レネゼッタ派なんだ」
歯切れの悪い言い方だが言いたいことは何となくわかる。恐らく仕事に真面目に打ち込むよりもレネゼッタ様におべんちゃらを言うことに忙しい使用人ばかりなのだろう。
「つまらない話を聞かせたね」
「別に構いませんわ。でも家の内情をペラペラ他家に漏らすのは感心しませんわ」
家内の弱みは他家にとって攻撃材料になることだ。私は勿論そんなことしないし、ミカルドお父様の弱音は心の内に仕舞っておくけど。
「いいさ。耳のいいものなら誰でも知っていることだ」
お父様はサバサバと言い切った。公然の秘密というやつなのだろう。
「…………シェイラ様の事はどう思ってますの?」
「……彼女はレネゼッタの娘だ」
お父様は短く答えた。意味を考えるのだが…多分お父様はシェイラ様の事をお好きでないのではないだろうか。邪推だろうか。何とも言えない。
新しいスカートに着替えたシェイラ様と付き添っていたアルトが庭にやってきた。
「ロレッタ嬢。退屈しませんでしたか?」
「別に。怪我は?」
素っ気なく聞く。シェイラ様に怪我などないのはわかり切っていたが。
「大丈夫だったようです。シェイラは気が弱いから、痛がりなんですよ。父上もこちらにいらっしゃったのですね」
アルトがミカルドお父様に視線を向ける。アルトからしたら私とミカルドお父様は意外な取り合わせかもしれない。
ミカルドお父様が私の肩に手を添えた。
「ああ。外にいると冷える。中に入ろう。ロレッタちゃん」
「ええ、お父様」
そのセリフはあまりに自然に出てきたので、最初はミカルドお父様も私も気付かなかった。アルトとシェイラ様が「え!?」と声をあげて気がついた。
「あ…」
「すまない、ロレッタ嬢。つい馴れ馴れしく…」
「いえ…」
ここは『もしも』の世界だけれど、私は確かにお父様との絆を感じた。私はどこの世界にいてもお父様の娘…
室内に戻った後は私がお茶を淹れると申し出た。お茶とお湯と茶器を借りて、私が教わった通りに丁寧にお茶を淹れる。ルールを守って正しい淹れ方で淹れられたお茶を振舞った。
みんなはそれを口にして唸った。
「お気に召しまして?」
尋ねるとアルトが頷いた。
「御見それしました」
ほっとした。でも私はあくまでルールを守った基本のお茶。私が住んでいたディナトール家ではもっと上手にお茶を淹れる侍女もいたわ。私なんて基礎の基礎。
でもその基礎のお茶を淹れられないくらいアリーという侍女はお茶の淹れ方を学んでいないのよね。お茶会であのようなお茶を振舞ったら陰では笑いものになっていると思うけれど、どうなのかしら?
「懐かしい味だ…」
ミカルドお父様は遠い目をした。きっとかつてのディナトール家では当たり前の味だったのでしょうね。
シェイラ様は悔しそうなお顔をされていた。
後日、ずたずたに切り刻まれた子リスの刺繍の入ったハンカチが自宅に送り付けられた。
シェイラ様は『もしも』世界でも性格がよろしくないですわ。




